なぜ増えたのか
祈祷とは、神仏の加護を願って、除災増福を祈ること。日本には神道や仏教、山伏系から民間信仰、新興宗教に至るまで、さまざまな祈祷師がいる。伝統宗教の退潮と軌を一にして、その数は減ってきた。ところが、女性の祈祷に対する需要は、むしろ高まっている。
「占いを入り口に、まずはタロットや星座占いといった“洋物”から入り、それでは飽き足らなくなって、日本の伝統的な祈祷に回帰する流れがあります」
こう解説するのは、祈祷師として活動する、はたの びゃっこ氏。この流れは、'00年代に『オーラの泉』などで盛り上がったスピリチュアル・ブームの延長線上にある。その後、非科学的などとの批判もあってテレビからスピリチュアルな要素が排除され、表向きはブームは沈静化した。
けれども、草の根での拡大は続く。ネットやイベントの場でスピリチュアル系(スピ系)の盛り上がりは、留まるところを知らない。背景には、霊的なものを感じていなければ生きていけない、依存性の高い女性が都会に増えていることがあると、はたの氏は指摘する。
なんでも霊のせいにしたがるスピ系女子の氾濫は、未来が見通せず、いまだに男社会である現実からの逃避という側面も持つ。そこに映し出される社会の病理にも目を向けたほうがよさそうだ。
「週刊現代」2024年10月26日・11月2日合併号より