「記者ハンドブック(共同通信社)」に電子版や無料版はある?おすすめのツールについても詳しく紹介

この記事では、「記者ハンドブック(共同通信社)」の電子版や無料版について解説します。

結論からいいますと、「記者ハンドブック」の電子版(単体で動くオンライン辞書)、無料版は提供されていません。

しかし、ATOK(日本語入力システム)で利用できる「記者ハンドブック」の電子辞書が販売されていて、こちらが非常に使い勝手がよくておすすめです。

*後ほど詳しく説明しますが、こちらは単体で動く電子辞書ではなくて、ATOKユーザーが日本語入力の変換機能として利用できるオプション辞書(機能拡張のために追加で購入できる辞書)になります。

また、他社が出版している「記者ハンドブック」と同様の表記ハンドブックで、電子書籍としてAmazonで購入できるものもありますので、代わりの手段として、そちらについても紹介したいと思います。

「記者ハンドブック(共同通信社)」とは?

「記者ハンドブック第13版 新聞用字用語集」

「記者ハンドブック」は共同通信社が発売している表記ハンドブックです。報道各社や企業の広報部門など、用字用語の統一された文章を書くために準拠する指標として、幅広く普及しています。

ある新聞社に入社する新卒の記者には、この本が全員に配布されるという話も聞いたことがありますし、Webライターが仕事を受注する際にも、こちらの「記者ハンドブック」に準拠した表記に統一するように、クライアントから指示されることが少なくありません。

「記者ハンドブック」は定期的に改訂版を販売しており、現時点の最新版(2022年1月現在)は第13版(「記者ハンドブック 第13版 新聞用字用語集」)になります。

こちらの第13版は2016年に販売されたものですが、今のところ第14版の発売予定はありません。

しかし、今までの改訂版の販売年度を確認してみると、

  • 記者ハンドブック 第10版 (2005年)
  • 記者ハンドブック 第11版(2008年)
  • 記者ハンドブック 第12版(2010年)
  • 記者ハンドブック 第13版(2016年)

と数年おきに販売されていることがわかります。

現在の最新刊である第13版は2016年に発売されており、すでに5年以上経過していることから、「記者ハンドブック 第14版」も近いうちに発売されることが予測されます。

追記:最新版の「記者ハンドブック第14版:新聞用字用語集」が2022年3月15日に発売しました。6年ぶりの改訂版となります。(共同通信社の出版目録はこちら。Amazonはこちら

https://twitter.com/kudo_wr/status/1474268473564200960

「記者ハンドブック(共同通信社)」の電子版について

前述のように、「記者ハンドブック」は、電子版(単体で使用できるオンライン辞書)や無料版は提供されていません。

そのため、こちらの記事では代わりのおすすめのツールとして、

  • 「共同通信社 記者ハンドブック辞書 第13版 for ATOK」を購入する
  • 「毎日新聞用語集(2020年版)」の電子書籍を購入する

の2つの方法について、以下それぞれ解説をします。

「共同通信社 記者ハンドブック辞書 第13版 for ATOK」を購入する

「共同通信社 記者ハンドブック 第13版 for ATOK」

まず、ATOK(エイトック)が提供している「共同通信社 記者ハンドブック辞書 第13版 for ATOK」を購入する方法です。

ATOKは、株式会社ジャストシステムが提供している、「IME」「Google 日本語入力」と同じような日本語入力システムです。こちらは、月額300円(2022年1月時点)から利用できるサブスクリプションサービスであり、PCやスマートフォンでの文章の入力を補助するさまざまな便利な機能が搭載されています。

共同通信社 記者ハンドブック辞書 第13版 for ATOK」(以下、「記者ハンドブック(ATOK)」)は、こちらを利用しているユーザーが追加で購入して利用することのできるオプション辞書になります。

こちらのオプション辞書を購入してインストールすることで、PCで文章を入力している際に表示される変換候補の中に、「記者ハンドブック」における表記が、ATOK標準の変換候補とあわせて表示されるようになります。

そのため、ATOKを利用していない人がこちらを利用するためには、

  1. ATOKのサブスクリプションに申し込む
  2. オプション辞書として提供している「共同通信社 記者ハンドブック辞書 第13版 for ATOK」を購入する

という、手順を踏む必要があります。

以下は、こちらの「記者ハンドブック(ATOK)」の簡単な使用例です。

使用例1:変換候補に表示される「記者ハンドブック」に準拠した表記をそのまま使用する

こちらは実際に「記者ハンドブック(ATOK)」をインストールした状態で、表示されている変換候補の画面になります。

画面に表示されているように、「→○○」という形で変換候補内に「記者ハンドブック」に準拠した表記が表示されるようになります。この用字用語を利用したい場合は、通常の入力システムと同じように、その候補を選んだ上でエンターキーを押せば出力されます。

また、使用例の「かわいい」の画面に表示されているように、「可愛い」と漢字で変換をすると「可愛い《記:注》」のように「記者ハンドブック」に準拠している書き方ではないことを示すアラートが出ますが、もちろんそのまま出力することも可能です。

普段、Web上で文章を書く人でしたら、これがいかに便利なのかを想像できるのではないでしょうか?

