小学校のときに九九を習っているなら、「一桁×一桁」の掛け算はすぐに計算できますよね。
一方、「二桁×二桁」の掛け算になると、筆算を使わないと答えが出せないという人は多いでしょう。
しかし、「ある計算の工夫」をすると、二桁の掛け算でも暗算できてしまいます。
さて、今回の問題、どう計算すれば速く答えを出せるでしょうか?
問題
次の計算を暗算でしてください。
95×89
解答
正解は、「8455」です。
答えを出すのにどれぐらい時間がかかりましたか?
筆算なしで計算する方法が思いつかなかった人は、ぜひ次の「ポイント」を確認してみましょう。
ポイント
この問題のポイントは、「インド式計算法の利用」です。
インド式計算法にはさまざまな種類がありますが、今回の問題のように100に近い数どうしの掛け算には次の計算方法が使えます。
- 100−各数(掛ける数・掛けられる数)を計算する(100−95=5, 100−89=11)
- 1で出した二数を掛けて答えの右に置く(5×11=55)
- 掛け算の一方の数から1で出した答え(100−もう一方の数の答え)を引いて、答えの左に書く(95−11=84もしくは89−5=84)
2と3の答えを並べて、答えは「8455」になりました。とても簡単ですね!
計算方法の背景
最後に、以下の計算方法で二桁×二桁の答えが出る理由を解説します。
- 100−各数(掛ける数・掛けられる数)を計算する(100−95=5, 100−89=11)
- 1で出した二数を掛けて答えの右に置く(5×11=55)
- 掛け算の一方の数から1で出した答え(100−もう一方の数の答え)を引いて、答えの左に書く(95−11=84もしくは89−5=84)
この問題では、100を基準として掛け算を行っています。そこで、100を使い、次のように式を変形していきましょう。
95×89
=(100−5)(100−11)
=100×100−5×100−11×100+(−5)×(−11)
=(100−5−11)×100+5×11 ※(−5)×(−11)は負の数どうしの掛け算なので答えは正の数になる
=(95−11)×100+5×11
=8455
95−11は計算方法の【3】の手順である「掛け算の一方の数から1で出した答え(100−もう一方の数の答え)を引いて、答えの左に書く」というパートに該当します。この部分には100が掛けられているため、答えの千の位と百の位になることが分かります。
一方の5×11は「100−各数(掛ける数・掛けられる数)を互いに掛けて、答えの右に置く」という、計算方法の【2】の手順に該当します。
この式の変換の過程は、次のようになります。
(100−a)(100−b)
=100×100−a×100−b×100+(−a)(−b)
=(100−a−b)×100+ab ※(100−b−a)×100+abも可
インド式計算法が成り立つ理由が分かったら、どんどん使って慣れていきましょう。
まとめ
今回の問題では、二桁×二桁の暗算に挑戦しました。
インド式計算法には、二桁×二桁を簡単計算するパターンがたくさんあります。今回紹介した方法は、100に近い数字どうしの掛け算で使えます。
他にも様々なインド式計算法のパターンがあります。興味がある人は、別の問題にも挑戦してみてくださいね。
※当メディアでご紹介する数学関連記事においては、複数の解法をもつものもございます。 あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。
文(編集):VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。
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