自分のご機嫌を守ること。
おとなになったらおとなになれると思っていたのに、おとなになっても全然おとなになれないと話す女性N様から「たこ焼きを食べながらビールを飲みませんか」とご連絡をもらった。私の正しい使い方である。お店の名前がよかった。外道丸。自分の好きなことをやればやるほど道を外れることは、宇宙の摂理である。大丈夫。どれだけ人間の道を外れたとしても、われらは宇宙の一員だ。
N様は「頑張って今日は記憶をなくさないようにします」と誓った。ダメな人間は素晴らしい。ダメさが面白い。こちらも安心してダメになれる。弱さを情報公開できるのは強さである。人間関係のコツは、いかに諦めてもらうかだと思う。「俺はこう言うことをする人間だ」と先に言う。それでも許してくれるばかりか、それを面白がってくれる人間と付き合う。規格的な優等生は、頑張れば報われると信じてしまっているために、愛される努力をする。認められる努力をする。しかし、真の充足感に他者の承認は要らない。規格外の人間は、何も頑張っていないのに報酬を受け取る。
外道丸は家族経営の店だった。西成出身の奥さんは私を気に入り、N様曰く、いままで見たことがないほど饒舌になった。奥さんは、西成がいかに治安が悪いかを語った。騙すか騙されるかの世界だからね。因縁つけてくる人もたくさんいるし、あっちこっちで人が死ぬ。生きる知恵がつくよ。こっちで因縁つけてくる人なんていないからね。稼ぎやすいよ。あっちはすごいからね。毎月十五日は何の日か知ってるかい。生活保護の金が出る日だよ。その日は、うどん屋の女将さんとかが無料でうどんをご馳走するとか言って、たくさん外に出てくるんだ。それに釣られて店に行くと、テレビが並べられてあって、競馬とか競艇とかが放送されてて、そこに使わせるって寸法さ。などなど。西成の人は西成が大好きなんだなと思った。
朝晩の冷え込みが激しくなり、油断をするとノスタルジックになったりセンチメンタルになる。感傷に浸るのも悪くないが、儚さに意識が向くと元気が出ない。端的に楽しくない。愉快じゃない。私は単純だから、どのような状態に置かれても、エレキギターをジャジャジャジャーンと弾くと、元気になる。ご機嫌になる。真夜中でも踊る。私は知っている。どれだけおとなしそうに見える人も、エレベーターの中で一人きりになった時、奇行や奇声を発していることを。この世で一番大切な仕事は、自分のご機嫌を守ることだ。自分の機嫌が良いと、周囲の人間も勝手にご機嫌になる。
誰でも使えるように熱海の家を開放している。使いたい人はご連絡ください。親が悪いとか恋人が悪いとか上司が悪いとか政治が悪いとか、自分がダメな原因を外側に置きたくなることがある。だが、自分との関係も人間関係である。問題は親じゃない。自分との関係である。この世で一番大切な仕事は、自分のご機嫌を守ることだ。自分の機嫌が良いと、周囲の人間も勝手にご機嫌になる。ご機嫌の威力は半端じゃない。誰かに何かをしてもらうことを待たないで、今、自分がしてもらいたいことを「自分が自分にする」「自分が自分に許可を出す」ことだと思う。血湧き肉踊ることをやろう。血湧き肉踊るなら正解。それが、恋だ。
バッチ来い人類!うおおおおお〜!
コメント