性被害の翌朝、差し出された千円札10枚…元Jr.長渡康二さんの告白 スリッパで逃げ出した夜、夢をあきらめた

2023年9月17日 19時00分
 ジャニーズ事務所創業者の故ジャニー喜多川氏(2019年死去)による性加害問題で、「ジャニーズ性加害問題当事者の会」のメンバーで元ジャニーズJr.(ジュニア)の長渡ながと康二さん(40)が、取材に応じ、「ジャニー氏に性加害を受けそうになり、ホテルからスリッパで逃げ、夜中に3時間かけて自宅に帰った」と告白した。(聞き手・望月衣塑子)

◆実態は本で読んでいた。でも「うそやろ」と

「めちゃくちゃ明るかった子が被害を受けた後、暗くなり全く喋らなくなった」と語る元ジャニーズJr.の長渡康二さん=8月、都内で

 長渡さんは1996年、小学校6年の時、元SMAPの中居正広さん(51)に憧れて関西Jr.のオーディションを受けるために履歴書を事務所に送った。
 96年春に出版された当事者の会代表の平本淳也さん(57)の著書「ジャニーズのすべて 少年愛の館」(鹿砦社)を熟読したが、性加害の部分は「うそやろと思って真に受けなかった」。本の中に「ジャニー氏はわんぱくっぽい少年が好き」とあったので、友人に頼み、虫捕りするシーンなど10枚ほどの写真を撮影してもらい応募した。
 1カ月後「ジャニー」と名乗る電話があったが、友達がふざけていたのだと思い「うそやろ!ふざけるな!」と言い続けたが、話しているうちにジャニー氏であると分かり、驚いた。

◆オーディションで「YOUは受かってるから」

 レッスンを受けるため、大阪のテレビ局近くにあったプレハブ教室に行くと、20〜25人ほどの少年たちがいた。ジャニー氏が「踊ってみて」と言い、見よう見まねで覚えたSMAPのダンスを踊った。

Jr.時代の長渡康二さん(左)=本人提供

 「また連絡する」と言われ、次に来るように言われたのが、大阪城ホールだった。オーディションが行われていたが、ジャニー氏は自分を見つけると「YOUは受かってるから」と、そのまま関西Jr.の2期生に。その日夕方からのKinKi Kidsのコンサートに参加、フィナーレになるとジャニー氏が「YOU、出ちゃいなよ」と言い、熱狂するファンを前に手を振ってステージに立った。

◆深夜までリハーサル「家に帰れない人は…」

 その後もレッスンに通っていたが、96年5月、ジャニー氏に「明日時間ある?」と言われ、翌日、大阪市中央体育館であった「アトランタ五輪女子バレーボール世界最終予選」で、V6による歌のライブパフォーマンスを行うためにバックで踊るリハーサルに参加。深夜に及び、終電を逃した。
 「家に帰れない人は連絡して」とジャニー氏に手渡された電話番号に連絡し、会場近くのホテルに向かった。ジャニー氏の部屋はソファのある洋室と和室、二つのベッドが置かれた寝室が付いていた。来ていたのは自分だけだった。
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