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君を想って is a Works by ライメイ.
君を想って/Novel by ライメイ

君を想って

17,402 character(s)34 mins

今回もフォロワーさんからの提案で、
「grとshpが兄弟の話」です。
キャラ崩壊やばいことになっちった。

【お約束】

本人様へのご迷惑になることはやめましょう。
他の方にめいわくになることもやめましょう。
捏造ばっかりです。
本人様とは関係ございません。

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     晴れた初夏の昼下がり。軍学校での訓練も終わり、コネシマと鬱はあまり人がやってこない訓練場の裏手てでタバコをふかしていた。喫煙は厳しく上官に罰せられる事は知っているが、そんなこと知らない。タバコが吸えない人生なんて生きている価値もない、と言い切ることのできる二人は裏ルートでこっそりと手に入れたこの嗜好品を楽しんでいる途中だった。

    「はあー、あの上官今日もうるさかったわ。なんなんやあのハゲ、デブ。」
    「ほんと、なんであのタイミングでヅラが飛ぶかなぁ?せっかく耐えてたのにシッマが爆笑するから怒り散らしてたやん。お陰で外周10周ってだるすぎるやろ。」

     訓練中の突然の風によりまじめに長々と何かの説明をしていた上官のヅラが飛んだ。そのことに今日は腹筋と体力が持っていかれヘトヘトな鬱は、最初に笑い始めたコネシマをジロリと睨む。しかし、自分に責任はまるでないというかのようにそっぽを向くコネシマに何をいっても無駄と悟る。
     そのまま二人でスパスパとすい続けているとザクザクと足音が聞こえできた。上官だとまずい、と思い急いで撤退しようとしたが、聞こえてきたバリトンボイスで足を止めた。
     
    「やはり、ここにいると思ったぞ‼︎さぁ、上官のズラ事件を話してくれ‼︎」
    「よお、コネシマ、鬱先生。」
     
     金色に耀く髪と青い目を兼ね備えた美少年が悪の大魔王の笑みを浮かべ二人に近づいてきた。その後ろにはいかにも軍人の理想のようなガタイのいい男が手を挙げ挨拶をした。

    「なんや、グルッペンとトントンか‥‥」
    「マジでビビったわ。俺これ以上罰則くらったら死ぬで。」 

     コネシマと鬱は安堵の溜息を漏らす。この二人は二個上の軍学校の先輩であり、以前何故か目をつけられそれからよくつるむようになった。最近では、卒業後には新しい国を作ろうとしている、と最終学年の二人からよく話を聞いていた。そして、お前らもその国で働け!と半ば強制的に軍学校卒業後のこともグルッペンに決められたてしまっている。
     しかし、この男の元にいれば面白いことしか起こらないと確信しているコネシマは快くこれを受け入れている。一方鬱は今からどうやって、グルッペンの無理難題を乗り越えようかと、胃を痛めている。鬱いわく、女と遊べる時間の確保が一気に出来なくなりそうだという不安があるかららしい。
     
     四人で木の下へ再度腰を下ろし、コネシマからヅラ事件の詳細を聞き、二人は大爆笑していた。やはり、人の不幸は蜜の味と語るだけはある。
     このように四人は事あるごとにこの裏手の木に集まり他愛ない話や、グルッペンの戦争バンザイ理論などを聞いたりしていた。



     そしてある日。まだ、夏の太陽が暑く地面を照らす正午に4人は裏手に集まっていた。今回収集をかけたグルッペンは先に木の下で待っていた。くる途中にトントンに出会った二人は何故今日は呼び出されたのかと聞いたがトントンも何故呼ばれたのか分からないようだった。

    「えー、なんか変な話やないよね?上官の机からエロ本盗んでこいとか。」
    「いや、ぐるさんならあり得る。」
    「鬼畜大魔王やもんな‼︎‼︎」

    それな、と笑いながら進むと、目の前にグルッぺンがニュっっと現れた。
     聞こえてるぞ、とグルっペンは三人を睨む。そんなにやりたいならやらせてやるぞ、というグルッペンに三人はぶんぶんと首が取れそうなほど振った。
     
    「なんだ、つまらん。‥‥まあいい。今回は私の自慢話にただただ付き合ってもらうぞ‼︎」

     おや、自慢話?戦争バンザイ論や新兵器の情報などは毎回聞いているが、今回は自慢話とな。いつもと毛色の違う内容にトントンは疑問を呈す。 

    「えっとー、自慢話ってのはグルさんの神業の双剣技術とかって事?それか、話術で敵対グループ泣かせたこと?」
     
     え、怖と鬱はトントンの口から出た話に震えた。コネシマは双剣技術教えてしい‼︎とグルッペンに詰め寄った。心做しか犬のシッポと耳が見える。しかし、グルッペンは首を横にふり、白色の綺麗な封筒を懐から取り出して三人の前で掲げた。

