愛しているで回収しよう。
東京在住の二十三歳の女性A様から「お久しぶりです!坂爪さんと一緒にお酒を飲みたいです!お金は払いますが、店は坂爪さんレーダーにお任せしたいです。それでもよろしければ何卒」とご連絡をいただいた。私の正しい使い方である。A様は、最近まで心の病で死んでいた。無事に復活を遂げ、世界がキラキラ輝いて見える程度には元気になったのだが、それも落ち着き、最近は退屈していると言った。ちなみに、現在の住居は二畳に満たないさわやかな監獄みたいな部屋だと言う。
A様は可愛い女性だが、これまで一度も男性から告白されたことがなく、自分に自信が持てず、みんながキラキラ輝いて見えて、男の人とは縁のない人生になるのだろうなと諦めていると、涙ながらに語った。私は「そんなことないぜ」とは言わずに、そんなことないぜ感を漂わせながらA様の話を聞いた。最近のA様の愛読書は「孤独を生き抜く哲学」で、私の最近の愛読書は「東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ」である。孤独を楽しむのもいいけれど、孤独をぶっ壊すのもいいよねと言ったら、A様は頭を激しくぶんぶん振った。その振り方にA様の熱情を感じたので、本をあげた。
心の病から復活したA様は、工場で日雇い労働をしている。仕事自体は嫌いではないのだが、気に食わないことが一個あると言った。工場では、従業員の生産性を見る。生産性の高い人と低い人が数値化されて、可視化される。なんだよそれとは思うのだけれど、生産性が高いと安心するし、生産性が低いと不安になる。そんな自分がダサくて嫌だとA様は言った。私は生産性に踊らされている。坂爪さん、クソなのは私ですか、工場ですかと聞かれたので「どっちもじゃないかな」と言ったら、A様は「そうですよね」と言って笑った。
A様から「こいつには話しても無駄だと思って諦めることはないですか」と聞かれた。偉そうな言い方になるが、それは少し力み過ぎだと思った。自分が話したいことを話すより、相手に話したいことを話させて、気持ちよくなって油断してボロが出たところを突く。すると、相手はふぎゃー!となって「痛いところ突かれた」となり、心地よい敗北の味を知り、私は忘れられない男になる。A様は劣等感があると言ったが、劣等感がある人は間違いなく優越感がある。自信がないとか言いながら、周囲の人間を見下しまくったり「こうならないでよかった」と下を見て安心しようとする傾向がある。劣等感は優越感から来ている。言葉は自分に返ってくる。人を見下す自分に見下される。人を醜く感じる自分が一番醜くなる。優越感が木っ端微塵に粉砕されると、劣等感も消える。
A様は「最近男の人を見るとぶち殺すって思っちゃうんです」と言った。思っちゃうなら仕方がないが、それだけだと自分の言葉に殺される。だから「愛しているで回収した方がいいよ」と余計なおせっかいを働いた。ぶち殺すだけでは不穏だ。ぶち殺すと思った後に「でも、愛しているよ」と言葉を添えてあげるだけで、マイルドになる。自分の醜さも同時に愛せるようになる。ぶち殺すと思うことを禁じるのではなく、愛しているを添えるのだ。愛しているで回収するのだ。嘘でもいいからアイラブユーと言ってみよう。そうすると、捨てたものではない人間の部分が見えてくる。帰り際、A様は好きな人がいると言った。好きな人といちゃいちゃするのが夢だと言った。いちゃいちゃとか言えているA様は、大丈夫だと思った。上野駅の改札の前でA様は指ハートを作った。指ハートを作れるA様は大丈夫だろうなと思った。
ありがとうございました!
お店とか解散するタイミングとか諸々お任せしたことで守られている感があり、完全に安心して居ることができました!本当に感謝です!
坂爪さんが発される言葉ももちろん好きですが、坂爪さんと一緒にいるだけでやるぞ!という気持ちになれることがすごいなと思っています。いつも存在そのものから勝手に力をもらっています。ありがとうございます!!!
また会えますように!そして少しでも良い夜を過ごせますように🫰
本も譲ってくださりありがとうございます!読みます🐒🐒🐒
おおまかな予定
11月5日(火)高知県南国市界隈
以降、FREE!(呼ばれた場所に行きます)
連絡先・坂爪圭吾
LINE ID ibaya
keigosakatsume@gmail.com
SCHEDULE https://tinyurl.com/2y6ch66z
バッチ来い人類!うおおおおお〜!
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