7月の平日午前、都内のコンビニエンスストアの駐車場に止めた自家用車内で食事中だった米田敬一さん(仮名)は突然、「ガリガリ」という音を聞いた。左隣に停車していた大型バンが発車しようとして、米田さんの自家用車に接触したのだ。外に出て確認すると、フロントバンパーの左角部分が大きく損傷している。
相手は日本語が流暢ではない外国人のようだったが、翻訳アプリを使って「どうすればいいのか?」と尋ねてきた。言語は中国語だった。
警察に電話で事故報告すると、2人の警察官が現場にやってきた。双方の免許証を確認し、事故の概略を聞き取った警察官は、「両者の主張に不一致がないようなので、後は当事者同士で解決してください」と言い残して去っていった。所用のあった米田さんも、相手の免許証をスマートフォンで撮影し、連絡先の電話番号を聞いて、その場を離れた。
その後、米田さんは、事故の解決を加入していた保険会社に委ねた。
担当者は米田さんの車が停車中だったことから、「基本的には相手方の過失100%」と楽観的な見方を伝えてきた。自動車ディーラーに損傷部分をみてもらったところ、修繕費は28万円と見積もられた。
ところが、米田さんは、現在に至るまで、その相手から損害の賠償を得られていない。保険会社の担当者によると、相手方と連絡が一向に取れないというのだ。