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2012年6月16・17日
山形県採集
龍の眼光 虎の鼓動・・・
本格的な材割シーズンも終了間際、いやもうすでに終わっているのかもしれませんが、
なにか心の中で終われないものがあり、少々強引気味ではありましたが、
頭幅会ラスト遠征ということで、一発狙いに山形県へと行ってきました。
まあこの時期、もう山は緑。
見通しが全く効かない状態であることは予想されていました。
しかし、そんな理由はまあ、このキチガイ達には関係ないものであり、
行くか行かないか?ただそれだけです。
当日はどじょうさんを迎えに行き、私の車で出発しました。
夕方ころ出発して、深夜到着し、朝まで仮眠という計画です。
翌日の天気予報は雨。
しかし、雨から逃げるように上へと向かっていきます。
順調に高速を飛ばし、現地に着いたころにはもうすぐ明け方という時間になってしまいました。
それでも、長運転の疲れを少しでも取っておかないと、採集中にぐったりしてしまうので、
狭い車中にて仮眠をしました。
しかし、そうそう寝れるものではなく、何回も目が覚めながらの仮眠になりました。
4時頃に空が白み始め、いよいよ始動の時間となりました。
コンビニで朝食、昼食を買い、歯磨きをして出発です。
いよいよ数年ぶりの山形県での採集です。
胸がワクワクします。
まずはブナ林目指して車で向かいます。
その途中、数本立ち枯れがあり、チェックしていきますが、脚立かければ出そうな材もありましたが、
ここは軽くタッチして、どんどん進んでいきます。
すると、また立ち枯れがありこれも良さそうです。
ふと、道路を見ると大きな毛虫が居るのが見えました。
ずいぶんデカイ毛虫だな~と思い、どじょうさんに冗談で、
「モグラがおる!」
と、言いました。
「ほんと?」
「いやいや、冗談、冗談」「でっかい毛虫」
といい、近づいて行きました。
すると、なんだか足が生えています。
「お!ホントにモグラだがや!!」
「マジで?そんなことってあるか?」
「すんごい確率だて!」
まさかなんと本当にもぐちゃんだったんです。赤ちゃんモグラだったので小さくて毛虫のおっきいやつくらいでした。
もちろん死んでいました。
生きていればじっとしているはずがありません。
もぐらは強烈に足が速いですからね。
これはなんかの前兆か?と、期待に胸を膨らませます。
いよいよ本格的にブナが出てきました。
興奮のブナ帯採集の始まりです。
まだ気力がみなぎっている朝のこの時間帯が一番充実しています。
2人で手分けして材を探します。
すると、急斜面の下の方にかすかに倒木が見えました。
ちょっといってみようか?と、斜面を下っていきます。
すると、上から見えた倒木が見当たらなくて、ちいさな折れ株がありました。
なかなかの良材ですが、これでは期待薄です。
どじょうさんが鋭い龍の眼光で見渡すと、さらに下って行ったところに倒木を発見しました。
なかなかの大きさがあり、まだ倒れて間もないようです。
これは期待できます。
胴体の部分からどじょうさんがチェックしていきます。
わたしは枝の部分で古めの形跡を探します。
すると、アカアシと変わらない黒ずんだ細い食痕から幼虫がコロンと転がり落ちました。
「出たよ!オオクワ!」
なんと一頭目の幼虫からオオクワガタが出てきたのです。
やっぱり山形は濃いなぁ~。改めて思います。濃い!山形と福島は濃い!
新潟あたりではこうはいきません。
2人でその周辺を削っていきます。
大きな材なので、ひ~こらいいながら削っていきます。
すると、ある箇所をボコンとえぐると、いきなりオスの蛹が目に飛び込んできました。
でっけ~、けど死んでる。蛹で!
はは、久しぶりに出ました。
まあ、デカクないんですがね。
とりだすと、中歯のようです。
まだオスの大きい幼虫がおるぞ!と、2人で興奮気味に削っていきます。
かなり良い食痕が続いていき、良い感じです。
すると、メスの成虫が出てきました。
なんだ成虫かよ~。と、暴言を吐いていますが、40ミリくらいの良型です。
まだ出ないオスの終令めざして、汗だくになりながら削っていきます。
雨も強くなりだしましたが、気になりません。
最高の時間が流れていきます。
すると、ついにオスの終令が出てきました。
どじょうさんが大きい2令が出たと言います。
見に行くとかなり良型の2令がいました。
慎重に取り出すと、なんと小さな極小の3令だったのです。
なんども確認しますがオオクワです。
しかもオスで、8ミリチョイくらいしかない極小サイズです。
その後は疲れたころに出ると言った具合に丁度いい感じの割り出し具合で、この材を堪能しました。
やわらかいところだけ削って、堅い部分はそのままにしておきました。
もう十分です。けっこう楽しみました。
頭幅会はなにより材を当てるのが好き。
一度当ててしまった材は、よほど大きな食痕が続かない限り、いいとこで止めます。
まあ、飽きてしまうんですね。
さあ、次当てよう次当てよう!と、その材を後にしました。
まだ時間も8:30分くらいです。
下手をしたらまだ始まりの時間ですね。たっぷり時間はあります。
ただ、雨の方が結構降っていて、一度車に戻るとなかなかでるのが億劫になってしまいます。
それでも、採集を続けます。
近辺で数本チェックした後、大きく移動しました。
とある林道の奥で、今度は虎の嗅覚が、ピクン!!と、反応しました。
これは匂う!!
