トランプ18歳 「奴隷を解放することができたものの、いまだに奴隷たちへの差別はなくならん。それに、この国の国民の生産性のなさ、やる気のなさは一体なんなんだ?」
街の国民たち 「へらへら。わいわい。かんぱーい」ジョッキがっしゃーん
トランプ 「…………」
国民たち 「げへへ。あへへ。あへはへ」裸踊り。おちんちんぼろーん。
トランプ 「……飲んだくれと、落伍者しかないのか?」
トランプ 「いったいどうすれば?」
セバス 「トランプ様、何かお困りですか?」
トランプ 「セバス? いや……どうして帝国の国民はやる気がないのかを考えていたのだ。いくらなんでも生産性がなさすぎるっ!」
セバス 「長い間、戦争ばかりをしてきたこの帝国に、まともな産業がないもの理由でしょうが、一番の理由は――」
トランプ 「その理由は?」
セバス 「はい。『アヘアへの実』が理由です!」
トランプ 「なん……だと……アヘアへの実? それはいったい何だ(ごくり)? まさか……食べると海で泳げなくなるのか?」
セバス 「泳げなくなる……とは?」
トランプ 「いや、気にしなくていい……」
セバス 「説明しましょう! アヘアへの実とは――それを口に含んだだけで、天国にいるかのごとく心地よくなれる不思議な実です。南の国の蛮族によって栽培され、この帝国内に密輸されている代物です」
トランプ (この世界の麻薬みたいなものか? 我が帝国は、アヘン戦争を仕掛けられているというのか? にっくき英国と同じ手を使うとは……それは厄介だな)
トランプ 「よしセバス。南の蛮族を撃ち滅ぼすぞ!」
セバス 「トランプ様、撃ち滅ぼすと言っても、帝国の軍は皇帝陛下以外には動かせません。それに現在の帝国軍は疲弊し、その士気は限りなく低下しています」
トランプ 「分っている。だから、議会に掛け合い新しい軍をつくる。いきなり軍では角が立つな? そうだ、騎士団――『トランプ騎士団』を設立するぞ! 州軍のような形で、帝国の各地に配備し、麻薬を密輸入する蛮族を取りしまる。騎士団設立の基金は、全て私の私財を投入しよう。それなら議会も文句は言わんだろう。切り札はもちろんこの私――トランプだけにな(にやり)」
セバス (州軍? この方は何を仰っているのだ? しかし、自ら築いた財で帝国を守るための騎士団を設立とは――このお方は私が仕えるに相応しい主だ。いや、この帝国に使わされた救世主だ!)
トランプ 「騎士団には解放された奴隷たちを使おう。この『トランプ騎士団』に入団し、帝国のために働けば多くの帝国国民から信頼を得ることができるだろう! 武勲を立てたものには、いずれ貴族の称号を与えよう! 全てのものが平等にチャンスを与えられる――帝国はそのような国に生まれ変わるべきなのだ!」
セバス 「奴隷たちを騎士団にといことは、徴兵の勅命を出すということですか?」
トランプ 「いや、徴兵された兵では士気は上がらない。無理やり徴兵すれば、奴隷たちは今までと変わらぬ自分たちの扱いに嘆き、自暴自棄になってしまうだろう。そんな軍は戦える軍ではない。故に、騎士団は志願制とるする。自らの意思で戦うことを選んだ勇敢なのものにの――トランプ騎士団の入団を認めよう!」
セバス (奴隷を自分の妻に迎えるだけでなく、全ての奴隷にチャンスを与えて平等に接するこの懐の深さ――これが覇王の器。やはり、天才じゃったか?)
・・・
トランプ19歳 「うむ。騎士団の設立は上手くいき、兵力も整いつつある。各地に配属した騎士団たちも成果を上げ、国民にも歓迎されている。南の蛮族を打ち倒すのは時間の問題だが……しかし、帝国の経済を立て直さなければ……早晩帝国は瓦解する」
騎士団 「えいえいおー。えいえいおー」剣ばしばしっ!
トランプ 「騎士団の士気は高いが、武力だけでは国民は養えない……」
騎士団 「えやー。てやー。どやー」剣ばしばしっ!
