「合理的配慮」の実践例について・基本編(1)

前項では「「合理的配慮」とは障害者が困っていること(=社会的障壁)に関して、個別に調整を行って解決(=社会的障壁の除去)を図るものであります。 それにより、障害者が人権や基本的自由が守られることに繋がります。」と書きました。

ここでは「合理的配慮」の実践例について、基本的なことを説明いたします。

例えば、視覚障害者の方がいます。目が見えないことが「社会的障壁」になっています。
視覚障害者の社会的障壁を解決する方策として、杖を持ち歩く、介助者と同伴することに加えて、「盲導犬と同伴する」という選択肢があります。

「盲導犬と同伴する」場合において、問題になることは、必然的に動物と同伴するという点にあります。
一般に、飲食店や商業施設、公共施設などにおいては、動物を持ち込むことは認められておりません。
そのため、動物を持ち込むことに拒否反応を示される方も存在し、盲導犬同伴で入店や利用が拒否される現実もあります。

そのことから、「身体障害者補助犬法」により、日本においては使用者証や身体障害者補助犬健康手帳を携帯することや補助券を清潔に保つなど、所要の条件を満たした盲導犬について、正当な理由無くその立ち入りを制限してはならないことになっています。
また、盲導犬同伴で入店や利用を拒否することは、障害者差別解消法7条・8条で禁止されている「不当な差別的取り扱いの禁止」にもあたります。

法的には、「合理的配慮」として「盲導犬同伴で入店や利用を認める」というのが正しい判断となります。

「合理的配慮」を提供することにより、目が見えないという「社会的障壁」をある程度解決できることになり、障害者が人権や基本的自由が守られることに繋がります。

しかしながら、新型コロナウイルス感染症により、新たな「社会的障壁」が発生しております。
詳しくは次回記事で解説しましょう。

・参考になる記事
障害の社会モデル(共生社会と心のバリアフリー)(https://www.carefit.org/social_model/
障害の「社会モデル」と「個人モデル」の違い(https://shohgaisha.com/column/grown_up_detail?id=1973

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