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トライアングラー後編

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翌朝、僕は観光なんてする気がなくて、まぁちゃんを探した。

僕のエロスの女神、どこにいるのか? 昨日迷った場所を何度も何度も往復したけど見つからない。日が暮れて仕方なくトボトボとホテルへ戻る。

『お兄様、どこへ行ってらしたの』
『エロス…僕の女神を探しに、昨日の場所を探してた』
『ふ~ん』
『イライザは僕が心配じゃないのか!』
『お兄様、それより見て!』

ペンギンのキャラが描いてある大きな黄色のビニール袋を差し出した。


『ここのお店、すごく安くて品揃え豊富で、化粧品たくさん買っちゃったわ』
『…』

僕がこんなに女神を探してるのに…その時、ビニール袋の中からカツラを見つけた。

『なんだこれ』
『これ、パーティーグッズなの。テリィの髪型に似てるでしょ。今度これを被ってキャンディを騙そうと思って』
『こんなものでキャンディが騙せるかよ。』
『後ろ姿なら騙せそうよ、あの子、単純だもの』


キャンディなんてどうでも良かった。でも、これを被ったら僕もアイツみたいにモテるかな…


そんなことを考えてた翌日、イライザが観光地に出かけるのを見送り、昨日のカツラを被ってみる。僕だって似合うじゃないか。

僕はカツラを被って女神を探す。

『見つからないな』

公園で一休みしようと立ち止まり、風が僕をすり抜けて行った。

『テリィ~』

僕は声のする方へ振り向くと同時に女神が僕に飛び込んで来た。

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夢じゃない、甘いローズの香り、温かい温もり。

ギュッと抱きしめると、女神も抱き返してうっとりしてる。
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『まぁちゃん?』

その声に女神は顔を上げた。

『ゲッ!似ても似つかない!』

僕は女神に突き飛ばされ、尻もちをつく。 

『な、なんで…ニールが!私のテリィを汚さないで!』
『僕は何もしてない。まぁちゃんが迫って来たんじゃないか!』
『…人違いしただけよ』

まぁちゃんは真っ赤な顔をして胸を押さえてる。

『苦しいの』

僕は彼女が心配で胸に手を当てた。と同時に平手打ちをされた。

『なにさらんじゃボケ!今、胸さわったろ!』
『僕は、まぁちゃんが心配で』

ジンジン痺れる頬を抑えながら言い返す。でも、触ったと言えば触った。柔らかなマシュマロのような…

『ずっと、僕はまぁちゃん探してたんだ』
『私を?なんで』
『その…僕の心に舞い降りたエロスの女神だから』
『はぁ?』
『とりあえず、食事でもどうかな?あの大きなカニが動いてる店とか』

『奢りなら行くでぇ』
『もちろんさ、僕は金持ちだから。何でも好きな物、ごちそうするよ』

目を輝かせ僕について来る女神。カニを一心不乱に食べる姿に僕はエロスを感じずにいられない。

それからの日々は、まぁちゃんに言われるまま、色々な店で食事をした。

『楽しかったね、まぁちゃん』
なんだか恋人のように楽しかったが・・・
『ニール』
聞き覚えのある声の方を見るとデイジーが立っている。
『あなたが婚約を破棄されたと聞いて、探しに来たのよ』

僕とデイジーを交互に見る女神。そうだ、まぁちゃんに嫉妬させよう。

『僕が忘れられなくて日本にまで探しに来たのか』
その言葉に気を良くしたデイジーは僕の腕に絡みつく。
さぁ、嫉妬しろ、まぁちゃん!
『あなた、どなた?ニールには似合わないわよ』
勝ち誇った顔でまぁちゃんを見るデイジー。

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『なんだとぉ!大阪の女ナメんなよ!』
『まー、まー、まぁちゃん』
その勢いに青ざめるデイジー。
『もう、知らん。その女と好きにしたらええわ』

涙!僕の女神の瞳から一粒の真珠が零れ、彼女は前を見ずに車道に飛び出した

瞬間大きなトラックが走ってくるのが見え僕は無我夢中で女神を庇った。

急ブレーキを踏む音が聞こえた。目を開けると、大きなトラックが目の前に止まっていた。

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『バカやろ、死にたいのか!』

そう一言怒号を飛ばし、トラックは走り去った。

『ニールのバカ。私を庇ったりして、死んだらどうするの』
ポロポロと真珠の涙を流し僕の胸を叩く
『僕は、死にません!まぁちゃんが好きだから』
『ニール…』

カツカツとヒールの音。僕たちの前にデイジーが立つ。

『あなたに完敗ですわ。ニールとお幸せに』

そして僕たちは結婚の約束をして、エルロイ大おば様に許可をもらいに行った。

『私が反対する理由は分かってますね』
『まぁちゃんと結婚できないなら』
『志願兵になるは、もう聞きませんよ。ニール』
『…まぁちゃんと結婚できないなら、大阪でたこ焼きの店を開いて、まぁちゃんと経営する』

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『…ニールは銀行家の跡取りなのですよ。たこ焼き屋なんて許しません!仕方ないですね、結婚を許可します』

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そうして僕たちは結婚した。この後、大変なことになるとも知らずに…。
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