10月8日、10日までの控訴期限で検察は控訴を断念すると発表した。
畝本検事総長が発表した断念の理由は以下のとおり。
袴田さんの無罪確定へ 畝本直美検事総長が談話を発表
https://article.auone.jp/detail/1/2/2/333_2_r_20241008_1728381122746515
いわゆる「袴田事件」で一度は死刑判決を受けながら再審=やり直しの裁判で無罪判決を受けた袴田巖さん。最高検は畝本直美検事総長の名で「控訴しないこととした」とする談話を発表しました。
検事総長談話 令和6年10月8日
◯結論
検察は、袴田巖さんを被告人とする和6年9月26日付け静岡地方裁判所の判決に対し、控訴しないこととしました。
◯令和5年の東京高裁決定を踏まえた対応
本件について再審開始を決定した令和5年3月の東京高裁決定には、重大な事実誤認があると考えましたが、憲法違反等刑事訴訟法が定める上告理由が見当たらない以上、特別抗告を行うことは相当ではないと判断しました。
他方、改めて関係証拠を精査した結果、被告人が犯人であることの立証は可能であり、にもかかわらず4名もの尊い命が犠牲となった重大事犯につき、立証活動を行わないことは、検察の責務を放棄することになりかねないとの判断の下、静岡地裁における再審公判では、有罪立証を行うこととしました。
そして、袴田さんが相当な長期間にわたり法的地位が不安定な状況に置かれてきたことにも配意し、迅速な訴訟遂行に努めるとともに、客観性の高い証拠を中心に据え、主張立証を尽くしてまいりました。
◯静岡地裁判決に対する評価
本判決では、いわゆる「5点の衣類」として発見された白半袖シャツに付着していた血痕のDNA型が袴田さんのものと一致するか、袴田さんは事件当時鉄紺色のズボンを着用することができたかといった多くの争点について、弁護人の主張が排斥されています。
しかしながら、1年以上みそ漬けにされた着衣の血痕の赤みは消失するか、との争点について、多くの科学者による「『赤み』が必ず消失することは科学的に説明できない」という見解やその根拠に十分な検討を加えないまま、醸造について専門性のない科学者の一見解に依拠し、「5点の衣類を1号タンク内で1年以上みそ漬けした場合には、その血痕は赤みを失って黒褐色化するものと認められる。」と断定したことについては大きな疑念を抱かざるを得ません。
加えて、本判決は、消失するはずの赤みが残っていたということは、「5点の衣類」が捜査機関のねつ造であると断定した上、検察官もそれを承知で関与していたことを示唆していますが、何ら具体的な証拠や根拠が示されていません。
それどころか、理由中で判示された事実には、客観的に明らかな時系列や証拠関係とは明白に矛盾する内容も含まれている上、推論の過程には、論理則・経験則に反する部分が多々あり、本判決が「5点の衣類」を捜査機関のねつ造と断じたことには強い不満を抱かざるを得ません。
◯控訴の要否
このように、本判決は、その理由中に多くの問題を含む到底承服できないものであり、控訴して上級審の判断を仰ぐべき内容であると思われます。
しかしながら、再審請求審における司法判断が区々になったことなどにより、袴田さんが、結果として相当な長期間にわたり法的地位が不安定な状況に置かれてきたことにも思いを致し、熟慮を重ねた結果、本判決につき検察が控訴し、その状況が継続することは相当ではないとの判断に至りました。
◯所感と今後の方針
先にも述べたとおり、袴田さんは、結果として相当な長期間にわたり、その法的地位が不安定な状況に置かれてしまうこととなりました。この点につき、刑事司法の一翼を担う検察としても申し訳なく思っております。
最高検察庁としては、本件の再審請求手続がこのような長期間に及んだことなどにつき、所要の検証を行いたいと思っております。
以上
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引用以上
私は、この畝本検事総長の所感表明を見て、再び激怒した。
弁護側が出した証拠は、裁判所がことごとく否定し、唯一、味噌樽衣類だけに捏造疑惑が残ったが、これも検察側鑑定人が、「赤みが残ることは条件次第でありうる」と主張したことで、裁判所が間違ったのであって、検察側に正義があると言い張っている。
「自分たち検察に落ち度はない」とメンツを守るのに必死になっている。そして悪意をもって冤罪の証拠を捏造したことに、一切の反省が見当たらない。
だが、「袴田さんの勾留が長期に及ぶので、情けをかけてやっただけだ」と言っているようにしか聞こえない。
この事件の捜査は、最初から最後まで静岡県警と地検による、予断と偏見を前提にした杜撰な捏造に満ちている。
また静岡県警は、紅林麻雄に代表される重罪事件の冤罪製造メーカーだった。
紅林が担当した幸浦事件(死刑判決の後、無罪)、二俣事件(死刑判決の後、無罪)、小島事件(無期懲役判決の後、無罪)、島田事件(死刑判決の後、無罪)の各事件で無実の者から拷問で自白を引き出し、証拠を捏造して数々の冤罪を作った。
周囲の多くの人が、袴田事件再審開始決定の翌日に自殺した、被害者家族の長女だと最初から指摘していたのに、捜査当局は、まったく耳を貸さず、
「女性がそんな犯罪を犯すはずがない……こんな殺人ができるのはプロボクサーだった袴田巌以外ありえない」という恐ろしく軽薄な見込み捜査に固執した。