    「すまんな、コネシマ。それはまた今度教えてやる。今回の自慢話は私というより、私の兄弟の話だな。まあ、聞け‼︎‼︎」

     そういって、グルッペンがどかりと座り他の三人も円形のように座りこんだ。グルッペンは鼻歌を歌いながら白色手紙を開封し、中から一枚の写真と数枚の手紙を取り出した。鼻歌をを歌うグルッペンとかホラーでしかない。しかも、軍が進撃する時の有名な歌である。三人は夏だというのに少し、いや、かなりの悪寒が走った。ご機嫌グルッペンはそれに気づく様子はなく、見ろ‼︎‼︎かわいいだろう‼︎‼︎と取り出した写真を見せてきた。

    「え、グルちゃんロリコンの趣味あったん?」
    「殺すぞテメェ。兄弟やゆうとるやろ‼︎」

     見せられた写真には一人の女の子が映っている。ココアのような優しい茶色の髪、白い肌、極め付けは眠たげに伏せられた紫色の眼を持つ美しい少女が野原で白色のワンピースを着てカメラに向かって微笑んでいた。
     トントンははぇー、かわいい子やなと写真をまじまじと見た。トントンは小さい者や動物が好きなためか、頬が緩んでいる。今何歳なん?と聞けば10歳だとわかり、グルッペンや自分よりも8歳も年下だと知る。

    「ほーん、結構歳離れとるんやな。にしても、可愛らしい顔しとんな。」
    「そうだろう、そうだろう‼︎かわいいだろう‼︎」
    「うーん、あと5、6年したらええ女になるな。」
    「うん?大先生何を言っているんだ?この子は弟だゾ」
    「「「え、マジ?」」」
    「マジマジ」

     鬱が将来の彼女候補にいいかもしれないな、と思いそんな話を振るとなんと、写真誌に映る美少女は男であるという衝撃の事実。え、だってワンピースきとるやん‼︎と鬱が抗議をすれば、多分寝巻きのまま撮ったからじゃないか?とグルッペンが指摘すれば明らかにがっくりと鬱はうなだれた。というか、人の弟をそんな性的な目で見るな、グルッペンからの拳が飛んできてほんとうに動かなくなってしまった。コネシマも自分のタイプドンピシャだ、と言おうと思っていたため言わなくてよかったと心から安堵した。

    「まったく、とんだ獣だな。」
    「痛い……」
    「にしても、グルッペンに弟おるなんて話初めて聞いたわ。しかも、なんで急に自慢?前からすればよかったやん。」

     グルッペンはああ、それは写真つきの手紙が送られてきたのが今日が初めてだからな。ちゃんと弟の可愛さはその目で確かめてほしいと思ってな‼︎と馬鹿兄が炸裂した。

     それからは、この手紙の文も弟が書いてくれたんだ‼︎と読ませられ、兄を想う弟の手紙にトントンと復活した鬱はほっこりとし、コネシマはほーんまだ10歳なんに難しいこと知っとんなぁと別視点で感心していた。

    名前はショートピースと言うらしく、グルッペンが名付けたそうだ。 

    「なんでショートピースなんです?」

    俺にとっては本当にこいつは平和そのものだったからなと優しい目で写真を眺めながらグルッペンは答えた。こいつは、こんな顔できたんやなと、トントンは失礼ながら思った。まぁ、長いから、ショッピって呼んでるけどな‼︎とケラケラ笑う。

     そのあともいろいろと話を聞くと、家にいた頃は自分の後ろばかりをついてきて、新しい面白い話はないか、と随分と懐いてくれていたようだ。
     グルッペンの家庭は表向きは貴族として栄えているが、裏ではあらゆる悪行に手を染めている。それを知りグルッペンは家を出た。今まで自分たち兄弟を雑に扱ってきた両親に対してはなんの感情も湧かないが、一人残してきた弟が毎日心配だったらしい。当然家を出てからは弟のことなどわかるはずもなく。もんもんと過ごしていた時に、昔から自分たち兄弟に優しくしてくれたメイドや執事たちが策を巡らせ、ようやく主人である両親たちにばれずに手紙を送るルートを確保した。そして、やっと送られてきた弟の写真に弟が大きく成長していることに感動したとのこと。
     
