退職時手続きを行なってくれない会社への対抗

会社が従業員が退職する際に行うべきことがいくつかあります。
この中で、タイムライン的に「従業員退職後」に行わなければいけないこととしては以下のようなものが挙げられます。

・社会保険の喪失手続き
・雇用保険の喪失手続き
・所得税、住民税関連の手続き
・離職票や源泉徴収票などの発行・郵送

多くのまともな会社では、これらの手続きは退職後速やかに実施します。多くの事項については法律で遵守が定められており、迂闊に破ると法令違反となるからです。

しかし、数少ないと信じたいですが、一部の会社ではこれらの義務を守らないことがあるようです。理由はよくわからないですが、
・会社としての体制の欠如・不備
・退職した元従業員への嫌がらせ

などがよく聞く理由です。

日本は法治国家で、善良な一般市民を守るための法律や機関が数多く存在しています。従業員側にもいくつかの対抗施策があります。
私は労務の専門家ではないので全てを網羅することはできないですが、自分が経験したことについていくつか書いていきます。
一部調べきれてない項目もありますが、そちらは情報がアップデートされ次第追記をしていきます。


雇用保険の喪失手続きをしてくれない / 離職票を発行してくれない

会社は、労働者の離職日(雇用保険の被保険者でなくなった日)の翌日から10日以内に、会社を管轄する公共職業安定所(以下「ハローワーク」といいます)に雇用保険被保険者資格喪失届を提出しなければなりません(雇用保険法第7条、同法第83条1号、雇用保険法施行規則第7条)。

雇用保険の喪失手続きをしてくれず、離職票も発行してくれない状況になると、離職後無職になった場合は失業保険を受け取ることができなくなるようです。
別の会社に転職した際も、転職先の雇用保険に加入することができなくなります。

ということで、元従業員への嫌がらせレベルはかなり高いです。

ハローワークに相談すると、雇用保険の喪失手続が行われているかどうかの確認をすることができます。
そして喪失手続きが行われていない場合、企業に対して速やかに手続きをするよう「確認請求」を行なっていただくことができます。
その際に、以下のような情報が必要なので、あらかじめ手元に控えて訪れるのが良いと思います。

・身分証(免許証など)
・前職に在籍していたことを証明する書類(給与明細など)
・会社での勤務形態(正社員、パート等)
・会社の勤務状況(勤務時間、勤務日、休日)
・賃金体系(月額xx万円、等)

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記入例

会社が元従業員の求めに応じず、喪失手続きや離職票の発行を行わない場合、法律としても罰則があるようです。会社と個人間のやり取りだけだと有耶無耶にされる可能性が高いですが、ハローワークを介して「確認請求」を行うと、明確に「手続きが必要である」ということを証明できるため、会社は以下の罰則を受けることになると思います。

雇用保険喪失手続きが必要であるにもかかわらず手続きをしなかった場合は、より深刻な問題に発展する恐れがあります。離職者が失業給付を受けられないのはもちろん、雇用保険法第83条により6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に科せられてしまうでしょう。
さらに、離職者からの離職票の請求に応じなかった場合も罰則の対象です。雇用保険法第76条第3項違反の対象となり「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科されてしまいます。ペナルティを受けることがないよう、正しく対処していきましょう。


源泉徴収票を送ってくれない

源泉徴収票の交付は、従業員を雇用している会社や個人事業主などの義務です。会社側から源泉徴収票が交付されない場合、従業員が所轄の税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出すると、会社への行政指導が行われる場合があります。

源泉徴収票の交付は、会社の義務です。
発行されない場合、元従業員としては年末調整や確定申告の際に正しい手続きが行えなくなり、不利益を受けることになります。

これも、嫌がらせレベルとしては相当に高いです。

従業員退職時は、退職後1ヶ月以内に交付することが義務付けられています。期間を経過しても源泉徴収票が発行されない場合、「源泉徴収票不交付の届出書」を税務署に提出することで、税務署を介して会社に督促をすることができます。