被害者家族の長女、橋本昌子が真犯人であるという根拠
https://fb-f.jp/hakamadajiken-sinhannin/
①昌子は、事件当時、従業員と駆け落ちして別居していた。
②ところが、事件当日だけ、事件のあった自宅に帰宅しており、なぜか別棟で寝ていて被害を免れた。
③家族四人の遺体には、関係者による怨恨殺害を示す多数の不可解な損壊があった。また、複数人による暴行殺害の痕跡があったが、袴田単独犯と決めつけるための現場の作為的捏造が行われた。
④昌子は、実家に嫌がらせを繰り返す暴力団関係者と接点があった。状況は、昌子と暴力団関係者が連携して4名殺害を行った可能性を示している。
⑤袴田さん再審決定の2014年3月27日の翌日、自殺した。
⑥警察は、自殺が疑われる不審死なのに、事件性のない病死として処理した。
https://1a8ausui0.com/hakamadajiken-ennzai-01/
とりわけ犯行時衣類とされた味噌樽から発見された血染め衣類は、女性用であって袴田さんには着用不能だったのに、ズボンに貼り付けられたBという記号を、「太い=ボイド」と勝手に解釈して、「縮んだだけだ」と決めつけた。
だが、Bの記号は、製造メーカーが、ボイドでなく、ブルーを意味するものと証言した。
袴田さんの足についた傷と一致しているとされたズボンの穴の位置が逆であること、など決定的な矛盾点ばかりなのに、裁判所は血液変色以外の矛盾点を、すべて却下した。
https://hakamada-jiken.com/overview/overview_06/
血染め衣類の鑑定は、警察、検察によれば、なぜか血液型のみで判定され、後日のDNA検査も、劣化が進み鑑定不能とされた。しかし弁護側が、筑波大本田克也教授に依頼したDNA鑑定で、「被害者とも、袴田さんとも誰とも一致しなかった」と評価しているにもかかわらず、裁判所は「劣化して証拠価値がない」と決めつけた。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/76240
血染め衣類については、袴田支援組織が詳細な解説を公開している。
http://free-iwao.com/what/evidence_03/
一連の裁判所の姿勢は、真実を検証するというより、警察、検察の捜査を正当化する姿勢に終始していた。しかし、司法側の捜査資料が、あまりにも粗雑で捏造疑惑に満ちたものだったため、結局、裁判が58年間という世界最長の審理年月にわたり、結局、2024年10月8日に、検察庁は控訴を断念する事態に追い込まれた。
日本の司法が、世界の恥さらしになった歴史的記念日が本日なのだ。
警察、検察は、冤罪をでっちあげ、証拠も捏造して、58年間も無実の人を苦しめ、処刑台に送り込もうとしていたことを世界に示した。
袴田事件は、周囲にいた関係者で、袴田さんが真犯人だと信じた人はほとんどいなかった。いたとすれば、警察の決めつけに洗脳されただけのことだ。
被害者家族と袴田さんを知る人の声が、動画に示されている。
「警察は袴田さんを犯人ときめつけていた」袴田さんの知人女性が証言 2024年8月
https://www.youtube.com/watch?v=mKURZ8Jsjck
そして、裁判官の多くが、袴田さんの無罪に確信を抱いていたことも知られた。
「無罪だと思った」3人の元裁判官が語った袴田事件、58年後に無罪判決【報道特集】 2024年10月7日
https://www.youtube.com/watch?v=XsXHDBM0hpk
袴田事件を元検察官の立場から、もっともわかりやすく解説している郷原信郎のコンテンツがある。
【袴田事件再審無罪判決、マスコミが報じない「本当の中身」とは!?】郷原信郎の「日本の権力を斬る!」#371
https://www.youtube.com/watch?v=EcTDuKrwvkA
郷原によれば、冒頭に掲げた畝本直美検事総長の発言の意味は、検察が未だに袴田真犯人説に本気で固執し、彼に無実判決を与えるくらいなら証拠を捏造しても、処刑した方がマシと考えていることだと指摘している。
検察には「疑わしきは被告人の利益に」という司法原則は存在しない。「疑わしきは、証拠を捏造しても処刑してしまえ」という思想に凝り固まっているのだ。
ちなみに、畝本検事総長には、統一教会疑惑が囁かれている。
https://ameblo.jp/kinakoworks/entry-12865763225.html
今回、石破新内閣で法務大臣に指名された牧原秀樹も、明らかに統一教会と深い関係を持っている。
牧原法務大臣が旧統一教会関連のイベントに計12回出席と説明 秘書ら出席とあわせて37回 10/8(火)
https://news.yahoo.co.jp/articles/5b9aae93ad9b806440f3c6b03ede4ea757ba26f7
37回も統一教会と関係を持ったと公表したが、そんなものですむはずはなく、統一教会に組織されてきた人物と認定するしかないだろう。
日本の政治と司法は、統一教会に乗っ取られているのだ。だから、袴田事件のような残酷な冤罪は、これからも繰り返される可能性がある。
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