     そんなにグルッペンに憧れて慕ってくれているのなら、将来はこの子も軍人になるんかな?とトントンは何気なく言った。すると、グルッペンの顔がだんだんと曇り始めた。

    「グルちゃん、どうしたん?」

     鬱がグルッペンに尋ねると、いや、と言い少しの沈黙のあとグルッペンは語り始めた。 

    「俺は、ショッピに軍学校に行っている事は伝えていない。この手紙のやりとりを手伝ってくれるメイドにも伝えないように言ってある。」
    「え、なんでなん?」

     コネシマは真っ直ぐグルッペンを見つめる。
     グルッペンは息を深くすい、ゆっくりと吐き出すとコネシマの目をしっかりと捉えた。

    「弟は優しいやつなんだ。傷ついた動物の手当てをしてやったり、俺が両親から嫌味を言われれば慰めてくれたり。
    弟が軍人になって人が死ぬのを見たり、殺したり、そのことによって心も体も傷ついていくのは嫌なんだ。」
     グルッペンは戦争が大好きだ。それを周りにも布教するほどに。しかし、それは共に戦う戦友であるからだろう。自分を慕う弟がいつ死ぬかも分からない場所で命を削ることを良しとする兄はいないだろう。

    「でも、それはグルッペンの偏見ちゃう?優しいからって、心も体もよわいとは限らんやろ。」

     コネシマははっきりとグルッペンに告げた。

    「それに、そいつにとってはグルッペンが何も自分のことを告げずに軍人になっていつのまにか死んでまうことの方が嫌なんとちゃう?俺なら、ほんとのことは知りたい。兄弟なら。」

     それから、鬱もグルちゃん、と名前を呼んだ。

    「そのままそこの家におってもその子は幸せになれんのちゃう?」
    「え?」
    「だって、グルちゃんの家かなりやばいんやろ?その子をそのままその家の近くで置いとくなんてそっちの方が危険やわ‼︎」

     鬱ははぁーとため息を吐き、それにグルちゃんの近くに置いておけば、俺たちだって守ってやれるし、とぽりぽりと頬かいてそっぽを向く。鬱にしては珍しく、ガチ照れらしい。それに便乗して、トントンとコネシマもそうやぞー‼︎オレらこれでも結構強いんやで‼︎年下一人くらいなんてことないわ!とグルッペンの肩に軽くパンチをした。

    「大丈夫や。俺たちは国を作って、その国民をこれから全て守っていかないならん。その中にグルさんの弟が加わるだけや。絶対に傷つけさせんで。」

     トントンの言葉が最後の後押しだったのだろう。
    グルッペンはつきものが落ちたようなすっぎりとした顔になった。

    「‥‥‥確かに、そうかもしれないな。」
     
     少ししんみりとした空気を払うようによし‼︎と大きな声で言うとグルッペンは立ち上がり、弟に自分が軍人をしていることを伝えると決意し、じゃ!今から書いてくるわ!と走っていってしまった。

    「‥‥グルッペンも第一コミッティ崩壊者やったんか。」
    「そのいいかたやめろや。でも、初めて知ったな。」

     グルッペンは色々な話をしてくれるが、自分自身の話となると今回が初めてであった。コネシマと鬱よりも長く一緒にいるトントンでも、弟がいることは初めて知った。知らないという事がこんなに不安を大きくするのだと鬱は初めて知った。もしかしなくても、コネシマやトントンのことだって自分はまだまだ知らないことばかりだ。
     
     そんな中トントンが大先生、コネシマと呼ぶ。

    「俺たちはこの学校で長い時間一緒におる。けど、今のでわかった。俺も、お前たちも仲間について知らないことがいっぱいや。でも、知っていこう。これから。前へ、未来は一緒に。そんで、」

    「ショッピ君に絶対会ってやろ。」


     そう言って拳を前に突き出した。コネシマと鬱は顔を見合わせたあとにっ、と笑う。

    「「もちろん‼︎‼︎」」
     
     その時三人は決意を改たにした。一緒に過ごす事になったら、何を教えてあげようか、何が好きなのだろう。
     未来で出会う小さな平和、グルっペンの弟兼仮の後輩に三人は想いを馳せた。

    一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一

     あれから半年。冬の雪が溶け始めてきたが、まだ寒い。   数ヶ月に一回くらいの頻度でショッピからの手紙が届いていた。グルッペンが軍人と知って、やはり憧れを抱いたようで毎日軍の勉強をしていると書かれており、グルッペンはなんとも言えない複雑な顔を浮かべていた。

    「うーむ、弟に憧れてもらえるのはうれしいが、危ない事はなるべく避けて欲しいんじゃー‥‥。」
     グルッペンは顔をクシャッと歪め、その顔を見て三人は笑った。トントンは憧れてしまったもんはしゃーないやん、と肩をぽんぽんと叩いた。

     手紙にを読み進めて行くと、一枚だけ字体が違うものが入っていた。今まではそんな事はなく、不審に思いながら読むとそれは執事からの手紙であり、グルッペンの家庭が今危機的状況にあると書いてあった。
     読んでいくにつれグルっぺんの顔が険しくなってき、周りの空気も冷えていく。

