自民 国民 経済対策など政策の案件ごとに両党間協議で一致

衆議院で与党が過半数を割る状況となる中、自民党と国民民主党の幹事長らが31日午前に会談し、新たな経済対策の内容を含め、政策の案件ごとに両党間で協議を進めていくことで一致しました。

また玉木代表は31日午後に記者団の取材に応じ、いわゆる「103万円の壁」を見直し所得税の基礎控除などを受けられる金額を引き上げる党の政策について、「政府・与党も実現できるように努力してほしい。まったくやらないということであればその時は与党が過半数に届いていないので予算案も法案も通らないということだ」と述べました。

石破首相と玉木代表の党首会談 特別国会までに行うことを確認

自民党の森山幹事長と、国民民主党の榛葉幹事長は31日午前、国会内で会談し、両党の国会対策委員長も同席しました。

この中で、森山氏は、衆議院で与党が過半数を割る状況となっていることを踏まえ、今年度の補正予算案や来年度予算案の編成や審議に向けた協力を要請しました。

これに対し榛葉氏は「政策案件ごとに対応していきたい」と応じました。

そして、新たな経済対策の内容を含め、政策の案件ごとに両党間で協議を進めていくことで一致しました。

また会談では、石破総理大臣と玉木代表との党首会談を11月11日に召集される見通しの特別国会までに行うことを確認しました。

さらに榛葉氏は、特別国会での総理大臣指名選挙では、決選投票になった場合も含め、党として、玉木氏に投票する方針を決めたことを伝えました。

自民 森山幹事長 政策課題は今後協議

会談のあと自民党の森山幹事長は記者団に対し「それぞれ民意を受けて当選し、会派をつくっているので、それを政策に生かせるよう、補正予算や税制を含めて分野ごとに協議していくことで合意できた」と述べました。

また「国民民主党には党首会談を受けてもらうことになったので日程調整を急ぎたい。日本維新の会や立憲民主党などにも党首会談を呼びかけたい」と述べました。

一方、総理大臣指名選挙で、国民民主党が決選投票になった場合も含め、玉木代表に投票すると説明したことについて「大変ありがたいことだが、各党の判断なのでそれ以上はない」と述べました。

国民 榛葉幹事長 政策実現へ建設的に提案

会談のあと国民民主党の榛葉幹事長は記者団に対し「自民党や各党が政策実現のために協力してほしいというなら、案件ごとに対応する。各党と等距離で政策実現にあたるが、政策を実現する能力を持っているのは与党だ」と述べました。

その上で「『手取りを増やす』、『減税する』、『古い税制を直す』という政策を実現するために、建設的な提案をして各党にご理解いただきたい」と述べました。

自民 小野寺政調会長 謙虚にやっていきたい

自民党の小野寺政務調査会長は、記者団に対し「森山幹事長から、自民・公明両党と国民民主党とで政策協議を行うよう指示があったので早速、日程を調整したい。大型の経済対策や補正予算の議論を至急、進めなければならず、意見をうかがって反映できるものは反映していく」と述べました。また「具体的になればそれぞれの担当者どうしで協議する場も設定することが必要になる。今回の選挙結果を受けて、自民・公明両党だけでなく、広く多くの意見を聞く中で政策に反映していくことが国民の声だ。謙虚にやっていきたい」と述べました。

林官房長官 「103万円の壁」見直し 減収見込まれる

林官房長官は記者会見で「政党間の協力にあたっての個別の政策の取り扱いについては、各政党間で議論されるべき事柄で、政府としてコメントすることは差し控えたい」と述べました。

一方、国民民主党が、いわゆる「103万円の壁」を見直し、所得税の基礎控除などを受けられる金額を最大178万円まで引き上げるべきだと主張していることに関連して「基礎控除の額を75万円引き上げた場合の減収額を機械的に計算すると、7兆円から8兆円程度の減収が見込まれる。また、一般論では、基礎控除などの所得控除は高所得者ほど、減税の影響額が大きくなることは事実だ」と述べました。

国民 玉木代表「103万円の壁」やらないなら協力できない

自民党と国民民主党の政策協議をめぐり玉木代表は、党が掲げる所得税の基礎控除額などを引き上げる政策が実行されない場合には与党が提出する予算案や法案の成立には協力できないという考えを示しました。

自民党と国民民主党の幹事長らによる会談を受けて玉木代表は31日午後、記者団の取材に応じました。

この中で玉木代表は「自民党と案件ごとに協議を行っていくことで合意した。来月9日以降、石破総裁と党首会談をしたい。立憲民主党の野田代表からも党首会談の申し入れをいただいているので幹事長や国会対策委員長どうしの会談を経て、条件が整えば会談したい」と述べました。

また、いわゆる「103万円の壁」を見直し所得税の基礎控除などを受けられる金額を引き上げる党の政策について「政府・与党も実現できるように努力してほしい。まったくやらないということであればその時は与党が過半数に届いていないので予算案も法案も通らないということだ」と述べました。

そのうえで「当面急ぐのが『103万円の壁』を上げていくこととガソリン税の減税だ。あとはこれからの実質賃金の伸びをよく見る必要があるが消費税の減税も景気対策として掲げているのでやるなら国債を発行してやる」と述べました。

「年収の壁・103万円の壁」とは

「年収の壁」とは、働いている人たちが税や保険料の支払いによって手取り収入が減ってしまうなどとして働く時間をみずから調整する、いわば“働くことの制約”となっている課題を表現しています。

年収の壁には、税金に関わる「103万円の壁」があるとされています。

基礎控除の48万円と給与所得控除の55万円をあわせた103万円を年収が超えると所得税が発生することから、年収がこれを超えないように、働く時間をみずから調整することにつながっています。

こうしたなか、国民民主党は衆議院選挙の公約で基礎控除などの合計をいまの103万円から178万円に引き上げることを掲げました。

いわば所得税の負担を軽くすることで消費などの経済の活性化につなげるねらいがあるとしています。

その一方で、実施した場合の税収への影響も指摘されています。

政府は、国と地方を合わせた税収の減少分は7兆円から8兆円になると試算しています。

また、所得税は課税所得が大きいほど適用税率が高くなるため、控除が拡大すれば減税額は高所得者ほど多くなります。

さらに、控除後の所得金額などに応じて負担や給付水準が変わる社会保障をはじめとする各種制度への影響がどのようになるのかも論点となりそうです。

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