鉄塔ファンも憧れ!福島県からのびる高規格送電線の今
- 2024年03月27日
福島放送局では、福島の謎から、暮らしの疑問など、県内の「なぜ?」について調査・取材して答えに迫ります。
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国道49号線を横切る「高規格の送電線」とは?
まずは、寄せられた疑問から…
お便りを送ってくれた青空日和さんによると、国道49号線を通った時「この鉄塔がそうかなぁ」と、鉄塔が林立する周辺を勝手に「鉄塔銀座」と命名していたそうです。ということで、ご質問の「高規格鉄塔」を探しに、国道49号線を歩いてみました。
国道49号線は、太平洋側のいわき市から日本海側の新潟市までを結ぶ、いわば日本列島を横断する一般国道です。普段は見過ごしていた鉄塔ですが、気をつけて見ると、結構あるんですね!
青空日和さんが気になっていた鉄塔を探して沿線を通ってみると、様子が違う鉄塔が見えてきました。
張ってある電線がぶれて見えますが…近づいてみると
一本だと思っていた電線、実は8本がひとまとまりになっています。
実はこれが、青空日和さんが気になっていた高規格の送電線なんです。東京電力が設置した、超々高電圧対応の送電路で、なんと、100万ボルト!一般の家庭のコンセントの1万倍です。
日本で採用されている送電の最高電圧は50万ボルトなので、その2倍。東北から東京に、より効率的に大電力を送るために作ったもので、1999年に竣工しました。電圧の規格としてはもちろん日本最高のもの。この電圧の領域をUHV ウルトラハイパーボルテージといいます。
超々高電圧 = UHV(ウルトラハイパーボルテージ)
UHVの送電線を支える鉄塔はとにかく大きいんですね。
写真の下部で加藤がバンザイしてますが、わかります?
送電電圧による鉄塔の大きさを比較したものです。電圧を上げるためには鉄塔を高くする必要が出てきます。青空日和さんが気になったこのUHV、100万ボルトの鉄塔はとっても大きいですね!
このUHVを送ることが出来る高規格の送電路は、実は日本に4系統しかないんです。
効率よく首都圏へ電気を送る
首都圏を取り巻く東京電力の送電網です。実用化されている、100万ボルトを送ることが出来る送電線は日本に4つあり、
①柏崎刈羽原発から群馬県(南新潟幹線)
②群馬県から山梨県(西群馬幹線)
③群馬県を東西に横断する線(東群馬幹線)
④福島県田村市から栃木県を通って群馬県に伸びる線(南いわき幹線)
の4系統です。東北地方や日本海側から電気を融通するために必要なものなんですね。
なぜそんなに電圧を上げて送る必要があるのか…そうすることで、大きなメリットがあるからです。
電気は、電圧が高いほど、ロスが少なく効率よく電気を送れるようになります。
同じ電力を送るのであれば、送電ルートを減らすことにつながります。また、電気的な特性から長距離送電が安定し、また発電所などの遠隔化にも対応出来るようになります。
高規格の送電線は不要?
しかし、東日本大震災のあと、東京電力福島第1原発、第2原発は廃炉措置となり、それほどの高規格の送電線は必要ないのではないか、UHVは使われていないのか、という疑問を持たれるのではないかと思います。でも、結論から先に言うと、UHVの南いわき幹線は今も、これからも重要な送電路だったんです!
「脱炭素社会の実現と再生可能エネルギーの主力電源化」という国の政策方針に関係して、国と各界の有識者でつくる検討委員会で、これから先を見通した全国の電力の広域連携のあるべき姿を検討しました。それによると…
東北・北海道地方では、風力発電など再生可能エネルギーの導入が大きく予想されています。東北と関東の連携(東北から関東へ電気を送る)を考えると、そのルートの一翼を担うこの「南いわき幹線」の役割が期待されているそうです。今後さらに重要なルートとなるかもしれないんですね。
日本に4系統ある100万ボルト仕様の送電線は、今現在100万ボルトで運用されているところはなく、すべて50万ボルトで運用されています。
いわき市の青空日和さんが気になった、高規格の送電線UHV・超々高圧電線はいまも活躍しています。今現在オーバースペックとなっているUHVが、いつか本来の能力を遺憾なく発揮する日が来ることを願っています。
さて、この送電という分野ですが、調べていくと福島ととても縁の深いことが分かりました。後編は全国の先駆けとなった福島の送電の歴史をひもときます。