    「‥‥‥汚職のことがばれ、いつまで持つかもわからない状況でございます。今までのことを恨む者たちが暴動を起こしてしまいました。ショートピース様に何かあれば、私共が全力でお守りいたしますが、いつ何があるかわかりません。
    グルッペン様のご無事もお祈りしております‥‥。 



     ‥‥ショッピがあぶない、早く行かねば‼︎‼︎」 
      
     グルッペンは読み終わるとすぐに立ち上がり軍学校から家へと向かおうとした。それをトントンが羽交い締めにして止める。 

    「何をするトン氏‼︎‼︎ショッピが、弟が危ないんだ‼︎‼︎助けなければ‼︎‼︎」
    「やからって今から向かっても急いで二週間はかかるわ‼︎」

     トントンが必死に止めるが、嫌だ行く‼︎‼︎といって一向に聞かない。

    「ショッピは俺の唯一の弟なんだぞ‼︎俺の希望だ‼︎‼︎」
    「そんな事この半年でよう知っとるわ‼︎でも、グルちゃんが今行って、グルちゃんも危険な目に遭ったら元も子もないやろ‼︎」

     珍しく鬱がグルッペンに怒鳴った。彼だって本当は行かせてやりたい。だが今自分たちにできることはないのだ。軍人といってもまだ学校に通う訓練生。出来ることは高が知れている。
     鬱の言葉にゆっくりと抵抗をやめた。トントンが拘束を解くとヘナヘナと座り込み頭を抱えた。今までこんなに取り乱した彼を誰も見たことがなかった。 

     そこにコネシマが近づき、グルッペンの頭にごちんと拳骨を落とす。

    「いった‼︎コネシマ、テメっ何するんじゃ‼︎」
    「しっかりしろや。お前あいつの兄貴やろ。お前が弟を守らなならんて思ってんのは知っとるわ。でも、あいつがお前の弟ってことは、一筋縄で死んだりせぇへんやろ?」
    「‥‥お前は、俺を一体なんだと思っているんだ‥。」
    「大魔王?」

     至極真面目にコネシマが返すためグルッペンはブフッと吹き出した。
     少し冷静になったのだろう。すまない、と3人に謝罪をしていつもの凛とした彼にもどった。しかし、顔の影はまだ落ちたままである。

    「俺たちは、ただ祈るしかできないのか。なんとも無力だな。」

     そういって、手を顔のの前で組み、目を閉じた。組まれた手は力が込められて、爪が皮膚に食い込んでいた。しかし、グルッペンは一向にやめようとはせず他の3人も止められなかった。
     神など信じない男が、愛する者のため祈る姿はこんな状況でも映画のワンシーンのように美しいかった。 

    「‥‥‥助けにいけない兄を許せとは言わない。だが、どうか、どうか、無事でいてくれ‥‥‼︎」

     グルッペンの悲痛な叫びだけがその場で響き渡った。




    それから、3日ほど経っただろうか。遠く離れた国であるからか、小さくしか乗っていなかったが、確かにグルっぺんの家のことが書いてあった。その小さな記事の写真には見るも無惨に焼かれたグルッペンの家が載っており、
    内容は当主が死亡し、御子息は行方不明と書いてあった。 
     
     グルッペンは父と母が亡くなったことには、なんとも思わなかった。もともと思い入れなどないのだ。だが、ショッピが行方不明。その事実はグルッペンに大きく傷をつけた。しかし、グルッペンは信じるしかないのだ。自分の弟が生きていると。

     そして現在。グルッペンは毎日祈ることをやめなかった。

    一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一
    「それがグルッペンが毎日朝になったら祈っとる理由かー。」
    「そ、いやー悪の大魔王も弟のためなら優しい兄になるんや。」


     来週から始まる大戦の最終確認を大会議室で、w国幹部が勢揃いして行っていた。その確認が終わり、後は大戦に向けて体力回復ということで今日の仕事は終わった。
     鬱はよし、部屋へ帰ってタバコ吸おう、と思い立ち上がったが、ゾムが暇や構ってといって鬱の腕を掴み離さなかった。そして、無茶振りでなんかおもろい話ない?と言われ、グルッペンの弟の話になった。 

    「前々から朝早くグルッペンの部屋覗きに行ったら、なーんか必死に祈ってたし。不思議に思ってたけどスッキリしたわ。何をそんなに願ってんのやろって気になってたしな。」
    「神なんて一切信じてなさそうやもんな。」

     最初にグルッペンのその姿を見た時、ゾムは違和感しかなかったが今になって謎が解け、その違和感がすっかり払拭された。だが、その姿が今でも見られるということは、

    「うーん、弟おるってのは何となく知ってだけど‥‥。今も見つかってないん?」
    「‥‥まだやな。俺とコネシマ、トントンも暇な日は調べとるんやけど情報がなくてな。手がかりなしや。」

