第10-9.ヤハウエとゾロアスター教
サタン・ナブーは新バビロニアとエジプトを支配し、次にローマとエジプトをメシア・キリスト教の支配下に置き、全世界を支配しようとした。このナブーの野望を打ち砕いたのは、ゾロアスター教を基盤とする宗教帝国・ペルシャでした。
天の啓示による教義を基盤とし、イラン人をして帝国へと発展させた。それは、悪の計略を打ち砕くための天の叡智でした。
- ◇[天の奇蹟 下]「問14~16解答」からの抜粋です。
- 「アフラ・マツダ神はエル・ランティ様、アメシャ・スペンタを含む七人の天使は、当時ミカエル大天使長並びに六大天使。天使界。そしてアングラ・マイニュは…サタン・ダビデなのです。又、ユダヤ教、キリスト教よりもゾロアスター教において現在千乃様を介して明かされている天上の姿と真実がそのままに語られ、明示されているのは、天上界がすべてを語ったからなのです。」とあり、ゾロアスター教は神々が真実を伝えた宗教でした。
加えて、「ゾロアスター教でもメシアの出現は語られておりますが、十字架と復活による救いではなく、天の意は、あく迄裁きと救いであったのです。十字架と復活、割礼、生け贄の供えなどは常にサタン・ダビデの冷酷でサディスティックな性格の副産物であり、主張であったのです。」。しかしサタン・ダビデにより、メシアが歪められてしまいました。
「ダビデの手による『ヨハネの黙示録』をプロテスタントのクリスチャンに、カトリックには七大天使の記述のある者(エル・ランティ様の霊示による)は大半を儀典として軽んぜしめ、ユダヤ教徒にはダビデの手による『エズラ書』によりモーセ様の律法を絶対視させてイエス・キリストを否定するようにせしめた。更にユダヤ民族をして、モーセ様やダビデ王の再来がメシアであると思い込ませたのもダビデなのです」とある通りです。つまり、イエスは自身をダビデ王の再来と認識しており、イエスの物語もまた、ダビデのシナリオでした。
そして、「ダビデは、ユダヤ民族を天上界から離反させる為に、まずイエス様を十字架に掛けること。次に“律法”を絶対視させる方向に向け、ユダヤ民族をして地上世界の支配者たらしめることで、エル・ランティ様に対立した自分の王国を作る。その計画を着々と実行に移す為に、①処女懐妊
②十字架上の死 ③復活により、イエス様の神聖を印象付けた。」とあり、つまり、再臨のイエスをして地球の悪の王国と成そうとした。(追記.2015/12/09)
本章のゾロアスター教関連については[ゾロアスター教 講談社学術文庫]を参考にした。
神の啓示による教義を中心として、国家が形成される。教義を正義とし、これを基準として祭司が神判を行う。村々に祭司が派遣され、学校では教義を伝え、書記が育成される。神により王権が与えられ、祭司の助言を受けながら王が国を治める。このようにして、司法、立法、行政が整い、同じ教義を共有する一つの民族国家、宗教国家ができあがる。
国家が安定し、人口が増え続けると、国王と祭司が権威付けされ、彼らは租税により糧を得るようになる。巨大な神殿や多くの捧げ物、きらびやかな祭儀が行われ、神の啓示に、学者・祭司・国王の利権を正当化する神話や律法が付加されてしまい、神々との交流が阻害されていく。ついに、発展し続ける文化の常識に、国の依って建つ教義が適応できなくなってしまい、国家の不安定をもたらす故に改革が断行される。そうでなければ堕落・腐敗し、滅びに至る。
ゾロアスター教の時代も同じで、本教義に火を崇拝する教えは無かった。しかし、古代の宗教を取り入れ、各家庭のかまどの火を通して神の摂理を拝むというささやかな風習を容認した。ゾロアスター教では、偶像崇拝は行わず、神を拝むのに神殿も必要なかった。その都度、縄を張り巡らし、その中を聖別して拝んだ。祭司のささやかな権威、家族長の権威があれば充分だった。ところが、ペルシャ帝国が拡大するに従い、ペルシャが滅ぼした新バビロニアのマルドウク夫妻と長子ナブーが神として迎えられた。特にナブーの母サルパトニ用の神殿が建設され、そこに偶像が置かれ崇拝された。更に、消えない巨大な火を神殿に持ち込み、国家の権威とした。
