障害者権利条約・障害者差別解消法・障害者雇用促進法等で規定されている「合理的配慮」について

皆様は「合理的配慮」について、聞いたことはあるでしょうか?
福祉の世界や障害者の間では、頻繁に耳にする言葉ではありますが、一般の方には知られていないかもしれません。

障害者権利条約第2条では、「合理的配慮とは、障害のある人が他の者との平等を基礎としてすべての人権及び基本的自由を享有し又は行使することを確保するための必要かつ適切な変更及び調整であって、特定の場合に必要とされるものであり、かつ、不釣合いな又は過重な負担を課さないものをいう。」とされております。

※障害者権利条約の和訳は外務省ホームページ(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000031633.pdf)をご覧ください。

障害者権利条約を日本が批准するために必要な法整備として、平成23年から平成25年にかけて障害者総合支援法・障害者差別解消法の制定と、障害者基本法・障害者雇用促進法の改正が行われました。
「合理的配慮」は障害者差別解消法(雇用分野以外)と障害者雇用促進法(平成25年改正時、雇用分野)に盛り込まれることとなりました。

「合理的配慮」とは障害者が困っていること(=社会的障壁)に関して、個別に調整を行って解決(=社会的障壁の除去)を図るものであります。
それにより、障害者が人権や基本的自由が守られることに繋がります。
次回は、合理的配慮の具体例を説明していきましょう。


法全文はこちら(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=425AC0000000065_20160401_000000000000000

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成二十五年法律第六十五号)・抄
(障害者差別解消法)

第三章 行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置
(行政機関等における障害を理由とする差別の禁止)
第七条 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。
2 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。
(事業者における障害を理由とする差別の禁止)
第八条 事業者は、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。
2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。


法全文はこちら(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000123_20200601_501AC0000000024

障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)・抄
(障害者雇用促進法)


(雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会の確保等を図るための措置)
第三十六条の二 事業主は、労働者の募集及び採用について、障害者と障害者でない者との均等な機会の確保の支障となつている事情を改善するため、労働者の募集及び採用に当たり障害者からの申出により当該障害者の障害の特性に配慮した必要な措置を講じなければならない。ただし、事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない。
第三十六条の三 事業主は、障害者である労働者について、障害者でない労働者との均等な待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となつている事情を改善するため、その雇用する障害者である労働者の障害の特性に配慮した職務の円滑な遂行に必要な施設の整備、援助を行う者の配置その他の必要な措置を講じなければならない。ただし、事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない。
第三十六条の四 事業主は、前二条に規定する措置を講ずるに当たつては、障害者の意向を十分に尊重しなければならない。
2 事業主は、前条に規定する措置に関し、その雇用する障害者である労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

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