破産手続き開始の船井電機、300億円資金流出か
東京地裁から破産手続きの開始決定を受けた船井電機(大阪府大東市)について、2021年に出版を手掛ける秀和システム(東京・江東)系企業に買収されて以降、約300億円の資金が流出していたことが30日、関係者への取材で分かった。24年9月末時点で117億円の債務超過に陥っていることも判明した。
関係者によると、船井電機は関連会社への多額の貸し付けや、親会社の船井電機・ホールディングス(HD)が23年に買収した脱毛サロンチェーン運営会社への資金支援などにより約300億円が流出したという。
破産手続き開始申立書には、23年の買収を巡り横浜幸銀信用組合(横浜市)から借り入れた33億円が簿外債務として存在するとの指摘もあるという。船井電機が船井電機HDに貸し付けている約253億円に関しては、回収の見込みが薄いとしている。
資金流出に加え本業のテレビ事業の不振も影響し、21年3月末時点で船井電機にあった約347億円の現預金は、破産申し立て時点でほぼ尽きた。タイにあるテレビの生産子会社は原材料の仕入れ代金の支払いができず、24年9月末に操業を停止した。
船井電機については24日に準自己破産の申し立てが行われ、東京地裁が即日、破産手続きを開始する決定を下していた。準自己破産の申立人は創業者の関係者で取締役の男性だった。