     やはり、とゾムは落胆した。
     鬱の話によれば今から8年前。順調に成長していれば今では18歳。死んでいることなどは考えたくもない。
    鬱は彼はどんな青年になっているのだろうと考えていると、ゾムがじゃ、じゃあ俺も一緒に探すで‼︎といった。

    「ゾムさん、ありがとな。グルちゃんも喜ぶで。」
    「おん‼︎俺も頑張るわ‼︎それに、もしかしたら案外身近にその弟おるかもしれんしな‼︎」
     
    ゾムはそう言ってシシっと笑った。

    そして戦争当日となり、幹部は各々の配置場所へと向かった。








     戦争は一進一退。どちらも引かない接戦となった。相手の兵士が強いのではない。だが、数はめちゃくちゃ多い。相手はこちらの兵士に恐れたのか自国の兵士以外にも傭兵を雇ったらしい。

     そんな中コネシマは苦戦を強いられていた。部下を逃すために囮となったが足を撃ち抜かれ、片方は使い物にならない。なんとか、空き家となっている家に潜り込みただただ体力の回復をするしか出来なくなっていった。

    「はぁ、はぁ、クッソ‼︎‥‥どうしよか。俺の武器もうぶっ壊れてしもたしな。」

    今持っているものは小型ナイフと爆弾数個。これでは向かってくる敵にすぐに殺される。インカムで増援を頼んだがいつくるかもわからない。そんな時、エンジン音が外から聞こえてきた。敵がもうきたのか‼︎とコネシマはナイフを構えた。すると、




     パリーン‼︎‼︎と窓ガラスを突き破り、一台のバイクが目の前に現れた。



     

     咄嗟に顔を覆ったコネシマ。そして顔あげるとバイクにまだがりこちらを眺めるヘルメット男がいた。
     
     バイクに跨った人物は黒色のフルヘフェイルヘルメットで顔が全く見えず、紫色のアウターを着ていた。男性にしては小柄で細身のシルエットであった。そいつはコネシマへと顔を向けるだけで、何も動かなかった。

     コネシマは不審に思ったが、とりあえず相手を殺さねばと持っていたナイフを相手に向かって投げた。しかし、首を少し曲げられただけで、擦りもしなかった。
    ヘルメット男はバイクに跨りながらコネシマに問いかけた。

    「ねぇ、あんたってw国で偉い?」
    「‥‥そんなん答えると思うか?」
    「いや、偉い人なら助けて基地まで送ろうかと。」
     
     ヘルメット男の予想もしていなかった答えにコネシマは戸惑う。こいつが俺を助けてなんになるのだ。顔も見えない相手への不信感を募らせると、顔に出ていたのだろう、ヘルメット男が、理由を説明し始めた。

    「いや、聞いてくださいよ!せっかく傭兵として参加したのに、命令がクソすぎるんすよ。絶対に死んでまうわ。そんで、w国に寝返ろうと思ったんすよね。で、ちょうど瀕死のあんたがいて助けたら結構いい待遇にしてもらえるんやないかと思って。」
    「世渡り上手やね、きみ。」
    「で、あんた偉いん?偉い人助けた方が後から待遇ええでしょ。」
    「まぁ。一応な。」

     理由を聞いて、なんとも逞しい男だと思った。メンタルが。だが、それだけで信用できるするのは早すぎる。そう考えていると、ザッザッザッザッと複数の足音がこちらへ向かってきていた。やばい、来てしもうた‼︎とコネシマが焦ると、せやとヘルメット男が何かを閃いたように言う。
     
    「そうや!俺があいつらぶっ倒してやりますよ。そしたら信用してくれますよね。」
    「はい??」

     バンっとドアが開くと五名の敵国軍人が入ってきた。仕方ない、爆弾を使って、とコネシマが爆弾に手を伸ばしたが、それは爆弾に触れる前に止まった。


     目の前のヘルメット男が武器を何も使わず5人の兵士を倒していたのだ。



     一人目は顔面にパンチをして1発KO、回し蹴りで二名、後ろから迫ってくる敵の剣を飛んで避け、その剣の上に乗りまた蹴りを喰らわす。そして最後の一人には金的攻撃で再起不能にした。これが、目の前で一瞬の間に行われた。 
     コネシマとて幹部である。どんな奴が強いかはわかるが、こいつは相当の手練れであると悟った。
     猫のように柔軟で、重量を感じさせない動き、息も一切乱れていなかった。


    「ふー、雑魚っすね。もっと訓練必要やな。」

     最後に敵を煽るスタイルはうちの不人気と似たところを感じた。

    ヘルメット男はバイクに近づくとバイクの中から救急箱を取り出し、コネシマの足へ丁寧に包帯を巻いていく。

    「どうっすか?信用、してもらえました?」
    「あ、うん。てか、きみめちゃくちゃ強いやん!なんで傭兵なんかやっとるんや?軍に所属した方が給料ええやろ。」
    「俺は旅するのが好きなんです。軍に入ったら縛られて自由に他国いけないじゃないですか。」