トランプ 「新しい産業が必要だ。多くの労働者を働かせられる、帝国を賄えるだけの大きな産業が。まて、騎士団……国民を養う? そのためには食料が必要? 食料自給率を上げる? そうだっ、農業改革だ!」
・・・
トランプ20歳 「農業は軌道に乗りつつある。馬鈴薯のおかげで多くの国民は飢えをしのぐことができるだろう。そして次はこれだ――」
500人の妻たち 「お呼びですかー、トランプ様?」ずらずら
トランプ 「我が妻たちよ、これを食してみろ」(赤い液体たらー)
妻たち 「んほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」(妻たち悶絶)
妻たち 「しゅごい、おいちいー。これはなんでしゅかー、トランプ様? もっと食させてくらしゃいー。あへー」
トランプ 「これはな――ケチャップだ!!」
妻たち 「ケチャップしゅごい。トランプ様ー最高ですー。かっこいいー。抱いてー。髪型ステキー。あへー」
トランプ (やはりケチャップは最高の調味料。ジャパニーズが好む醤油やマヨネーズなど足元にも及ばぬわ。このケチャップでまた一儲けしてやるぞ。がはは)
トランプ 「妻たちよ、驚くのはまだ早いぞ――」
妻たち 「これは一体?」
トランプ 「まずは食してみよ」上手そうな食べ物ぽいっ
妻たち 「むしゃむしゃ――はっ」
ナレーション 『この時、妻たちの脳裏と味覚に稲妻が走った。それは、まるで新しい味覚を発見したかのような、これまでの人生観をひっくり返されたような衝撃だった。滴る肉汁。芳ばしく焼き上げられたパンの甘み。ケチャップの程よい酸味。それらが口の中で溶け合うハーモニー。食べ応えがあり、満足感があった。それが胃袋にお着いた瞬間、妻たちが感じたのは至福――ただそれだけだった!』
妻たち 「んほおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! なんなのこれー。この美味しさ、ほっぺが落ちる。口の中が天国に変わるー」妻たち悶絶。ビクンビクン!
トランプ 「それは――ホットドッグだ」
妻たち 「ホットドッグ?」むしゃむしゃ。ビクンビクン!
トランプ 「そうだ。これより帝国では、このホットドッグを国民食とする」
トランプ (ホットドッグは大成功のようだ。馬鈴薯の収穫と共に、小麦の栽培をはじめておいてよかった。それに、騎士団が訓練のさいに退治してくるオークの腸を使ったソーセージも、やはり素晴らしい味わいだ。材料費はただに近い。そして、このホットドッグを普及すさせるために、各地にファストフードを出店する。目指すは大規模チェーン展開だ! これから、忙しくなるな。がはは)
トランプ 「しかし、ただホットドッグとして売り出すのも芸が無いな? トランプドッグ? いや、オークの腸詰だから……『ホットオーク』か?」
妻たち 「ホットオーク? 素敵です。きゃー。トランプ様ー。髪型すてきー。あへー」
トランプ 「よし、ホットークとして売り出そう!」
ナレーション 『こうして、トランプは解放された奴隷たちによる騎士団を見事設立し、農業改革によって帝国に新たな産業を起こすことに成功した。さらにホットオークは帝国各地で大ヒットし、フランチャイズ化を果たしてますます拡大していった。さらに、ケチャップは帝国にとって欠かせない調味料となり、そのライセンス契約を帝国の職人たちと交わして大量生産されて行った。僅か数ヶ月で、ホットオークは帝国の国民食になり、帝国のあちこちで『トランプ・マーク』のついたファストフード店がしのぎを削ることとなった。これによりトランプはさらなる富と名声を得て――』
BGM♪
カメラが下からグイッとパンしてた取るロゴがドーン!!
ナレーション 『――帝国内での地位を盤石なものとしたのだった。もはや議会はトランプの言いなり、その影響力は帝国皇帝ですら見過ごせないものへなっていた。トランプの凄まじいまでの人気と熱狂、そして膨大な権力は――今後帝国を繁栄に導くのか、それとも亡国へと向かう悲劇となってしまうのか? それはまだ誰にも分らない。そして物語はいよいよ、『トランプ騎士団』による蛮族との激しい戦争が始まろうとしていたが――それは、また別のお話し』
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