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思い出の音色、新たな舞台で 旧神功小からイオンモール高の原へ「ストリートピアノ」


旧奈良市立神功小からイオンモール高の原に寄贈され、来店客らを楽しませているピアノ


 昨春に閉校した旧奈良市立神功小学校で長年使われたグランドピアノが、同市と京都府木津川市にまたがる大型商業施設「イオンモール高の原」で、だれでも弾けるストリートピアノとして活用されている。同校の卒業生が懐かしそうに奏でる姿もみられ、新たなステージで親しまれている。
 神功小は、昭和55年に平城ニュータウン内で開校。ピアノは体育館の舞台に置かれ、入学・卒業式など主要行事で使われてきた。しかし同小は、児童数の減少を受け昨年春、近隣の小中学校とともに小中一貫の同ならやま小中学校に再編された。
 使われなくなったピアノを見いだしたのは、地元在住のピアニスト、作間泉さん(59)。昨年10月、地域主催の文化祭で旧神功小を訪れ、鍵盤に触れたところ「予想以上に艶のある音色が響いて驚いた」という。
 作間さんは「まだ現役で十分に使える。処分するには惜しい」と、愛好家が自由に弾けるストリートピアノとして活用することを奈良市に提案。仲川げん市長が、イオンモール高の原の植田卓也店長に寄贈を打診して実現した。
 ピアノは製造から40年以上が経過していたため、再塗装し調律。同店で6月30日に譲渡式を行った。式典で作間さんが「古いピアノに新しい生命が吹き込まれた」とあいさつし演奏すると、来店客が集まり拍手が湧き起こった。
 現在は2階通路に設置しており、「旧神功小の卒業生など多くの人が演奏を楽しんでいます」と植田店長。モール内の美術教室で講師を務める大阪市東住吉区の山上祐加さん(33)も演奏し、「ホールでリサイタルをしているようで楽しかった」と話した。
 奈良市教委によると、旧神功小の卒業生は2766人。ならやま小中学校PTAの藤田実紀会長は「ゆかりの品を残したいという多くの卒業生、保護者の希望がかなった。地域で末永く大切にしたい」と話した。

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