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たばこ業界からの資金で研究した論文は受け付けない――。
世界4大医学誌の一つ「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)」が、この方針を決めたのは10年ほど前だ。これに倣い、日本でも公衆衛生やがん、疫学などの学会が、論文の学会誌掲載で同様の規定を設けた。
学術研究には、利害関係者から資金提供を受けた場合はその旨を明示する、という原則がある。逆に言えば、資金提供があっても研究そのものは本来否定されない。論文掲載を拒否するというのは、かなり強硬な姿勢と言える。
これには背景がある。1990年代に米国の州政府がたばこ会社に起こした医療費請求訴訟で、会社の内部文書が公開された。そこで健康影響などの研究に企業がお金を出し、自社の利益のために結論をゆがめるような不正があったことが明らかになったからだ。
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