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ル・ポワン(フランス)ほか

ル・ポワン(フランス)ほか

Text by COURRiER Japon

すっかりコスチュームパーティーが定着した「ハロウィン」だが、もともとは死者が戻ってくる日。そのとき一緒にやってくる悪霊や魔物から身を守るため、仮面を被ったのがはじまりだとされている。

そんなハロウィン本来の、ゾクッとするような気分を味わわせてくれる日本の漫画を、フランス誌「ル・ポワン」が厳選。同誌が選んだ「不気味で、幻想的で、官能的な」5本を紹介しよう。ハロウィンが終わっても、秋の夜長に楽しみたい。

服部未定 『スマイリー』(日本文芸社)

妻に家を出ていかれて以来、鬱屈した日々を送るフリーライターの友司。ある日、二人の女性が現れ、宗教団体「心笑会」の素晴らしさを説く。明らかにカルト教団のメンバーである彼女たちを退けようとした瞬間、彼女らは元妻が載ったチラシを差し出した。いつも笑顔を絶やさぬ信者たちと殺人事件との関係が明らかになり……。

ル・ポワンは、「息もつかせぬスリラー。闇深いカルトへの潜入、やみつきになるサスペンス。要するに、ページをめくる手が止まらなくなる漫画だ」と紹介する。



みつちよ丸/佐藤祐紀 『人類蝕』(集英社)

日本中で遺体が「ミイラ化」する事件が相次ぐなか、幽霊を見ることができる11歳の少年星太は、最近様子のおかしい友人、隼人を訪ねる。ある悲劇的な出来事が二人の少年を永遠に結びつけ、ミイラ化の起源を探ることになる。

「私たちは1巻のすべてのページを文字通り、むさぼるように読んだが、それはまだ、気が遠くなるようなストーリーの始まりに過ぎない」。フランスでも第2巻の発売が2025年1月に予定されている。

坂本眞一 『#DRCL midnight children』(集英社)

ブラム・ストーカーの『ドラキュラ』にインスパイアされた本作の舞台は、19世紀末の英国名門校。通常は男子のみに開かれているこの学校で、唯一の女子生徒ミナが、自分の居場所を探して奮闘する。ミナは内気で気弱な同級生ルークと親しくなるが、泥の入った箱を積んだロシア船が近くに座礁してから、ルークは性格が変わってしまう。ミナはルークを救うため、調査を始める。

「坂本眞一は、『イノサン』や『イノサン Rouge』などの作品でもそうであったように、『#DRCL』でも人気の神話(ここでは吸血鬼神話)を再解釈する。病的な官能性が繊細かつ写実的、崇高な線に溶け込む。彼の画風は、前回のアングレーム国際漫画祭でも賞賛された」とル・ポワンも絶賛する。

六内円栄 『Thisコミュニケーション』(集英社)

恐ろしい怪物の侵略を前に、絶滅の危機に瀕している人類。そんななか、人生を終えることを決意した一人の男が雪山で横たわっていた。そこへ一人の少女が現れ、信じられないほどのパワーで数メートルもある怪物を退治する。そこには人類最後の砦となる研究所があった。少女たちはそこで、侵略者と戦うために訓練を受けていた。すべての望みを失っていた男は、毎日3回の食事と引き換えに、自らの持つスキルを提供することになる。

その魅力についてル・ポワンは、「『終末もの』のバイオレンス・スリラー。サバイバルの裏にある秘密と裏切り。超人的な能力を持ちながらも、まったく手に負えない女狩人たち……」と書く。

イワムロカツヤ 『シバタリアン』(集英社)

佐藤はハンサムで人気者だが、クラスメイトたちからは「バカ」扱いされている。ある夜、佐藤は桜の木の下で首まで土に埋められた少年、柴田と出会う。控えめで純朴な性格の柴田と佐藤は仲良くなり、放課後はDVDを見て過ごすようになった。文化祭が近づくと、彼らは、柴田がすでに脚本を書いていた映画を一緒に作ることを思いつく。だが、佐藤の案はクラス全員に却下され、佐藤は怒りのあまりクラスメイト全員の死を願う。映画は日の目を見ることもなく、柴田は謎の失踪を遂げる……。

「学校でのいじめと映画好きの物語として始まったこの物語は、たちまちホラーへと変貌を遂げる。読めば読むほど常軌を逸していくこの作品。ハロウィンの夜にぴったりだ」



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ル・ポワン(フランス)ほか

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