記入の際は以下のような情報が必要となるので、あらかじめ手元に控えて訪れるのが良いと思います。

・ 給与支払明細書が保存されている場合は、給与支払明細書の写し
・ 勤務先に対して、源泉徴収票の交付を求めたことが分かる書類等

二段目の書類について、国税庁のページに「源泉徴収票不交付の届出書」を提出される前に、ご確認ください。」というドキュメントが公開されています。
こちらに沿って「会社に対して源泉徴収票の交付を求めた」事実関係について簡単な書類を作り、プリントして持参すると手続きがスムーズになります。

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「源泉徴収票の不交付の届出書」自体には法的効力がなく、税務署の方に対応をいただいても100%の確率で源泉徴収票を手に入れられるかはわからないようです。
ただしもちろん、これは会社の義務でもあるので、対応をしないと罰則があります。

源泉徴収票は所得税法によって交付が義務付けられた書類であるため、交付を怠った場合は、当然罰則が科されます。具体的には所得税法242条の規定により、1年以下の懲役、又は50万円以下の罰金が科されることになるでしょう。


社会保険の喪失手続きをしてくれない

前職における喪失手続きが行われていない状態で次の会社で社会保険に加入すると、「二重加入状態」になり、場合によっては不利益が生じることがあるようです。

健康保険組合に対して資格喪失届を提出することで対応が可能なため、会社が対応をしてくれない場合は、個人で対応が可能と思います(これは実際に試してないので不正確かもしれません)

ITSでは以下のようなサイトに情報が一通り掲載されています。

会社に保険証を返納してしまって手元に無い場合も、被保険者証滅失届という書類を記載して提出することで対応が可能なようです。


「給与支払報告書特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を発行してくれない

住民税の納付に関する書類です。

住民税は会社が給与から天引きしてくれる「特別徴収」と、個人の責任で納付する「普通徴収」があります。
前職時に「特別徴収」で、新しい会社でも「特別徴収」を継続したい場合、前職から上述の長い名前の書類を発行してもらい、転職先に提出する必要があります。

この手続きが漏れた場合どうなるのか、普通徴収に自動的に切り替わるのかは、調査中です。


会社の不作為なのか、悪意を持った嫌がらせなのか、ケースによっては様々でしょうが、繰り返しますが日本は法治国家で、一般市民の利益を守るために様々な法律が用意されており、様々な機関が用意されています。

会社としては、「気に食わない奴に対して私刑を食らわせてやった」と良い気分になっているかもしれませんが、最終的に不利益を受けるのは、その会社の人たちです。

退職時のこういった手続きをまともに行なってくれない会社は、私の経験した中ではたった「一社」だけです。世間的に「労働時間が長い」「ブラック企業」と言われているような会社で働いたこともありましたし、パワハラ気質が蔓延していたような会社もありました。それでも、当たり前ではありますが退職手続きはきちんと行なっていただきました。

真のブラック企業というのは、こういう感じで、「法令を遵守する気持ちがない」「労働者の権利を踏み躙り、労働者が本来受ける必要がない謂れのない不利益を与える」、そんな会社です。

退職時の手続きもまともにしない会社が、一方で在籍している従業員には優しい、なんてことはありえません。実際、その会社においては、以下のようなこともありました

・残業代の不払い
・資格取得手当の説明のない不払い
・約束されたストックオプションの未付与

ストックオプションについては、採用内定通知書にわざわざ記載をしているくせに、付与されることはありませんでした。
期間中、会社としてはストックオプションの発行を複数回行っているにも関わらず、正当な理由なく付与が行われることはありませんでした。
上長に何度も繰り返し確認をしたら「増資をしたら付与する」という言質を取りましたが、増資後も付与されることがありませんでした。

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この会社はもう辞めているので、どのみちストックオプションの行使権利はもうないのですが、こういうふうに法律で定められている退職手続きすら行わない会社は、それ以外のところでも遵法意識がない、という一例です。

繰り返しますが日本は法治国家で、一般市民の利益を守るために様々な法律が用意されており、様々な機関が用意されています。なので、個人としては、泣き寝入りをせずに、様々なみなさんのお力を借りて、淡々と対抗をしていく、それしかないのかなとは思います。


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