デジタル情報空間を中心に、さまざまな誤情報・偽情報が出回っている。2024年元日の能登半島地震では「人工地震が原因」と主張して人びとの不安をあおる投稿や偽の救助要請などがSNSに相次いで投稿された。また、生成AIを悪用した偽動画も年々巧妙化している。
こうした事態に対抗する手段の一つがファクトチェックである。情報の真偽を見極める方法として期待され、マスメディアの中でも積極的な取り組みが見受けられる。しかしながら、メディアによるファクトチェックは一部にとどまっているのが現状で、広く浸透しているとは言い難い状況である。
2024年5月24日にオンラインで開催した「文研フォーラム2024」では「誤情報・偽情報にどう立ち向かう ~メディアに何ができるのか」と題し、誤情報・偽情報を巡る問題を取り上げた。フォーラムではメディアやファクトチェック団体の5人のパネリストとともに、問題の深刻さを伝えたあと、メディアにできる対策について議論を深めた。本稿は当日の議論をせき止めて伝えるほか、フォーラムに先立って放送文化研究所が行った受け手アンケートの結果などを報告するものである。
誤情報・偽情報の問題は、放置すれば人びとの判断を狂わせかねず、健全な民主主義社会を脅かしかねない危険性すらはらむ。メディアとしてどう立ち向かうかは、今後ますます問われることになる。
誤情報・偽情報にどう立ち向かう
~メディアに何ができるのか~
公開:2024年10月1日
メディア研究部 上杉慎一/秋元宏美
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