現代の私達からすれば、宇宙を創造した全知全能の神が存在すること自体が非科学的です。しかし、一方で聖書に書かれている慈愛あふれる神の言葉に癒やされるのです。
当時の宗教(ゾロアスター教、ユダヤ教、イスラム教、原始キリスト教)は、天地を創造した神を認めているが、その当時の科学知識においては論理矛盾は無かった。ところが、新たに勃興したメシ・キリスト教徒は、それよりも千年以上前に樹立した火を拝む宗教に対し、神でもないただの現象である“火”を拝むのは非科学的だと非難したのです。今の私たちから考えれば信じられないのですが、この当時、メシア・キリスト教は最新の科学的教義を持つ宗教だったのです。
1.ゾロアスター教以前
インド・イラン語族は、生命を奪うことに畏怖と危惧を感じていたので、犠牲に際しては生物の霊を生かし続ける祈祷を行っていた。このように聖別して死んだ動物の魂は、「牡牛の魂」という神に吸収されるとし、この世のすべての有益な動物を守り、その繁栄を助けると信じられていた。そして、人間と動物との間には強い絆があると信じていた。
清浄ということはインド・イラン語族にとって、神々を礼拝するにも、また悪に対抗する守りとしても、非常に大切なことだった。
インド・イラン語族には、太陽が規則的な運動を続け、季節が移り変わり、そして生物が秩序を保って存続し続けるような自然の法則が存在すると信じていた。この自然の法則は「アシャ」と呼ばれた。礼拝や犠牲を捧げることも、この自然の推移の一部であり、祭式をおこなうことは、慈悲深い神々自身と人の住む自然界に力を与え、アシャを維持するのを助けるとされていた(※)。
「アシャ」の観念には自然法則に加えて倫理的な意味が備わっており、それゆえ人の行動にも影響を与えた。徳とは、自然の法則に従うことであり、人間として真実・正直・勇気を持つことであった。悪徳とはこれらに逆らうことであった。
また、言葉にした誓いには力があると信じられ、この聖なる力は約束を守る正しい人を支持、繁栄させて、裏切った嘘つきを恐ろしい復讐で打ち倒すと認識されていた。だから、ある人が違約を指摘され否認した場合、当時では訴訟は避けられなかった。そして、誓約の場合には「水」、契約の場合には「火」による神判に従うべきものとされた。この神判を執り行い、この聖なる教えを司るのが祭司の役目であった。尚、聖なる火については、神殿や定まった聖域は無く、個人でも国家規模でも祈りは、かまどの火の前で行われていた。
「水:アナーヒタ」「火:ミスラ」は「忠実」「真実」を意味する神として、両神共に「主」(イランではアフラ、インドではアスラ)と呼ばれた。また、ミスラは最大の火である太陽と見なされていた。
ゾロアスター教出現以前のイランでは、この二神に対する強烈な信仰が存続していた。この信仰は、イナンナが打ち立てたインダス文明を支えていたヒンドウ教のなごりだと思われる。
■(※)マヤの人身供養
この考え方は、マルドウクの弟・トートが関係したマヤ族の太陽信仰と同質のものです。つまり、原型は太陽神ラー=マルドウク信仰です。しかし、太陽の力が衰えることを極端に恐れたマヤの人々は、人身供養を行った。この悪魔的な儀式については善良なトートによるものではなく、サタン・ナブーの介在によるものです。
2.ゾロアスター教の出現
およそ前1400年~1200年頃、預言者ゾロアスターが神の啓示を受けて始められたとされているのが、ゾロアスター教である。教義の内容から、当時の七大天使が介在していたと推断される。というのは本教えの出現当時と、アマルナ革命・出エジプトと丁度重なる頃で、おそらくアマルナ革命の失敗と、それに続くモーセの民へのサタン・ナブーの執念深い介在を見越して、呪う神・復讐する神・嫉妬する神への対抗として当時の七大天使が啓示を与えたのだと思われるのです。
ゾロアスター教はイラン人ゾロアスターが説いた宗教である。現代のイランはイスラム教であるが、それ以前はほとんどがゾロアスター教であった。その教えを紹介する。
宇宙には元々対立する二つの霊が存在していた。この二霊は全く無関係であったのだが、はじめて邂逅(かいこう)した時、一方の叡智の霊(アフラ・マズダー)は善と生を、対立霊は邪悪と死を選択した。その後、この邪悪な対立霊を滅ぼすための戦いの場として、叡智の霊はこの宇宙を創造した。この両霊の対立抗争が、自然現象や人間同士の軋轢の原因であるとされた。叡智の霊を中心に、他の六神を加え、大いなる七神が存在している。
