自民党税制調査会は6日、非公式の幹部会を党本部で開き、2025年度の税制改正議論を始めた。年収が103万円を超えると所得税が発生する「年収の壁」に関し、国民民主党が主張する引き上げの是非を巡って意見を交わした。宮沢洋一会長は会合後、記者団に対して「国民民主の公約は把握している」と述べ、同党と制度改正の詳細を交渉していく意向を示した。

自民と国民民主は政策協議の実施では一致しており、どこまで折り合えるかが注目される。宮沢氏は例年通り、12月中に結論を出し、税制改正大綱を取りまとめる考えも強調した。

自民党税調の非公式の幹部会は「インナー」と呼ばれる議員が参加。宮沢氏が昨年に続き会長に就いた。後藤茂之元経済再生担当相、斎藤健前経済産業相らで構成する。

国民民主は現行制度について、基礎控除などを引き上げて178万円にするよう主張。引き上げでは国、地方合わせて約7兆6千億円の減収が見込まれ、高所得者ほど減税の影響額が大きくなるとの課題がある。社会保険料の支払いが発生する「106万円の壁」や「130万円の壁」の改善も検討が必要になりそうだ。

税制改正議論では、ガソリン税を一部軽減する「トリガー条項」の凍結解除や、防衛増税の開始時期も焦点。トリガー条項はガソリン価格が一定基準を超えた場合に発動し、1リットル当たり税金が25円10銭安くなる。岸田政権下で自民、公明、国民民主の3党で協議入りしたが、実現しなかった。(共同)