書籍版を利用する場合は、表記に迷った用語が出る度に、いったん手を止めて確認をする必要がありますが、こちらの辞書を利用すると、そのような手間が一切必要なくなります。

使用例2:変換候補からそのまま「記者ハンドブック」における用字用語の解説を参照する

「記者ハンドブック」の用字用語集に記載されている用字用語の解説は、変換候補からそのまま読むことができます。

使用例の画面に表示されているように「ひとり」「いう」のような用語は、文脈に応じて細かな使い分けがされています。

このような用語を使用する際も、変換候補の画面から直接その解説の確認ができますので、自動変換に頼るだけではなくて、内容を理解した上で使い分けられるようになります。

また、前述のように、ATOKのオプション辞書は自身のPCにインストールして利用することになりますので、オフラインでも使用できますし、このような長文の解説でもインターネット回線の速度に影響されずに、即座に表示されます。

使用例3:オンライン辞書として検索する/Web上の文章から用例を確認する

ATOKはポップアップ辞書にも対応していますので、検索窓を使って用語を調べたり、Web上の文章などから「記者ハンドブック」の用字用語を参照することも可能です。

こちらは、「goo辞書」や「Weblio辞書」のようなオンライン辞書の使い勝手とイメージが近いのではないかと思いますが、このような使い方も可能です。

「共同通信社 記者ハンドブック辞書 第13版 for ATOK」の価格について

こちらの「記者ハンドブック(ATOK)」は買い切りのサービスとなっており、ジャストシステム社の公式Webショップ(Just MyShop)で購入する場合は、5,250円(本体価格4,800円)で販売されています。

書籍版は、2,000円ほどで購入できますので、それと比べると少し割高に感じるかもしれません。

また、こちらの辞書自体は買い切りとなりますが、ATOKのサブスクリプションの価格は別途かかります。ATOKの価格はプランによって変わりますので、自分にあったプランと内容はATOKの公式サイト上で確認するとよいでしょう。

ATOKをまだ利用したことがないという方は、30日間の無料お試しが提供されていますので、まずはこちらから利用してみることがおすすめです。

補足1:「記者ハンドブック(ATOK)」の新版が出たときは買い直す必要がある?

既存の「記者ハンドブック(ATOK)」を利用しているユーザーは、新版が提供開始された際には割引価格のバージョンアップ版を購入することができます。

現在、「共同通信社 記者ハンドブック辞書 第13版 for ATOK」のバージョンアップ版の場合は、2,200円(Just MyShop)で提供されています。

補足2:「記者ハンドブック(ATOK)」は、どこで購入できる?

ジャストシステム社の公式Webショップ(Just MyShop)の他、各種Webショップで購入できます。私の場合は、公式サイトよりも少しだけ価格が安かったため、Amazonで購入しました。対応OSやパッケージ版・ダウンロード版の違いはありますが、それ以外に購入した場所による製品の違いはありません。

公式Webショップ以外の場所で購入する場合は、購入したあとに確認できるシリアルナンバーを利用して、ジャストシステムのサイト上でのユーザー登録・製品登録を行いましょう。

製品登録を行うことで、サポートやバージョンアップ版の購入などのアフターサービスが受けられます。(公式Webショップで購入した場合のみ、自動で製品登録が行われます)

補足3(追記): 「共同通信社 記者ハンドブック辞書 第14版 for ATOK」はいつ発売される?

最新改訂版である「記者ハンドブック 第14版: 新聞用字用語集 」が2022年3月15日に発売されました。これに伴いまして、まだ公式の発表はされていませんが、「記者ハンドブック辞書 (ATOK)」の最新版(第14版)も、近日リリースされることが予測されます。

前回の「記者ハンドブック 第13版(ATOK)」の販売開始日は2016年4月28日であり、これは「記者ハンドブック 第13版(書籍版)」の発売日(2016年3月22日)から1か月ほど経ってからの発売でした。そのため、ATOK版の最新改訂版も2022年4月~5月頃に販売開始される可能性はありますが、今日現在(2022/04/14)では未定となっています。

急いでいない方は、こちらの販売を待つのもよいかもしれません。

追記:(2022/08/22)

2022年8月18日にジャストシステムから「共同通信社 記者ハンドブック辞書 14版 for ATOK」が発売されました。今から購入する方は、こちらを選びましょう。

「記者ハンドブック(ATOK)」の評判は?

