第44話 女勇者の誓いと禁断の告白
イリスは冷静な表情を崩さないまま、淡々と告げた。
「正解を申し上げますと、下着などは身につけていません。腰の鎧はビキニなので脱げば……裸です」
「!!」
その衝撃的な言葉に、アレンは一瞬、動揺で言葉を失った。
アレンは確かに勇者パーティの時、イリスの腰のビキニアーマーが気になっていた。
間近で見ると、股間を覆っている布が薄くペラペラだったので、敵の攻撃に対して防御力が不安に思えるほどだった。
そのため、アレンはイリスがその下に何かを身につけているのか、いないのか、を想像するたびに、意図せず胸が高鳴り、期待でワクワクしてしまう自分がいたのだった。
しかし、今の女勇者イリスは、そんなアレンを惜しみなく受け入れようとしていた。
アレンは正直に、イリスが腰のビキニアーマーの下に下着を着けていないことを知り、心の中で密かな幸せを感じている自分に気づいた。
アレンの心臓が鼓動を激しく打ち始めるのを感じた。
さらに、イリスは続けて、大胆な言葉を放った。
「もし、アレン様が私の過去の過ちをお許しくださり、一緒に旅に出てくださるのであれば、いつでもこの中身をお見せしましょう。私が本気であることの証として」
「……」
「よろしければ、このビキニをアレン様に差し上げても構いません」
アレンはイリスの鋭い目つきに圧倒され、返す言葉が見つからず、ただ彼女を見つめることしかできなかった。
だが、イリスは真剣な瞳でアレンをまっすぐに見つめ、意を決したようにさらに一歩踏み込んだ。
「アレン様、私のような立場の者がこのような発言をするのは軽率であるかもしれません。ですが、私はアレン様を愛しています。あなたが私たちを助けに来てくださったとき、まさに英雄のように見えました。私はハッとさせられました。そして、私はあなたの虜になってしまったのです。この気持ちに偽りなどございません」
アレンはその真摯な告白に、驚きと戸惑いを隠せなかった。
確かにアレンは勇者パーティで共に戦っていた頃から、女勇者イリスの露出が高いビキニアーマー、特に腰回りの部分に妙に目が行ってしまうことがあった。
それが表情に出てしまったことに、恥ずかしさと自己嫌悪を感じたこともある。
しかし、イリス本人から腰の部分はビキニ以外は何も身につけていないと聞かされた今、どうしようもない満足感と小さな幸せを感じている自分がいることも、否めなかった。
アレンはイリスに向かって問いかけた。
「旅に出るのはいつ?」
「できるだけ早くお願いしたいのです。私がアレン様と今すぐ一緒になりたいという気持ちがあります。それと、もう一つの理由として、魔王ノクスがヴァルファルガの討伐を受けて人間界に少し関心を向け始めたという情報が入っているのです。そのため、アレン様のレベルアップが急務なのです」
アレンはその話に深刻な表情を取り戻し、うなずいた。
ヴァルファルガ討伐は確かに偉業だったが、それによってさらなる脅威が人間界に目を向け始めたとなれば、一刻の猶予もない。
「なるほど、分かった、イリス。お前の提案に従おう。ただ、そのためにはまず、お前が俺に対して抱いていた偏見や誤解がまだ残っていると思うから、それを解消しないといけない」
アレンの言葉に、イリスは改めて真剣な顔つきで首を振った。
「いいえ、アレン様に対して、そのようなものはございません。むしろ、アレン様の方こそ、急に私を信頼していただくのは難しいかもしれません。そのため、旅を通して時間をかけて、あなたへの忠誠を示していくつもりです。そして今度こそ、どんな形であれ、あなたに協力できるよう全力を尽くす覚悟です」
アレンはイリスの覚悟を感じ取り、静かに息をついた。
互いに理解を深め、誤解を解くための旅になるだろうが、その先には更なる脅威との戦いが待ち受けている。
しかし、イリスの真摯な態度と決意に、アレンも心のわだかまりが少しずつ解けていくのを感じていた。
「分かった、イリス。これからの旅、共に頑張ろう。お前の成長も見届けたいし、俺ももっと強くなるために全力を尽くすよ」
イリスはその言葉に無表情で頷いていたが、内心では深く感激していた。
過去の過ちが原因で、イリスは感情をあまり表に出せなくなってしまっていた。
イリスはアレンに敬礼し、改めて誓うように言った。
「ありがとうございます、アレン様。あなたの信頼に応えられるよう、私もこれからはあなたの隣で精一杯戦わせていただきます」
こうしてアレンとイリスは、互いに新たな信頼を築くための冒険に旅立つことを決意した。
それは、愛と和解の旅であり、そして魔王ノクスという強大な敵に立ち向かうための試練の道でもあった。
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