成田空港近くに東京ドーム10個分 開発計画4年8カ月遅れのなぜ

小寺陽一郎 小林誠一

 成田空港にほど近い、東京ドーム約10個分の広大な土地にホテルやアリーナを建設するとうたう、大規模開発の工事完了予定が、当初計画から3回変更され約4年8カ月遅れている。千葉県や同県成田市が許可し、投資商品「みんなで大家さん」として1500億円超が集まったとされる開発をめぐり、何が起きているのか。

 「この先、用地開発行為の為(ため)、成田市道は通行止め」。年間旅客数3千万人の成田空港から北西に4キロほどにある看板の向こう側には、草木の合間に茶色の土が露出した土地が広がる。

 面積は約45・6万平方メートル。もともとは、都市計画法上で原則建物を建てられない市街化調整区域だった。

「ゲートウェイ成田」と称して、アリーナやホテルの計画

 2019年10月、成田市が東京都千代田区の不動産会社「共生バンク」の申請に基づき、開発許可を出した。うち約6・3万平方メートルは農地だったが同月、千葉県が農地転用を許可した。

 共生バンクは一連の開発を「ゲートウェイ成田」と称し、「5千席超のアリーナ」や「成田エリア最大級の客室数のホテル」を建設する計画だと公表している。

 関係者によると、全体のうち約4割は、政府が100%出資する成田国際空港会社が所有。同社は翌20年9月、共生バンクに年間賃料額約1800万円で貸す契約を結んだ。

 行政側がいわば「お墨付き」を与えた形だが、工事は遅れ始める。

「新型コロナ」と「ウクライナ紛争」が原因 不動産会社が主張

 都市計画法に基づく開発登録簿によると当初、工事の完了予定は21年3月だったが、その後共生バンク側の届けを受け、22年10月、23年10月と延び、最新の計画では25年11月となっている。

 今年1月時点の農地転用の対象の土地の状況を共生バンクが千葉県に対して説明した文書について、朝日新聞は情報公開請求で入手。それによると、工事の進捗(しんちょく)状況は、土木工事に対する進捗度が69%、建築工事は0%、全体は2%だった。

 共生バンクは完了予定の変更理由について「新型コロナ禍の影響とロシア・ウクライナ紛争による影響、それらに伴うさらなる計画のブラッシュアップ」が原因と説明した。(小寺陽一郎、小林誠一)

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