iQOO Z8 5Gは、中国国内向けに販売されている高性能ながら手頃な価格のスマートフォンです。Androidを搭載しているものの、中国国内モデルであるため、Google Mobile Service (GMS) はプリインストールされていません。代わりにvivoが中国市場向けに選定したアプリがインストールされており、vivo独自のアプリストアが利用可能です。中国以外で利用する場合、Google Playストアをインストールし、Google系アプリやシステムアプリを、好みのアプリで置き換えることができます。
vivoが提供するカスタムUI「OriginOS」は制約が多く、自由度に慣れているユーザーには使いづらいと感じるかもしれません。多くのAndroid端末で利用できるウィジェットが使えない点も、その一例です。vivo専用の「キット」と呼ばれるウィジェットに相当する機能は利用可能ですが、これも主に中国市場向けの中国語対応アプリに限られてしまいます。少なくとも、システムランチャー(ホームアプリ)を変更しない限り、使い勝手が大きく制限されるでしょう。また、不要なシステムアプリはすべてアンインストールし、デフォルトのアプリも好みのものに変更する必要があります。
ROOT化したならvivo用アプリストアや通常はアンインストール不能アプリも削除してすっきりさせることも可能ですが、今回は非ROOTの範囲だけに留めます。なお、最近のvivo/iQOOの中国向けモデルはROOT化が難しくなっているようです。
iQOO Z8 5Gを初めて起動すると、最初に言語選択画面が表示されます。「日本語」を選択すれば、システムメッセージは日本語で表示されますが、プリインストールされている多くのアプリは中国語のみの対応となっているため、中国語で表示されます。セットアップ時には、Wi-Fiの設定や指紋認証の登録などを行いました。
上の画像は、初期セットアップ完了直後のホーム画面です。これは、OriginOSのデフォルトの状態を示しています。ホーム画面の中央にはメイン画面があり、左右にもう1画面ずつ存在します。通常、左画面にはGoogle Discoverのニュースが表示されることが多いですが、OriginOSでは「キット」と呼ばれるAdnroidのウィジェット相当のカードが複数配置されています。このキットは、好みに応じて追加・削除やサイズ変更が可能ですが、利用できるのはOriginOS専用アプリに限られます。つまり、通常のAndroidアプリのウィジェットは利用できません。ホームランチャーの基本的な使い勝手は一般的なAndroidデバイスと似ていますが、使用されているアプリや連携するサービスがすべて中国のものであるため、中国国外のユーザーには使いにくい部分が多いでしょう。
2024年10月6日追記:
OriginOS標準システムランチャーではAndroidウィジェットは使用できないと書きましたが、間違いです。「Originキット」画面を一番下にスクロールすると「その他のキット」という項目があります。通常のAndroidアプリのウィジェットはそこから選択できます。
画像の左側の画面は、Androidの設定から「システム管理」と「デバイス情報」を開いたところです。ここでは、OriginOS 3であることが強調されています。画像には写っていませんが、下にスクロールするとAndroid 13の情報も表示されます。
「バージョン情報」を選択すると、画像の中央にソフトウェアのバージョンが表示されます。iQOO Z8 5Gは2023年秋モデルですが、2024年3月製造分には2024年1月分のAndroidセキュリティパッチが適用されています。
画像の右側の画面は、「法的情報」と「認証情報」を開いた状態です。一般的なグローバルモデルではFCCやCEなど、各国の認証情報が多数表示されますが、iQOO Z8 5Gは中国向けモデルのため、中国の認証情報のみが掲載されています。すっきりしている反面、寂しい印象も受けます。もちろん、日本の技適もないため、日本国内で電波を使用するには「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」の届け出が必要です(無料・即時有効)。なお、届け出を行っても、iQOO Z8 5Gで利用できるのは5.8GHzを除くWi-Fi、Bluetooth、NFC通信に限られます。SIMカードを使用したモバイル通信はできません。
