長年、都内の公立病院で外国人医療に関わってきた医療関係者が、匿名を条件にいくつかの例を明かしてくれた。
ある中国人男性は「日本語学校で学ぶ」といって来日して保険証を取得した。実は重度の腎臓疾患で、入学して半年もしないうちに手術を受けたことから、来日目的が初めから治療目的だった疑いが持たれている。
留学目的で来たはずの中国人が、入学式の翌日に入院した極端なケースもあった。来日前から病院を予約していたというから、どこまでも緩い日本の医療制度である。
保険証を外国人同士で使いまわす「なりすまし」の問題もある。「保険証を貸した知人が入院してしまい保険証を返してくれない。自分も病気で入院したいのだが、どうしたらいいか?」という、笑うに笑えない相談が都内の医療機関にあった。
最近では、医療関係者の間で「外国人医療2・0」と呼ばれる不適切行為が存在する。医療制度の欠陥を突き、外国人医療における「なりすまし」や高額医療の受診に代わる、新手でグレーゾーンの医療ビジネスが登場しているという。
前出の医療関係者によると、日本の医療制度を熟知する医療従事者や、関連法に明るい行政書士らが関与しているケースがあるというのだから、穏やかではない。
例えば、短期ビザを長期ビザに変更する際、日本で治療を継続するため、診断書の書き換えを医師に依頼するアドバイスなどだ。