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告発・兵庫知事

兵庫県の斎藤元彦知事がパワーハラスメントなどの疑惑を文書で告発された問題や県議会百条委などの最新ニュースをまとめます。

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「まるで推し活」 前兵庫知事・斎藤氏<#がんばれ>に三つの要素

兵庫県知事を失職後、街頭活動を始めた斎藤元彦氏。Xで日々の活動を報告している=スクリーンショットより

 <#さいとう元知事がんばれ>

 兵庫県議会の不信任決議を受けて失職し、再選を目指している前知事の斎藤元彦氏(46)を応援する動きがネットを中心に広がっている。

 パワハラ疑惑などを文書で告発され、前代未聞の全会一致での不信任を突きつけられた斎藤氏をなぜ、支持するのか。専門家は「三つの要素がある」と分析する。【稲垣衆史】

 <主な内容> 
 ・フォロワー数 3万→12万超 
 ・拡散した98・8% 
 ・どちらも守らなかった人権 

フォロワー数4倍超に

 <ちゃんと調べたら、あなたは県民思いの素晴らしい知事でした>

 <県政に対する実行力はすばらしい。戻ってきてほしい>

 X(ツイッター)では、ハッシュタグ<#さいとう元知事がんばれ>がトレンド入りすることも。演説を聴こうと街頭に集まる人々の写真や、斎藤氏と握手した写真が日々、投稿されている。

 斎藤氏のXのフォロワー数は疑惑が表面化した3月時点では3万程度だったが、9月に失職・出直し選挙への出馬を表明した記者会見後には7万近くとなり、今は13万に迫ろうとしている。各投稿には数万の「いいね」がつき、多数引用もされる。

 「まるで、推し活」

 そう指摘するのは、臨床心理士の赤田太郎・常葉大准教授だ。推し活にハマる人は「推し」の良い面以外は見えなくなるバイアスがかかる「ハロー効果」が働くとされる。

 特にSNS(ネット交流サービス)では、発信者の都合の良い内容に偏って周囲の批判が見えづらくなるため、推し活に拍車がかかるという。

 明らかに劣勢の人が一生懸命頑張る姿に感動して、応援したくなる「アンダードッグ効果」の心理も作用し、再起を目指す斎藤氏への思いを強めているとみる。

応援したくなる3要素

 兵庫県出身でもある赤田准教授はハラスメント対応の実務経験があり、この問題を注視してきた。斎藤氏を支持する動きは失職前からあり、一連の過程を分析すると、応援したくなる三つの要素があるという。

 一つ目は「98・8%」という数字が拡散したことだ。知事就任3年を前にした7月、斎藤氏は、知事報酬の削減や公用車の変更など「選挙時の公約で一定、達成、着手できたものは98・8%」と述べた。

 斎藤氏は「どちらかというと、着手したといった定性的な達成状況」との認識を示し、女性副知事の登用など実現できなかった公約もあったが、SNSでは数字が「公約実行率」として拡散した。

 この情報は「知事として資質に優れている」との認識に傾きやすく、「パワハラ疑惑は捏造(ねつぞう)」「斎藤氏はむしろ被害者で、認めるべき人だ」と認知された可能性があるという。

 二つ目は、告発文書の内容を検証する県議会の百条委員会で斎藤氏が糾弾される場面がしばしば報道されたことだ。会見でも記者が多くの問題点を指摘した。斎藤氏は数時間にわたって対応し、「批判を受け入れて、県政を前進させる責任が自分にはある」と繰り返した。

 これらを、集団で一人が追及される「いじめ」と捉えた人が一定数いた、とみる。

 「傷つけられた人への共…

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