中国向けのiQOO Z8 5Gは初期状態ではGoogle Mobile Serviceに非対応で、Google Playストアは入っていません。Google Playストアをインストールする方法はいくつかありますが、最も手軽なのはAPKPureからGoogle Playをダウンロードしてインストールすることです。この方法は、AliExpressのiQOO Z8 5Gの製品紹介ページにも記載されています。
画像の左側の画面では、ブラウザのURL欄にGoogle PlayストアのダウンロードリンクURLを入力します。中央の画面は、APKPureでGoogle Playストアのダウンロードページが表示された状態です。「 Download APK」ボタンをタップします。右側の画面では、「Google Playストア」のバリアントから最新バージョンのダウンロードボタンを探し、「Download」ボタンをタップします。
または、vivoのアプリストアであるV-AppstoreからGoogle系のアプリか「Google Play Store」を検索してインストールすることでも可能です。
左側の画面には、ポップアップが表示されています。「Download」をタップします。
中央の画面では、ダウンロード完了後にGoogle Playストアのインストール確認が求められています。「インストールを続行」ボタンをタップします。
右側の画面では、Google Playストアのインストールが完了した状態です。「開く」ボタンをタップして、Google Playストアを開きます。
画像の左側の画面は、Google Playストアの起動時に表示されるポップアップです。「Google基本サービス(Google Mobile Service)を有効にします」とのメッセージが表示されるので、「OK」をタップします。
中央の画像は、Google Playストアがアプリリストへのアクセス許可を求めるポップアップです。「許可」をタップします。
右側の画像は、Google Playストアが起動した際の画面です。「ログイン」をタップします。
一般的なGMS対応のAndroidスマートフォンを購入し、初めて起動したときには、Googleアカウント関連のセットアップを行うためのセットアップウィザードが表示されます。
ここで、それと同様のGoogleのセットアップウィザードが実行されるので一般的なAndroidスマートフォンの初期設定と同様の設定を行います。Googleのセットアップウィザードに関する説明は省略します。
次に、Android設定から「システム ナビゲーション」を開いたところです。
ナビゲーションモードを「ナビゲーション キー」に設定した場合は、次のいずれかを選択します。
画面の右下をタップすると「戻る」動作が好ましい場合は特に変更の必要はありません。OriginOSの初期設定では、右下をタップすることで「戻る」動作が行われます。< br />
画面の左下をタップすることで「戻る」を好む方は、下側のレイアウトを選択してください。右側はタスクリストになります。
Android設定から「セキュリティ」→「その他のセキュリティ設定」(下から2番目)を開きました。
左側の画像で、「システムランチャーを置換」をタップします。
中央の画像は、ランチャーの置換に関する許可スイッチを押すところで、「安全性の確認」というポップアップが表示されます。なぜか、ホームランチャーの変更にはvivoアカウントへのログインが必要です。「ログイン」をタップします。ここではvivoアカウントの作成については省略しますが、vivoアカウントは非常に少ない入力項目で簡単に作成できます。
右側の画像は、ホームランチャー変更の準備に関する重要な部分です。「ランチャーの置換を許可」をオンにするのは当然ですが、その下にある「ホームボタンをタップして、システムのホーム画面をロックしてください」というスイッチはオフにします。このスイッチをオンにすると、OriginOSに元々入っているシステムランチャーがデフォルトとしてロックされます。オフにしないと、ランチャーを変更したとしてもホームボタンをタップした際にOriginOSのシステムランチャーに戻ってしまいます。
画像の左の画面は、「Android設定」のトップ階層です。ここで「プライバシー」をタップします(または4つ下の「アプリと権限」からもアクセスできます)。
