元市長が武蔵野市長を提訴 「駅前市有地を随契で売却は不当」
2022年8月27日 08時17分
東京都武蔵野市が昨年、不動産開発業者(千代田区)と行った二件の土地取引で市に損害を与えたとして、元市長の土屋正忠さん(80)が、松下玲子市長に九億九千万円余の損害賠償を求める住民訴訟を東京地裁に起こした。二十五日付。
土屋さんが市監査委員に行っていた住民監査請求が今月四日に棄却されたため提訴。元市長が現職を訴える異例の展開となった。訴状では土地を不当に高く買ったり、安く売ったりして損害を与えたとしている。
土屋さんは二十六日、原告に名を連ねた市内の不動産会社経営の山本徹さん(55)と市内で記者会見。昨年十月に吉祥寺駅前に市有していた駐輪場跡地三百平方メートルを随意契約で売却したことについて、契約額は高額であり、随契で売る緊急の必要性はなく、一般競争入札が不利にもならないなど「地方自治法施行令の随意契約の要件に該当せず、違法で不当だ」と主張した。
住民監査請求を棄却した市監査委員は「不動産鑑定における価格の査定に不当性は認められない」などと結論づけた一方、市民への説明がなく「市民の理解を得るための市の姿勢については疑問が残る」と指摘していた。提訴について市の担当者は二十六日、「訴状が届いていないのでコメントは差し控えたい」とした。(花井勝規)
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