ゾロアスターは、善なる叡智の神の正しさと究極的な勝利を確信し、生命あるうちに善を選択してアフラの戦いに尽力した人間は、死後裁判を受けて天国へ行くが、逆に邪悪に従った者には地獄の苦しみがあると説いた。そして、未来には救世主が現れるという希望を与えて信者達の支えとした。
メシア・キリスト教同様に善悪二元のゾロアスター教ではあるが、古代宗教や他の宗教には寛容で、その広まりと共にミスラとアナーヒタの両神との共存を続けていた。
そして、司祭は訴訟やもめ事を神判する判事であり、各地方に祭司が点在し、集団の中心となった。また、祭司の教育、神事や神判の書記を育てる学校が必要になり、そこでは聖なる教えの伝承が行われていた。また、王の行政や立法への祭司の助言が求められた。宗教を中心に、司法・律法・行政を有する王国へと発展していった。このように宗教は古代国家の中心であった。だから、非妥協的な教義を持つメシア・キリスト教と他の宗派間において、個人同士は憎しみあい殺し合う。国家間でも同じだった。しかし、ゾロアスター教は他の宗教に対して寛容だった。
古代日本は神道を中心とする宗教国家だった。にもかかわらず、その教義と司祭の神判についてほとんど記録が無く、唯一“和をもって貴しとする”の精神だけが明記されている状況である。もし、神道の教義と神判の実例が、江戸時代の武家諸法度,式目のように残っていれば、大和国の本当の姿が現代にまで伝えられたことだろう。そして、私達日本人が大和国の成り立ちを見つけ出した時、現在も世界で続いている宗教国家間の対立抗争を正しく捉え、自国の歴史についても左翼史観から抜け出して多面的に見ることができるようになるのだと思う。
3.ゾロアスター教とヤハウエ
イラン民族のうちで、西に向かい定住した人々は、メディア人とペルシャ人と呼ばれた。彼らは、ゾロアスター教を信仰していた。
ペルシャのキュロス王は、忠実なマズダー礼拝者で、アッシャに従って広大な新帝国を公正に善く治めようと努めた。イラン人の宗教を異民族に強制するようなことはしなかった。
キュロス王の寛容さの恩恵を受け、バビロン捕囚から解かれたユダヤ人はエルサレムに帰り、神殿の再建を許された。それゆえ、ユダヤ人は後までペルシャ人に好感も持ち続け、ゾロアスター教の影響を受容していった。キュロス王自身については、[第二イザヤ書
42章]により救世主として讃えられた。
つまり、
ゾロアスターの叡智の神を含む七大天使は、結局ユダヤ人を悪魔の手から救い出したのです。だから、旧約の七大天使とゾロアスターの七大天使は同一人物で、しかもヤハウエに仕えていたのです。
◆前614~612年
メディア人は新バビロンと連合してアッシリア帝国を滅ぼした。当時の新バビロンは
カルディア人で、後に月神を信仰し、月氏族として月氏国を建国する。当然、月氏族
はメディア人のゾロアスター教の影響を受けており、その末裔である蘇我氏もまたゾ
ロアスター教の影響を受けていたと推断される。また、メディア帝国はペルシャを併
合し、この月神信仰に影響を受けて月をシンボルとした。
◆前598年、新バビロニア王国がユダ王国を滅ぼした(バビロン捕囚)。
◆前550年、アケメネス朝ペルシアによって、メディア王国が滅亡。
メディア王の婿で、アケメネス家出身のキュロス王に率いられてペルシャ人は反乱を
起こし、メディア人を服従させて最初のペルシャ帝国を築いた。
◆前539年、キュロス王は新バビロニアを征服した。
◆前525年、アケメネス朝ペルシアが、エジプトを征服。全オリエントの統一。
4.ゾロアスター教とメシア・キリスト教を結ぶマニ教
ナブー王国・新バビロンが滅んだ後、なんと彼はアケメネス朝ペルシャに現れるのです。