画像の中央の画面では、「権限管理」をタップします。
画像の右の画面では、上部の「権限」タブを選択し、一番下までスクロールして「デフォルトのアプリ設定」をタップします。
画像の左の画面で「ホーム画面」をタップします。このとき、右側に「システムランチャー」の表示があることを確認します。
画像の中央の画面は、ホーム画面の選択ポップアップが表示されたところです。画像ではMicrosoft Launcherに赤枠を付けていますが、ここはお好みでインストールしたホームランチャーアプリを選択してください。事前にGoogle Playストアなどから、お好みのホームランチャーアプリをインストールしておく必要があります。
画像の右の画面で、ホームランチャーアプリの切り替えを確認するメッセージが表示されるので、「変更」をタップします。「システムアプリを使用します。」を選択すると、OriginOSに標準で入っているホームランチャーアプリ(OriginOSの標準状態)になります。
画像の左の画面で、「ホーム画面」の右側に変更したホームランチャーの名前が表示されていることを確認します。また、ホームランチャーの変更と同様の手順で、その他のアプリもすべて置き換えていきます。OriginOS標準のアプリは基本的にはすべて変更してください。ただし、iQOO Z8 5Gを日本で使用する場合、SIMカードを使用する通信は法律上利用できないため、モバイル通信に関係する「メッセージ」(SMS)や「携帯電話」(ダイヤラー)アプリは変更する必要はありません。
画像の中央と右の画面には「アプリ管理」で削除したOriginOS標準のアプリが表示されています。多くのアプリはアンインストール可能ですが、一部のアプリは非ROOTではアンインストールできません。これらの標準アプリは残しておいても、中国にいる中国人以外には役に立ちません。特に「システムキット」はOriginOS標準のホームランチャー用のウィジェットであり、残す意味はまったくありません。
今回はMicrosoft Launcherをインストールし、ホーム画面には時計ウィジェットと下部のドックのみを表示することにしました。ごちゃごちゃした画面は好まないため、いつもこのようなシンプルな構成にしています。
OriginOSのUIでは、通常は削除できないアプリの中から、少しのシステムアプリをadbを使用して削除する方法で(仮)削除することが可能です。削除の対象には、vivo標準のブラウザも含まれています。このブラウザは邪魔なアプリの一つなので、削除をお勧めします。別のブラウザアプリを用意しておくと良いでしょう。
# adb shell pm uninstall -k --user 0 com.vivo.browser
Success
2023年の前半以前は、以下のようなコマンドでアプリを削除できたという情報がありますが、2024年時点ではその機能が動作しないようです。
# adb shell service call package 131 s16 com.bbk.appstore i32 0 i32 0
Result: Parcel(
0x00000000: ffffffff 00000034 00610043 006e006e '....4...C.a.n.n.'
0x00000010: 0074006f 00750020 0069006e 0073006e 'o.t. .u.n.i.n.s.'
0x00000020: 00610074 006c006c 00630020 006d006f 't.a.l.l. .c.o.m.'
0x00000030: 0062002e 006b0062 0061002e 00700070 '..b.b.k...a.p.p.'
0x00000040: 00740073 0072006f 00200065 006f006e 's.t.o.r.e. .n.o.'
0x00000050: 00720020 006f006f 00200074 00650070 ' .r.o.o.t. .p.e.'
0x00000060: 006d0072 00730069 00690073 006e006f 'r.m.i.s.s.i.o.n.'
0x00000070: 00000000 000003a8 000001cf 00610009 '..............a.'