     はい、できましたよとヘルメット男が応急処置をしてくれた。なかなか器用なようだ。こいつ優秀やわ。そして、バイクから今度は銃やナイフなどをたんまりと出してきた。それに驚いていると、

    「足使えんでも手は使えるでしょ。俺のバイクの後ろ乗せてやるんで援護よろしくっす。」
    「怪我人に戦闘させんなや‼︎‼︎」

    じゃあ、置いてきますよ、と言われてしまえば、コネシマには武器を取流しか選択肢はないのだ。武器を手に取って見れば最新の銃であった。グルッペンが欲しがりそうな代物である。どこから手に入れたん?と聞いてもナイショ、と軽くかわされたい。コネシマはヘルメット男に支えられてバイクの後ろに乗る。

    「危ないんでこれ、被ってくださいね。」

     そう言ってヘルメット男は自分のヘルメットを脱ぎコネシマへと被せた。瞬時に被せて前へ向き直られたため男の顔は確認できなかったが、髪色が茶色であるということだけわかった。見ただけで、ふわふわとしていることがわかる髪は猫のようであった。

    「なあ、お前は被らんでええんか?」
    「俺はお気に入りヘルメットがあるんで。あと、ちょっとは弾丸防御にもなるでしょ。これ以上怪我されて俺がやったみたいに思われても癪ですし。」

     そう言って、今度は頭だけを守る用のヘルメットを青年は被った。紫のに白い線が入った年季ものだった。
    そしてコネシマは急に大事なこと忘れてた‼︎‼︎と叫ぶ。

    「あ、俺きみの名前知らんわ‼︎‼︎俺コネシマ‼︎君なんて言うん?」 
    「うるっさ。あー、今更感すごいんですけどまぁいっか。ピースです。ども。」 

    その名前を聞いた時、コネシマはなにかが引っかかった。
    しかし、その正体はすぐには出てこず、そのまま放置をすることにした。

     ピース君な、よろしくよろしく‼︎と背中をバシバシ叩くコネシマにピースは痛いっす、はよやめろ、と抗議したがコネシマは笑うだけで止めようとしない。 
     ピースは早々にこのコネシマという男が人の話を聞かないやつだということを悟った。話が通じないチンパンはそっとしておくに限る。
     はぁ、と諦めのため息を吐いたピースにおい、そろそろ行こうや‼︎‼︎とコネシマが言う。

    こっちはあんたのせいで気が滅入ってんのに、と思ったが口には出さない。じゃあ、レッツラゴーとピースはバイクを急発進させ、屍とかした敵兵を引きながらドアをぶち破った。


    荒れ果てた街並みの中爆速で進むバイク。そのバイクに乗る人物を見て敵兵たちが狙撃を開始するが、ピースは全てよけ、コネシマは敵にヘッドショットを決め続けた。
    進み続けると銃を構えた敵が目の前にたちはだかった。しかし、バイクを少し持ち上げ相手の顔目掛けてタイヤを押し付け、土台として跳ね上がり敵を難なく超えた。


    「アッハッハッハッハッ!!!!ピース君!!お前なかなかのドラテクやな!!」
    「でしょ!!コネシマさんもナイスエイムです!」

    戦闘のせいでハイになったテンションは収まることを知らず、2人は高笑いしながら敵を倒しつつ拠点へと向かっていると、ピコンと軽快な音がコネシマの耳元からなった。増援としてゾムからの連絡が来たのだ。

    『シッマ!!!!無事かお前ちゃんと手足くっついとる??!!!』
    「縁起でもないこと言うな!!ちゃんと五体満足やわ。足は撃ち抜かれて片っぽ使えんけどな。」
    『ホンマに!!?良かったわ!!すまんな、いろいろ情報が混戦しててすぐに連絡がこんかったんや。おーーーい!!シッマ無事やと!!』

    あちら側では良かった!!と歓喜するトントンとシャオロンの声が聞こえた。あちらは無事に合流したのだろう。
    にしても、あの大量の敵を一体どうしたのだろう。意外にもあっさりとかたずいていることにコネシマは少し疑問に思った。

    『せやせや、お前今どこにおるん??お前の地区に迎えにいくら!!』
    「あーその事ならもう大丈夫や!あと、5分くらいで拠点に戻れるから」
    『え?でも、シッマ足怪我しとんのやろ?しかも、結構遠い地区やなかった??』
    「それがな!!おもろいやつにあったんや!!!!そいつと今バイク2ケツしとる!!」

