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ボクシング女子イマネ・ヘリフ、ネット中傷受けたとして告訴 訴状にはマスク氏、JKローリング氏の名も 海外メディア報じる

2024年8月15日 14時17分

 パリ五輪ボクシング女子66キロ級で金メダルを獲得したアルジェリアのイマネ・ヘリフ(25)が自身の性別を巡ってネットで誹謗中傷を受けたとして、英国の世界的大人気小説「ハリー・ポッター」シリーズ作者のJ・K・ローリング氏と、米実業家のイーロン・マスク氏らを告訴したと複数の海外メディアが報じた。
 英紙「ガーディアン」(電子版)は「J・K・ローリングとイーロン・マスク氏が、ヘリフへのネット中傷で訴えられる」の見出しで速報。ヘリフの弁護人が訴状には有名人の名前も含まれていると明かしたことを報じ、弁護人が「J・K・ローリングとイーロン・マスクらが名を連ねている。そして(米国の前大統領)ドナルド・トランプも捜査の対象になりうる」と話したと伝えた。
 同紙によると、ローリング氏はX(旧ツイッター)で2回戦でイタリア人選手が46秒で棄権した試合の写真を添付して「女性差別主義者のスポーツ団体に守られていることを知っている男性が、頭を殴った女性の苦痛を楽しみ、その女性の人生の野望を打ち砕いてにやけ笑い浮かべる」などとポスト。他にも「私が、そして他の多くの人々が反対しているのは、女性に対する男性の暴力が五輪競技になることだ」と投稿したという。

イマネ・ヘリフ(AP)


 Xの所有者でもあるマスク氏に関しては、米国の水泳選手がヘリフについて「男性は女性のスポーツにふさわしくない」とつづった投稿をシェアし、「まったくだ」と付け加えたという。
 訴状には名前が含まれていないとのことだが、トランプは「私は女性スポーツから男性を締め出す!」と投稿。同紙によると、弁護人は「トランプがツイートしたのだから、彼が私たちの訴訟で名指しされようがされまいが、訴追の一環として調べられるのは必至だ」と指摘している。
 フランス紙「ル・モンド」(電子版)も米雑誌「バラエティー」を引用する形で報道。「Xのオーナーである億万長者のマスクと、物議を醸す立場で知られるハリー・ポッターシリーズの作者、J・K・ローリングが訴状に名を連ねている」と伝えた。
 ヘリフは「女性差別的、人種差別的、性差別的」なネットでの中傷の被害にあったと主張。ヘリフ側の告訴を受けて、フランス検察当局がジェンダーに基づく公的侮辱などの容疑で捜査を開始したという。
 ヘリフを巡っては、昨年の世界選手権で国際ボクシング協会(IBA)が性別適格検査で不合格とした経緯がある。パリ五輪期間中にはイタリアのメローニ首相や米国のトランプ前大統領がヘリフの性別について言及するなど、政治家を巻き込んでの議論に発展。対して国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が「(性別問題の渦中にいるヘリフと台湾の林郁婷の)2人が女子であることに疑いの余地が生まれたことは、過去にも決してなかった」と疑念を打ち消していた。

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