ズラズラと続く
com.bbk.appstoreはvivoのアプリストアのアプリ名です。この部分を削除したいアプリ名に変更することで同様に削除できます。ただし、現在は非ROOT環境では使用できない模様です。
「時計」や「通知」(メッセージ系を含む)に関連するアプリについては、権限を確認し、すべて「オン」に設定しておくのが無難です。その上で、Android設定から「バッテリー」に移動し、「バックグラウンドでのバッテリー消費量の管理」から各時計・通知関連アプリを「バックグラウンドでの大量の電力使用を許可」に設定します。また、Android設定から「バッテリー」「電池設定」で「スリープモード」を「オフ」にすることも検討した方が良いでしょう。最近のAndroidはデフォルトで省電力設定が多いですが、vivoは特に省電力の傾向が強く、ディープスリープを通り越して仮死状態になることがあります。一晩経っても1%も減らないのは優秀ですが、通知やアラームが鳴らないことがあるため、特に初期状態では注意が必要です。
このようにGoogle Playストアをインストールし、必要なアプリを追加した後、OriginOS標準のホームランチャーとデフォルトアプリを置き換えることで、中国向けスマートフォンでもグローバルモデルに近い動作を実現できます。ただし、非ROOT環境では一部のOriginOSシステムアプリに強制的に紐付けられたまま残るため、気に入らない部分が残ることもあります。これは他のメーカーのグローバルモデルでも同様で、メーカー独自のカスタム部分に不満が残ることは避けられません。
今回の設定では、vivoの中国向けOriginOSを使用しているため、ホームランチャーの置き換え手順や「キット」(vivoのウィジェット)が他メーカーにはない独自の要素でしたが、全体の流れは他のGMS非搭載の中国向けモデルでも同じように適用可能です。
vivo/iQQQはOSの更新情報があまり得られないため、購入後のOS更新サポートが心配です。しかし、iQOO Z8については2024年3月(今月)にOriginOS 4への更新が予定されています。Xiaomiのようなメーカーであれば、この機会にAndroid 14に更新されるところですが、iQOOは果たしてどうなるのでしょうか?
2024年10月4日追記:
vivoのアップデートポリシーは以下のようになっています。ただし必ず守られるとは限りません。
上位Xシリーズは最大3世代のAndroid OSバージョンアップデートと4年のセキュリティパッチの提供
中位V,Tシリーズは最大2世代のAndroid OSバージョンアップデートと3年のセキュリティパッチの提供
下位Yシリーズは最大2世代のAndroid OSバージョンアップデートと2年のセキュリティパッチの提供
iQOOはシリーズの構成がルーズなためシリーズ毎ではなくモデルごとに異なる更新ポリシーが適用されるようです。
一部の上位主力モデルには最大3世代のAndroid OSバージョンアップデートと4年のセキュリティパッチの提供
一般的なモデルには2世代または2年のAndroid OSバージョンアップデートと2年または3年のセキュリティパッチの提供
これらのvivo/iQOOの更新ポリシーはグローバルモデル向けで、中国向けモデルには適用されないことがあります。
auのsimをセットしたら、通話できました。
ショートメールは送信、受信ともできませんでした。
可能にする方法はありますか。
お手数ですがよろしくお願いします。
SIMカードを使用した通信については確認できません。auは特殊なことが多いのでよくわかりません。auのSMSはVoLTE云々がという話は聞いていますがよく知りません。
Google PlayをインストールしているならGoogleの「メッセージ」アプリをインストールして、Android設定の「デフォルトのアプリ」で「メッセージ」のアプリを(Googleの)「メッセージ」アプリにします。(vivoのメッセージアプリとはアイコンで区別します)
(vivo/iQOOアプリは要らないからということで)vivo/iQOOのメッセージアプリの権限をすべて剥奪すると正常に使用できなくなる可能性があります。これは時計アプリなども同様です。
vivo/iQOOはデフォルトの節電設定が強めなのでスリープ中の通知が来ないことが多いです。バックグラウンドでのバッテリー消費量の管理で(Googleの)メッセージアプリを「バックグラウンドでの大量の電力使用を許可する」に変更します。他の通知が必要なアプリにも有効な場合があります。
電話アプリのダイヤル画面で *#*#2288#*#* をダイヤルしてネットワークモードを(挿したSIMカードに応じて)適切に変更します。「『5G有効化』スイッチを表示」をオンにします。
Android設定の「モバイルネットワーク」で挿したSIM(SIM 1など)を選択、「5Gを有効化」がオンになっているか確認し(5G対応SIMなのにオフなら)オンにします。
丁寧で詳しく返信ありがとうございます。もうしばらくvivo iqoo z8を楽しめそうです。
ありがとうございます。
ショートメールですが、丁寧に詳しく教えていただきましたが、送信できませんでした。
auは、ショートメールは、だめなのかもしれません。
通話はできましたが。
残念です。