未来感は満載でかっこいいけど...。
Tesla(テスラ)が電気自動車のワイヤレス充電のティーザー動画を公開しました。ただ、詳細な情報は何も明かされてないんです。
先週、イーロン・マスクが待望のサイバーキャブを公開したのですが、その際に、「私たちが現在取り組んでいること、そして本当にもうやるべき時期に来ていることは、非接触式充電です。つまり、ロボタクシーにはプラグがありません。非接触式充電器上に車を停めるだけで充電されます。そう、まさにそうあるべきなのです」と述べていました。
サイバーキャブはバッテリーを充電するためにプラグを差し込む必要がないということですね。
新たに出てきたコンセプト動画
それでそれでどんな機能?と聞きたいところですが、どのように機能するのか、この技術をTeslaがどのように進めてきたのかについての説明は一切なし。代わりに出てきたのが、今回の14秒のコンセプト動画でした。
ただ、この動画、見た人たちはたくさんの疑問を持つ結果に。
動画の序盤に表示される充電時間(残り56分)が、バッテリー寿命100%までの充電を意味するのか? それとも250kWでの急速充電におけるテスラスーパーチャージャーでの最大充電量である80%までを意味するのか?などなどです。動画の最初のフルスクリーンでは、25kWを使用して35%まで充電されている様子を確認できるんですけどね。
充電完了画面が表示された時には、残り時間のみが拡大表示されているので、実際に完全に充電されたのかどうかはわからないんです。
わざと説明しないようにしている?
こうして全貌を明らかにしないのは、もしかすると意図的なのかもしれません。イーロンは、まだ開発に着手もしていない技術についてティーザーを公開することがあるので...。
2021年にロボットプロジェクトを発表した際、ロボット自体はまったくできていなくて、ロボットスーツを着た人間がロボットのふりをして出てきたってこともありましたよね。
また、非接触式充電は効率が大幅に低下する可能性があるため、ワイヤレス充電の効率性についても疑問が残ります。あるエンジニアがXで、密閉されたガレージでのこの種の充電はエネルギーの無駄が大きいため、操作がちょっと面倒くさいただの暖房器具になってしまう可能性があると茶化しているほどです。
Teslaは以前にもワイヤレス充電について何度か「匂わせ」をしてきています。例えば、2023年のプレゼンテーションでも、ワイヤレスの家庭用充電器が映り込んでいたことがありました。しかし、それについての説明はまったくなしでした。後になってTeslaチーフデザイナーのフランツ・フォン・ホルツハウゼン氏が、詳細は語らずにワイヤレス充電を開発している旨を発言したこともありました。
ライバル企業はどんどん先へ
サイバーキャブが実現するまでには、まだまだ多くのハードルが残されています。
イーロンは発売までに2〜3年かかると述べていますが、Teslaが直面している課題、特に地方自治体からの規制承認などを考えると、2〜3年というのはちょっと楽観的すぎる見通しのように感じます。
デモンストレーションの走行が実際の道路ではなく、カリフォルニア州のワーナー・ブラザース・スタジオ内で行なわれたため、無人運転車にもかかわらず、スムーズで安全を謳うことができたわけですし。実際にカリフォルニアの実道路で運転だったら、結構いい感じには行かなかったと考えられます。
無人タクシー会社のWaymoは、すでにカリフォルニアでの無人タクシーの運営承認を得ているのに対し、Teslaはそのプロセスさえまだ開始していない状況です。
電気自動車のワイヤレス充電は、すでにWiTricityなどの企業によって実現されています。同社はマサチューセッツ州とカリフォルニア州で、フォードの電気自動バンを使用したパイロットプログラムを展開しています。
これまで地上交通機関の非接触式充電の構想は、道路自体にインフラを設置し、走行中に車を充電するというものでした。デトロイトの一部の道路区間では、2023年にその実験版が導入されていますが、現時点ではワイヤレスカー充電には大きな効率性の問題があり、理想的とはいえない状況です。また、仕様の詳細についてもまだ明らかになっていません。
イーロン・マスクの発表する動画は、いつだって見た目は格好のいいものですが、詰まるところ現時点では単なるコンセプト動画に過ぎません。そして、Optimusロボットを実際よりも高度に見せようとしている演出のことを考えると、Tesla車のワイヤレス充電、ましてやサイバーキャブ自体が、実は動画ほどのところまで進んでいるのかというのは懐疑的にならざるを得ませんよね。
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