私は1970年代の16才高1の昭
和時代に自動二輪免許を取っ
た。
1975年、日本の二輪免許制度
が大変更された。
それまでは「原付、小型自動
二輪、自動二輪」の三種の免
許があり、その枠組みは改正
後も変更がなかった。
だが、自動二輪枠の免許の中
に1975年10月から「自二車
は中型に限る」という400cc
までの限定条件付と限定無し
の排気量無制限免許が設定さ
れたのだ。
これは法制史上も歴史的な
「事件」だった。自動二輪の
限定無免許=限定解除は教習
所では取得できない仕組みに
国が制度を変更したのだった。
同じ自動二輪免許のの中で二
分化させるシステムだった。
この排気量無制限の限定無
免許は、警察の免許センター
の一発試験でしか取得でき
ない。
免許取得は超絶難易度を極め
た。もろに戦中の軍隊方式だ。
まず、服装や言葉遣いが悪い
と審査前から不合格。敬礼の
角度と同じく、後方確認の首
曲げ角度が少しでも試験官の
意に沿わないと不合格。
とにかく100%ロボットのよ
うな体の動きをしないと不合
格。とにもかくにも不合格。
晴れて免許を取得できるまで
10回20回は当たり前、という
「合格させない為」の免許制
度となった。
そのため、白ジェットヘルメ
ットに黒手袋に黒いブーツ着
用は「限定解除法第1条」と
まで揶揄された。現実にそう
だった。新任警察官のように
身だしなみも態度もピシッと
していないと実技以前に不合
格にされた。
10回以内で限定解除となった
ならば優秀なほうだ。私の知
る人では30回以上受けてよう
やく合格した人もいる。
この1975年免許制度の改変に
より多くの若者は400cc以下の
限定条件付対応機種に乗るよ
うになった。
現在の大型二輪とは異なり、
16才から二輪限定解除試験は
受験資格が国民には認められ
ていたが、完全なる「国家統
合の政策」として二輪の免許
制度は改変されたのだった。
国民に受験資格は認めても、
まず簡単には免許は与えない、
むしろ積極的に不合格にさせ
る事を趣旨とする、という制
度改変が1975年の二輪免許制
度改定だった。
この時期の限定付自動二輪
免許は乗れる二輪の排気量
が400ccまでだが、いわゆる
民間で俗称される「中型免許
=中免」というものは存在し
ない。中型免許という免許そ
のものが実在した歴史は無い。
126cc以上可はすべてが「自
動二輪」という免許だった。
1995年以降に初めて小型、
普通、大型という新設定免
許が登場した。
1975年~1995年(改正以前)
までは、自動二輪の限定付
免許で401cc以上を運転した
らただの「条件違反」だった。
1995年以降は無免許運転で
一発取り消し扱いとなった。
1975年以降からの二輪免許と
95年以降の二輪免許は法的に
も別物なのだ。
現在は401cc以上の二輪に乗
れる二輪免許は「自動二輪限
定無(=限定解除)」ではなく、
「大型自動二輪免許」になっ
ている。
かつての限定付き自動二輪免
許は「普通自動二輪免許」に
分類される。
過去に取得した自動二輪限定
解除は自動的に現行の「大型
自動二輪」に区分されて免許
証の種類欄に記載される。
限定解除試験の前に取得して
いた限定付自動二輪免許(=自
二車は中型限定)は、現行法で
は二輪免許では大型自動二輪
免許とは別物別枠免許扱いな
ので「普通自動二輪(普自二)」
と免許の種類欄に別枠で記載
される。
なお、昭和や平成時代初期に
取得した四輪免許(普通免許)
は、総重量8トン以内の四輪
中型車(いわゆる旧称4トン
車)までを運転できる特別な
免許に分類される。現在この
限定付四輪免許を新たに取得
する事はできない。