なぜニュースウォッチ9は「ワクチン死」に触れなかったのか――遺族の決死の告白を踏みにじった「NHKの粗暴」【NHKワクチン被害者遺族放送問題#1】
5月15日に放送されたNHK「ニュースウォッチ9」のエンドロールで流れた映像がいま、問題となっている。コロナワクチン接種後に「副反応との因果関係が疑われる症状」で肉親を亡くした遺族たちの告白を「切り取って」放送していたのだ。なぜそうした事態に陥ったのか――関係者に話を聞いた。
コロナ禍の3年を振り返る放送で
「NHKは番組の中で『偏向報道』をした事実については認めました。しかし、私たちが求めた『なぜそんな形で放送をしたのか』という意図については、説明すらされていない。謝罪はあった。しかし、いくら謝られたからといっても、遺族たちの怒りがおさまったわけではありません」
こう憤るのは、コロナワクチン被害者遺族会「つなぐ会」代表の鵜川和久氏だ。
5月15日に放送されたNHK『ニュースウォッチ9』のエンディング映像を巡り、NHKに抗議の声が集まっている。発端となったのは、新型コロナが第5類に移行することを受けて制作された「この3年を振り返る」という趣旨の、1分ほどの短い映像だ。
なぜこの短い映像が、騒動に発展したのだろうか――。まずはその映像を振り返ろう。
冒頭では、かつてクラスターが発生した「ダイヤモンドプリンセス号」の現在の姿が映り、「私たちの3年あまり」というテロップが流れる。そして、コロナ禍で肉親を失った3人の「遺族」が登場した。
まず、〈夫を亡くした河野亜樹子さん〉との字幕とともに、河野さんという女性が「いったいコロナって何だったんだろう」と語る。
次に〈父を亡くした宮城彰範さん〉との字幕と父親の写真を見つめる男性が映る。その背後からは「5類になったとたんにコロナが消えるわけではない」「風化させることはしたくない」との声が聞こえた。
最後は〈母を亡くした佐藤かおりさん〉が登場する。佐藤さんは涙ぐみながら「遺族の人たちの声を届けていただきたい」と語っていた。
そして動画は「戻りつつある日常」という声と共に現在の街の様子へと続いていく――。
問題となっているのはこの3人の紹介の仕方だ。
一見すると視聴者は、彼ら、彼女らを「新型コロナウイルス感染症にかかった肉親を失った遺族」ととらえるだろう。
だが、ここに登場した遺族全員が「肉親は、新型コロナのワクチン接種後の副反応による疑いで命を落とした」と主張している。決してコロナに感染して亡くなったわけではないのだ。
しかし、番組動画を見る限りでは、彼らは「コロナに感染して亡くなった」と受け止められるつくりになっている。ここに、遺族は憤っているのだ。