    お前、そんなん信用してええんか?!!敵かもしれんやろ!!とシャオロンが怒鳴りトントンもどうかしてるぞ!!足じゃなく頭もやられとんのか!!とインカムから罵詈雑言が飛ぶ。そりゃそうっすよねーとショッピはこぼすがそんな小さな声ではインカム越しには届かない。

    「うっさい!!それにこいつはちゃんと俺の足も手当してくれたし、何よりもう拠点に着いたで!!」
    『早!!』
    「飛ばしてきたからな!!じゃ、一回切るで!!」

    ちょっと待て!!って聞こえた気がしたが知らん。これ以上あっちの文句を聞くつもりもないしな。

    「コネシマさん、あんた意外と心無いですね。心配してくれる仲間の連絡切るとか…。」
    「ええねんええねん!!ほんとに無事なんやし。あいつらもすぐ帰ってくるやろ。」

    そうですか、と言いショッピはゆっくりと拠点前にバイクを止めた。あの状況からよく無事に帰って来れたものだ。ヘルメットを外せば顔に爽やかな風が辺り気持ちがいい。

    「さ、着きましたよ。お疲れ様でーす。」
    「ありがとなショッピ君!!いやーほんまに助かっ………」

    ピースから振り返り声をかけられ、それに返そうと思ったがコネシマは言葉に詰まった。初めて見た彼の顔は綺麗に整っており、白い肌のせいで女性と見られてもおかしくない顔立ちである。しかし、一番目を引くのは2つの輝く紫の目であった。

    「コネシマさん?おーい、ちょっと大丈夫ですかー?………返事しろやクソ野郎。」

    いやいや、そんなことはあるのか?だがしかし……と考えていたコネシマの頭からベチン!!と音と同時に痛みがやってきた。

    「痛!!何すんねん!!」
    「返事しんアンタが悪いわ。」

    べーと舌を出しニヤニヤとするピースにカチンときたため自分も叩いてやろうと思い立ち上がったが、忘れていた。足を怪我していたのだ。倒れそうになるのを支えられ、あんたアホなんすかと煽られる。くそ、今の俺じゃ部が悪すぎるとコネシマは仕返しを諦めた。

    「ちくしょう……怪我さえなければ…。」
    「はいはい、そうですね。」
    「いちいち返しがムカつくな。……なあ。お前今いくつや?」

    コネシマの突飛な質問にピースははぁ?と顔をしかめる。

    「なんすか急に。それ今重要っすか?」
    「俺にとっては超重要や。」

    真剣にこちらを見るコネシマにピースは不審に思いながらも答えた。

    「はぁ、18ですよ。こんでいいですか?」

    その答えにコネシマは先程まで引っかかっていたものが何かハッキリとわかった。そしてそうか、お前がそうなんかと小さくつぶやいたが、ピースには聞こえなかった。

    「おん。あんがとな」

    ピースがうん?と首を傾げると、その姿をコネシマはじっと見つめて口を少し緩めて笑った。

    「よくわからんけど、まぁええです。今から医務室かなんかに運びますわ。どこで、え、ちょ…っっ!!!!」

    さて、今から入ろうとしたその瞬間、マスクをつけた男が正面から斬りつけてきた。とっさにナイフで受け止めたが力で押されザザッーと後ろへと下がった。

    「いった、…この人一撃重すぎる、」

    東洋の方でよく見る刀と呼ばれる武器の一撃はナイフ片手ではかなりの衝撃だった。痺れる腕を見て、やばいなこのままじゃ死ぬとピースは思った。

    「コネちゃんを今すぐ離せ。さもなくば、今すぐ殺すぞ。」
    「いや、俺はただ、「この場面で言い訳するとは、いい度胸だね。」……っちょ、待って、ねぇ、…コネシマさん、早くなんか言えや!!」

    コネシマはインカムで誰かと連絡をしているためこっちに全然加勢してくれず、コネシマを抱え、マスク男の攻撃を交わし続けるピースはもうフラストレーションが溜まりまくっていた。

    「おう、だから大丈夫や!うん、じゃそう伝えてくれや。トントン泣くなや!!!!………っておいおいおいひとらん!!!!こいつは俺の事助けてくれたんや敵やないって!!」
    「え、嘘!!早く言ってよ!!!!俺殺しちゃうとこだったじゃん!!!!」
    「はぁ、ほんと、はぁ、はぁ、あんたクソやわ。」

    こんなことになるまで放っておくなんて頭がおかしいんじゃないか。ひとらんと呼ばれた男は、ほんとごめんね!!この迷子チワワ連れてきてくれてありがとう!!怪我してない?と意外と親切な対応にショッピは安心した。なんだ、ただのいい人じゃん。