個人的には、使っていて不満もなく大変満足しています。

私は文章を書くことを専門としているわけではなく、文字起こしの副業のためにこちらを購入しましたが、時間の制限がありまた予備知識もない状態でも、手を止めることなく「記者ハンドブック」に準拠した用字用語を選択できるため、大変重宝しています。

書籍版を利用することとの違いとして、一番メリットを感じるのは、自分でも意識していない誤用に気付きやすい点にあると思います。

書籍を使って用字用語を確認するのは表記に悩んだときであると思いますが、そうすると自分で正しいと思い込んでいる用語に関しては、ミスを訂正する機会が少なくなってしまいます。

こちらの辞書を利用していると、意識しないで文章を書いている時でも「記者ハンドブック」に準拠した表記が自動で表示されますので、そのようなミスも含めて、ただインストールした状態で文章を書いているだけでも、多くのことが学べるようになりました。

https://twitter.com/kai_webwriter/status/1460812833159925760

「記者ハンドブック(ATOK)」の不満点は?

特に不満として感じてはわけではありませんが、書籍版の「記者ハンドブック」には、「書き方の基本」「時差表」「年齢早見表」のように、用字用語集以外でも、多くの関連資料や補足のコンテンツが含まれています。

「差別語」 の解説画面(タップ/クリックで拡大します)

こちらの画像は「差別語」という用語で検索した際に表示される解説です。このように、関連資料等の記載についても「記者ハンドブック(ATOK)」から参照することはできますが、書籍版と同じようにすべての関連資料が含まれているかは確認できていません。(別途の独立したメニューから関連資料が一覧できるようになればいいのですが)

そのため、まったく予備知識がない場合は、接頭語、接尾語は原則として平仮名、擬態語・擬声語は片仮名で書くというような「書き方の基本」や、その他の関連資料に収録されている情報については、自分で調べたり書籍で確認するほうが良いかもしれません。(私は書籍版を購入していないため、このあたりの知識については曖昧なところも多いように思います)

逆に言えば、すでに書籍版を持っているからといって無駄になることはありませんし、理想としては書籍版とこちらの両方を持っていたほうが良いでしょう。

著:一般社団法人共同通信社
¥2,090 (2024/10/29 22:30時点 | Amazon調べ)

  

「毎日新聞用語集(2020年版)」の電子書籍を購入する

毎日新聞用語集(2020年版)

次に、「毎日新聞用語集(2020年版)」を購入する方法についてです。

表記ハンドブックは、「記者ハンドブック」に限らずにたくさんの出版社から販売されていますが、その中の1つである「毎日新聞用語集(2020年版)」が、電子書籍としてAmazon Kindleで提供されています

「記者ハンドブック」の使用にこだわりがある、もしくは準拠する表記として「記者ハンドブック」が指定されているような場合は、こちらを代わりとすることはできませんが、そうではないのであればこちらを利用することもおすすめです。

メリットの1つとして、公式のTwitterアカウントでも書いているとおり、電子書籍として全文検索ができる唯一の表記ハンドブックです。そのため、あらかじめダウンロードをしておけば、どこでも利用できるオフライン辞書として、検索機能を利用して電子辞書代わりに利用することができます

次のメリットとして、価格が安いことがあります。Amazon Kindleで購入する場合は980円ですし、Kindle Unlimitedに加入している場合は無料で利用することができます。

書籍版の「記者ハンドブック」と「記者ハンドブック(ATOK)」が、それぞれ2,090円、5,250円で発売されていることを考えると、こちらのほうが気軽に使い始めることができます。

私は、ATOKのサブスクリプションと「記者ハンドブック(ATOK)」を同時に利用し始めて、結果として大変満足しています。しかしそれ以前は、そもそも表記ハンドブックを利用したことがなく、「本当に必要なのかよくわからないけど、とりあえず使ってみよう」という少し不安な気持ちのまま購入しました。

同じように、表記ブック自体を利用する必要があるのか検討している方は、まずこちらの電子書籍を試してみるのもおすすめです。そのあと、必要だと感じるのであれば、「記者ハンドブック(ATOK)」に乗り換えてみてもよいでしょう。

私は、Kindle Unlimitedに加入しているためこちらの辞書もインストールしていますし、「間違いやすい漢字」「経済用語」「科学関連用語」など用字用語集以外にも多くの関連資料やコンテンツが収録されていますので、読み物としても面白いです。

もちろん、「毎日新聞用語集(2020年版)」は有名な表記ハンドブックの1つであり、「記者ハンドブック」の表記や変換機能としての利用にこだわりがなければ、こちらの単体だけでも十分活用できるように思います。

  • こちらで表記している価格は、それぞれAmazon、Just MyShop上の今日現在の販売価格(税込)を参考にしています。

Kindle Unlimitedの初回体験で購入するならこちら↓

まとめ

以上、「記者ハンドブック(共同通信社)」の電子版・無料版についての解説記事でした

 

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