野生の鼓動が騒ぎます。いるぞ!ここには!
と、山に入っていきます。
しばらくいくと、そこそこの立ち枯れがありました。
これはいるでしょう?濃いからな。山形は!
と、調子こきながら近づいていきます。
気になる部分をサクッと削った時に、初令の食痕群が現れました。
慎重に細さ加減を吟味しますが、どうもオオの初令のようです。
「おるよ!これオオだ!」
どじょうさんはヘラヘラ笑っています。
いくらなんでもそんな簡単には出んと思ったようです。
ほどなくして初令が転げ落ちました。
やっぱりオオや!
なんと予想通りオオクワガタの初令が出てきました。
またゲット!濃いなぁ~濃いなぁ~を2人で連発です。(笑)
斜面になっているので、交代で削っていきます。
初令、3令がポコポコでてきます。
複数のメスがかなり来ているようです。
こんな、ガバチョン産卵痕が何個もボコボコあるんです。
汚い所からも3令が出ます。
と、そのとき、どじょうさんが削っているのを見ていた私があることに気づきました。
上部がとんでもないほど揺れています。
「危ない、これ折れそう!」
それをきいたどじょうさんは慌ててこちらに来ます。
「ホントに?うそでしょう?」
「いや、マジだって!いまグニングニンうねっとった。」
あいかわらず、へっぽこ炸裂です。
それからは慎重に削りますが、どうしても気になってしかたありません。
まだ上部の堅めのところにいいのが入っていそうですが、こわくて手が出せません。
お腹もすいてきました。昼を車に置きっぱなしで腹減り限界です。
もうこれ明日の朝から倒そうよ、危ないわ。
そうしようか?腹も減ったし。
ということで、あした秘密兵器で倒すことにしました。
たぶんこのまま削ればすぐにでも倒れます。芯はもうありません。
最初から芯部は空洞になっています。
しかし、できないんです。ビビり2人なんで、離れていないと倒せません。
ということで、初日はきっちり結果出したということもあり、雨も降ってるし腹減ったしで、
早めにあがることにしました。
車で遅めの昼食を摂った後、待ちに向かっていきました。
ホテルで風呂に入った後、夕食に出掛けます。
当然、山形と言えば米沢牛。山菜料理なんか食ってる場合じゃありません。
今晩はどじょうさんリサーチの美味い情報の店に行きました。
これがイマイチなんだな。
やはり焼き肉は名古屋にはかなわないか。
岩手は美味かったんですが山形は大したことありません。
ってより、肉が想像通りすき焼き向きの甘肉です。松坂もそうですが、
焼くと甘過ぎてくどい。しゃぶしゃぶかすき焼きが美味しそうです。
まあ、くどいもんで、そこそこにしておきました。
まあ、腹は膨れたのでよしでしょう。
そんなこんなで、あっというまに初日が終了してしまいました。
2日目は朝、6:30分に朝食です。
それを食べて、さっそく昨日の材へ出発です。
朝から雨が降っています。
現地へ着くと、ちょうど日がさしてきてこのあたりだけ降っていません。
準備をし、時間がかかるので昼食を持って出発です。
かなりの急斜面を登っていき、ようやく材へ到着です。
さあ、ここで秘密兵器の登場です。
なんて、ただのロープなんですが。
さあ、テコを効かせるには最低でも少し上の枝部にかけなくてはいけません。
私が何回か挑戦しましたがうまくいきません。
そこで、どじょうさんの登場です。
「こんなん楽勝だて!」
と、言います。
そんな簡単にはいかないだろうと見ていたら、一発目からギリギリをかすめます。
「うまい・・。」
2発目、せりゃ~と気合と共に縛った棒が枝部に垂れ下がります。
天才級の上手さです。
ロープを一周まわし、そこから絶対に倒れても大丈夫な位置まで移動します。
すんげい長いロープを用意しています。ヘたれ炸裂です。
2人で息を合わせ引っ張ります。
最初、息がばらばらで少し揺れるだけでしたが、落ち着いて息を合わせると、
やっぱりもうぐらぐらです。
ミシッ!と音が響き渡ります。
ミシッミシッ・・・・、どぉぉぉぉ~~ん!!!!