前四百年頃、マズダーばかりではなく、「ミスラ、アナーヒタ、ティーリ」にも祈願しだしている。それまでのゾロアスター教は、神殿や神の偶像は一切作りもせず、崇拝もしていなかった。ところが、金星の女神・愛と戦争の女神であるイシュタル(イナンナ)を、ゾロアスターの祭司は水の神アナーヒタとして、偶像を神殿に持ち込み崇拝した。さらに、古バビロニアの書記の王であり水星を司るナブーが、ゾロアスター教の聖典『アヴェスタ』に出てくるティシュトリヤ(ゾロアスター教の七大天使以外)と同一され、彼に対する祭儀が執り行われていた。
当時は第三代ヤハウエ=マルドウクの時代で、その下に七大天使(月神=マズダー、日神=ミカエル、ガブリエル、サラカエル、ウリエル、ラファエル、ファヌエル)が天と地を守護していた。そして、マルドウクが地球司令官に就任した時、その妻・サルパトニが金星の女神に就任している。つまり、太陽神・ミスラはマルドウク、アナーヒタはサルパトニ、ティシュトリヤは長子・ナブーのことである。おそらく、新バビロニアが滅亡したので、親子で神々の一員としてペルシャ帝国に迎えられたというわけです。
これに伴い、バビロンの威風堂々とした風習を受け入れ、大神殿を建設、アナーヒタの偶像を崇拝、祭司に位階をもうけ、恭しく祭儀を執り行い大帝国らしく威厳を持たせるようにした。更に、ズルワーンは、ゾロアスター教に、最高神で創造神・マズダーと対立霊の存在の前には時間があり、この対立霊は兄弟であるとする教義を加えた。これにより、神と悪魔が双子の兄弟のみならず、両性具有との邪教にまで発展している。月神=第四代ヤハウエは、悪魔ナブーとは双子の兄弟では無く、義理の弟だと事実を明かされています。
その後、ズルワーンのゾロアスター教とこれを一部受容したユダヤ教とメシア・キリスト教が似通ってしまい、マニ教はこれらの宗教の元は一つだとして宗教帝国ペルシャの基盤を危うくし、メシア・キリスト教に明け渡してしまう準備が整えられた。
5.ゾロアスター教とミトラ教
国内の宗教基盤の弱体化に加え、外国による大きな変革を余儀なくされた。最初に、マケドニアのアレキサンダー大王に征服され、ゾロアスター教は帝国内の統制を失い、形骸化した祭儀や文献が失われ、ゾロアスター教は原点に帰り、地方に分散してしまった。
イラン人をメシア・キリスト教に改宗しようとする圧力が大きくなった頃、太陽神・ミスラを救世主とするミトラ教が起こり、似たような教義を持つメシア・キリスト教と対峙する状況に至った。つまり、マルドウクがナブーを排除しようとした。
それでも、帝国は異民族の宗教に寛容だったのだが、頑迷なキリスト教徒により、ゾロアスター教の神殿が破壊される事件が続いた。それ故、裁判を行い、彼らキリスト教徒を処刑した。なお、仏教徒によるイラン人の改宗運動も盛んになっていた。このように外来宗教との戦いの機運が大きくなっていった。
しかし、後636年にはアラブに征服され、イスラム教からのゾロアスター教への迫害は一層激しくなった。更に、11世紀にはセルジュークトルコに征服され、1295年にはイスラム教に改宗したモンゴル帝国により支配され、過酷な迫害を受けている。
6.ゾロアスター教の使命
まとめると、
ゾロアスター教により、新バビロニアとエジプトを支配するサタン・ナブーの世界支配は打ち砕かれ、ユダヤ人は解放された。
次に、
ローマによるエジプト支配により、一挙に世界を支配しようとしたが、その野望はアレキサンダー大王により打ち砕かれた。
その後、
ナブーはローマとエジプトをメシア・キリスト教に改宗させ、イランのゾロアスター教がメシア・キリスト教を受け入れやすい状況にまでに至っていた。これを打破したのが、アラブのイスラム教であった。
新バビロニアの神々、エジプトの太陽神、イランのゾロアスター教は、どれも教義が異なり、寛容な姿勢がないかぎり、融和しない。これは宗教による天下三分の計だと思う。これが国家であれば、二国が共謀し残りを滅ぼすことがあり得るが、宗教の場合その心配は無い。
ローマ・エジプトのメシア・キリスト教、イランのゾロアスター教、アラブのイスラム教は、やはり、どれも教義が異なり、寛容な姿勢がないかぎり、融和しない。これもまた宗教による天下三分の計だと思う。
蛇足ですが、イランのイスラム教・シーア派は、イラン固有の古代宗教とゾロアスター教の風習を多く取り入れたイスラム教のことです。
2011/09/14 北