掛け算だけの式の場合、基本的には左から順に計算しますが、時には後ろから計算した方が簡単になることもあります。
どのような場合に計算の順序を入れ替えられるかを、しっかり見極めてみましょう。今回は、そのような問題に挑戦します。
問題
次の計算をしなさい。
1.8×25×0.4
小数を含んだ掛け算の計算です。
「掛け算だけの式」では、どこから計算しても答えは変わりません。
解説
今回の問題の答えは「18」です。
次のように計算をします。
1.8×25×0.4
=1.8×(25×0.4)
=1.8×10
=18
左から計算するのではなく、後ろの「25×0.4」から計算をしました。
25×0.4=10なので、その後の計算が非常に簡単になりますね。
これは「結合法則」と呼ばれる性質を利用しており、
掛け算だけの式の場合、どこから計算をしても計算結果は同じになります。
<掛け算の結合法則>
(a×b)×c=a×(b×c)
この計算の工夫は、日常生活でもよく利用されます。
「キリのいい数字」になるように、先に計算する部分を考えると、その後の計算が楽になります。
よく使うのは「2×5=10」という計算ですが、それ以外にも以下の計算を覚えておくと便利です。
2×5=10
25×4=100
125×8=1000
今回の問題では「25×4=100」を利用しています。
実際の計算は「25×0.4」なので、1桁小さくなり「10」となります。
よくある間違い
結合法則は、どのようなときでも成り立つわけではありません。
結合法則が使えるのは、足し算だけの式、もしくは掛け算だけの式のときです。
例えば以下のような計算を考えてみましょう。
648÷36÷9
前から計算するのは難しく、後ろの「36÷4」の方が簡単に見えますが、これは後ろから計算してはいけません。
<正しい計算方法(前から計算)>
648÷36÷9
=18÷9
=2
<誤った計算方法(後ろから計算)>
648÷36÷9
=648÷(36÷9)
=648÷4
=162
計算結果がまったく異なるものになってしまいました。
引き算、割り算では結合法則が成り立たないので注意しましょう。
まとめ
「結合法則」をうまく利用できると、計算をさらに速く正確に行うことができます。
しかし、いつでも利用できるわけではないので注意が必要です。
ぜひ練習をして、使いこなせるようになりましょう。
※当メディアでご紹介する数学関連の記事においては、複数の解法を持つものもございます。
あくまで一例としてのご紹介に留まることをご了承ください。
文・編集(監修):SAJIMA
日本国内外の学校、学習塾で数学・理科の講師として幼児から高校生までを指導。現在はフリーランスとして独立し、オンラインを中心に授業を展開している。子供への学習指導だけでなく、大人向けの数学講座も開講し、算数・数学の楽しさを広く伝える活動を行っている。日本数学検定協会認定「数学インストラクター」
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