大学講師の雇い止め訴訟「実情踏まえ判断を」最高裁が初の判断

一般の企業では非正規雇用で5年働くと希望すれば期間の定めのない無期雇用に切り替わるのに、大学では10年働かないと切り替わらないという特例の運用について、最高裁判所は、「大学の実情を踏まえた判断を尊重すべきだ」とする初めての判断を示しました。

大阪府内の私立大学で介護福祉士を養成するコースの授業を担当していた元講師の女性は、無期雇用への転換を求めても大学に拒否され、6年働いた後に雇い止めとなったのは不当だと大学を訴えました。

大学教員などの任期を定めたいわゆる「任期法」では、「多様な人材の確保が特に求められる教育研究の職」の場合、非正規の雇用が5年を超えても、10年までは無期に切り替える義務が生じないという特例があり、この元講師が特例に当たるかどうかが争点となりました。

31日の判決で最高裁判所第1小法廷の岡正晶 裁判長は、「任期法」の特例について、「具体的な内容や運用は、大学の実情を踏まえた判断が尊重されるべきだ」という初めての判断を示しました。

そのうえで、介護実習などを担っていた元講師の業務について「多様な知識や経験がある人材が求められる教育研究の職にあたる」と判断し、元講師の訴えを認めた大阪高等裁判所の判決を取り消し、審理をやり直すよう命じました。

元講師の代理人をつとめる鎌田幸夫弁護士は「問題のある不当な判決だ。どういった職業をどういう基準で判断するか一切示しておらず、大学側の事情に応じて使いやすくなってしまった」と話していました。

一方、大学を運営する法人は「高裁においても主張が認められるよう尽力いたしますとともに、今後も適切な大学運営に努めて参ります」としています。

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