簡単に倒れました。
そのまま続行して削っていたら、簡単に倒れていたところでした。
あんなのに下敷きになったら恐ろしいことになります。
どうせ、削って倒れるものなら倒してからの方が安全ですし、どうせ倒れるまで削るんだから。
ただ、生が残っている状態で、のこぎりまでだしてはやりません。
簡単に引っ張って倒れそうな時しかやりません。
なぜかって? 倒すのが悪いから?
違います。めんどくさいからです。そんな疲れることしてまでオオクワいらん。
というのが、頭幅会。
まあともあれ、後はゆっくりたたみかけます。
中間部を削ると食痕だらけです。
オオの3令がほどなくして現れます。
ポロポロと、3令が出てきますが、これがオオの食痕を追っているというより、
アカアシのような細い食痕から小さい幼虫が沢山出てきます。
どじょうさんはもううんざり状態です。
これ、大物おらんわ。もうやめだ。と、しきりに言っています。
私は上部の堅い部分やいろんな位置を細かくチェックしていきますが、
産卵痕だらけで、密集していることもありやはり小さい3令ばかりが出てきます。
しかも圧倒的にメスが多い。
一日かかると思われた材ですが、軽く見積もってあと15や20頭はいるでしょうが、
もうやめることにしました。
「オオクワを抜いているという楽しさがない。」
などと、出るだけでも十分なのに、満足しきった二人はこんな生意気なセリフと共に
この材を終了することにしました。
こんなチビいくら採ってもたしかにどうしようもないです。
苦労して苦労してようやく見つけた一頭。と言う採集が、辛いものですがやはりいいですね。
でもそんなん選べませんから仕方ありません。
幼虫面を雨が当たらないように裏向きにしておきました。これで大丈夫でしょう。
堅い奥に入っていってくれれば大丈夫です。
どんなブナもそうですが、私たちが生まれる遥か昔からこの地にそびえたっていて、
長い一生の中で最後にこの2人に楽しさを与えてくれました。この出会いに感謝しなくてはいけません。
お疲れさん。有難う。ゆっくり眠って下さい。
と、心の中で言葉をかけ、このブナとお別れしました。
丁度車に戻った時に昼だったので、昼食にしました。
雨もあがり、気持ちがいいです。
さて、それからは少々山深いブナ林まで向かいました。
ここで、探索して終わりにしようということですが、先ほどから雨が強烈になり始めました。
よこから強風と共に叩きつけます。
少々の恐怖感さえ感じます。
そんな中、数本の立ち枯れをチェックしていきますが、この辺は薄いのか鬼が少々出るだけで、
オオクワの痕跡もありません。
龍、虎、鬼と揃い踏みしたところで、今回の遠征の幕を下ろすことにしました。
そして、温泉に入り雨で冷え切った体を温めから、ゆっくりと帰路に着くのでした。
今回はまあ、楽勝の採集でありましたが、こんなこともあれば とても苦労してようやくゲットにたどりつく
場合もあるわけで、けっして山形であっても福島であってもそうそう簡単には出ませんよ。オオクワは。
ただポイントに入れば確かに濃い場所もあるわけでして、でもそこにたどり着くまでの苦労も大変なものです。
もう灯火の声が聞こえるこの時期ですが、頭幅会もこれを最後に来季のブナ帯遠征まで、斧を置くことになります。
今シーズンも、こんなチンケな採集記につきあっていただき有難うございます。
今期は超激レアといわれる3県にてオオクワガタに出会うことができました。
私の目標とする「採集グランドスラム」達成まで、あと3県及び最大の難関70ミリオーバーだけになりました。
もちろんすべて材割に限ってです。
20県の方はやはり遠方が残ってしまい、大変になっては来ますが目前まで見えてきています。
70ミリの方は出会い次第なので、なんともいえませんが、最後の県で70ミリオーバーと共に
締めくくれたら最高なんですがね。できればブナ帯で出会いたいものです。
来シーズンもどんなドラマが待っているのかわかりませんが、いままで狙ったことのなかった70ミリ。
真剣に狙っていきたいと思います。
とはいえ、どうやって狙うんや!って話なんですが・・・。
なんとか40までには達成したいですね。
まあ、これからも楽しく臨場感あふれる採集記をお届けしていくつもりです。
どうか、来シーズンもよろしくお願いいたします。
頭幅会の採集記はインチキなしの、自己開拓中心! 本物は楽しいですよ。
「たかが採集 されど採集・・・」
お わ り