これほど虚像と実像の違った選手も珍しい。終始、わき役的存在だったことから、地味な苦労人と受け取られがちだが、実際はあり余る才能を備えたスマートな選手だった。鋭い洞察力と抜群の野球センス。その天分をよりどころに、三村敏之は17年間の現役生活を、汗も涙も流さずさわやかに駆け抜けた。