富士急ハイランドが聴覚障害者の施設利用を拒絶し謝罪に…

令和3年10月5日、富士急ハイランドのホームページにおいて、「聴覚障がいのあるお客様へのご対応のお詫びと当園の対応につきまして」というお知らせが掲載されました。

なお、本件はハフィントン・ポスト(https://nordot.app/819010122973495296?c=516798125649773665)でも報道されております。

聴覚障害者の方が富士急ハイランド内のアトラクションを利用する際、安全確保ができないことを理由に、聴覚障害でない同伴者が伴っていないことを理由にその利用を拒絶されました。
以前は聴覚障害者単独で利用できたものの、規則変更により付添人を要するとのみ告げられました。
また、全アトラクションが単独利用できないと通告されました。

しかし、現場スタッフが乗車基準を誤認していたことから、最終的には富士急ハイランドが謝罪するに至りました。

実は、乗車拒否を行ったことが、法的な問題が孕んでいるものであり、富士急ハイランド側に重大な落ち度がありました。
富士急ハイランド側は、障害者対応として以下の考え方で乗車可否判断をしております。(乗車基準はアトラクションごと)

①安全な乗車姿勢を保つこと
②緊急時の避難の際に、自立歩行による非常階段の昇降、狭い通路での自立歩行や長時間の歩行ができること
③非常時等にアトラクション乗物内での待機ができること
④その他、緊急時に状況を把握し自力で安全に避難ができること、健康面に不安や異常がないこと、落下する恐れのある補装具を外すこと、等

聴覚障害であっても上記基準の上では支障がなければ、そのまま利用を認めるというのが「合理的配慮の提供」であり、障害者差別解消法の趣旨としては正しいということになります。
なお、身体障害や知的障害で乗車姿勢を保てない、ないし、自立歩行や長時間の歩行ができない場合は、乗車拒否が正当な理由として通る可能性が高く、不当な差別的取り扱いの禁止にあたらないと考えられます。
視覚障害の場合も、「緊急時に状況を把握し自力で安全に避難できない」と判断され、同様に乗車拒否が正当な理由とされる可能性があります。

個人的には、上記リンク先報道の星加良司・東京大准教授コメント「不当な差別的取り扱いを禁止する法律は、事業者が独自に決めるガイドラインよりも上位にある」が強く印象に残っています。

これは、新型コロナウイルス感染症における感染症対策にも同様なことが言えます。
感染症対策としてガイドラインが定められておりますが、障害者差別解消法は「感染症対策のガイドライン」よりも上位にあるものであります。

そうなった場合、少なくとも「マスク着用」や「アルコール消毒」に関して合理的配慮が必要な人には、それらを免除することが法の趣旨としては正しい対応です。

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