    「てか、なんで斬りかかってるのにコネちゃんは止めてくれなかったのさ。」
    「いや、トントンに連絡入れてたから。」
    「馬鹿!!こっちの方が先でしょ!じゃないと俺この子このこと殺してたかもしんないよ!!」
    「大丈夫大丈夫!!こいつ、そんな簡単に死なんて!さっきも超絶ドラテクで俺の事連れてきてくれたり、武器つかわず敵倒したり!!優秀なやつやで!!」

    なぁー!!と言いながらショッピの頭をヘルメット越しにコネシマは撫でた。なんでそんな先輩ヅラしてんのや、と思わないでもなかったが疲れて抵抗することもせず、ピースはそのまま撫でさせることにした。へえー、トントンが欲しがりそうな人材、とひとらんは感嘆の声を漏らした。

    「とにかく、コネちゃん怪我は?」
    「足やってしもうとる。」
    「じゃあ、しんぺい神とこ行かなきゃね。えっと、君は一応僕と一緒に来てくれる?大丈夫、コネシマの命の恩人に変なことはしないから!」
    「はい、分かりました。」

    ひとらんはインカムで少し誰かと連絡を取り、直ぐにこちらへ向き直り、行こうか、と先を促され、やっと基地の中へと入った。中は中世の城の様でなかなかに手入れが行き届き、甲冑が廊下のはしに並べられている。コネシマは途中で出会った部下らしき人に医務室へと連行されて行った。しかし、連行される前、コネシマはピースを呼んだ。

    「おい、ピース君。今日はいろいろありがとな!!」
    「別にいいっすよ。俺が勝手に寝返って来ただけなんで。」
    「ハッハッハ!!いいな!!なかなか尖ってるわ。あと、



    今までよう生きとった。頑張ったな。ショッピ君。」

    「え、な、んで…」
    「それは、俺から言うことじゃないしな。」

    そう言ってコネシマは部下とともに行ってしまった。ピースの動揺した姿にひとらんは大丈夫か?と声をかけると、あ、はい、すみませんとさっきと同じ冷静な青年に戻った。
    そして、ピースとひとらんは並んで長い階段を上りながら、一番上の階層までやってきた。

    「この中にね、うちの総統閣下がいるから。挨拶していって欲しいな。うちの幹部を助けてくれたって伝えたらすぐに連れて来いって言われちゃんさったからさ。」
    「え。総統閣下?国の最高権力者じゃないっすか!!てか、コネシマさんってここの幹部なんすか?」
    「うん、そうだよ。あれ?聞いてなかっとの?」
    「……あんた偉い?って聞いて、偉いよって答えてもらっただけです。まさか、幹部なんて…」

    扉前まで来てその話を聞いた時ピースは入ることを躊躇し始めた。そんな、下っ端の傭兵がいきなり総統閣下と会うなんてヤバすぎる。しかも、ここの国は幹部以上の人物のかおや名前は一切割れていなかった。なぜなら、その情報をえるものはその者が死ぬ時だからである。今更ながら、俺寝返らん方が良かったかなとピースは遠い目をし始めた。

    「はいはい、駄々捏ねないで入るよ。大丈夫、先俺が入るからあとから着いてきて。」
    「…うっす。分かりました。」

    ひとらんはうん、素直でよろしい、と頷くとノックもせずに入るよーと言って入っていった。ピースは覚悟を決めその扉を開けた。


    一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一

    「コネちゃんはさっき部下の子に引き渡して今は医務室だよ。」

    ひとらんが総統室へ入ってきてそう報告をした。それを聞きその場にいたグルッぺん、鬱、オスマン、エーミールは安堵の息を漏らした。

    「いやあ、コネシマが自力でこっち戻ってきたってひとらんから連絡あってびっくりしためぅ。まあ、一人じゃなくて連れがいたらしいけど。」

    オスマンが良かった良かったといつもよりもニコニコと嬉しそうに笑う。

    「でも、戦争が一気にこっちに好転したのは嬉しい誤算でしたね。いきなり敵さんの方で情報が混戦するなんて。まあ、その影響をこっちも少し食らってしまったんですがね…。」

    エーミールが何故でしょうと顎に手を当て疑問を口にすると、鬱もそれな!!と激しく同意した。

    「いやー俺とロボロもめっちゃびびったわ。なんかあっちでメインのコンピュータがハッキングされて誤情報流れたり通信繋がらんくなったり。誰がやってくれたんやろな?」

    「まあ、それは後で考えればいいじゃないか。で、連れてきてくれたんだろう?ひとらんよ。」

    グルッぺんがひとらん、恩人をこの中へ、と言うとひとらんは入っておいでとドアに声をかける。すると、ドアを開け小柄な青年が頭を下げながら入ってきて、グルッぺんの前で立ち止まる。そして、ヘルメットを脱ぎ深深と頭を下げた。

    「どうも、ピースと申します。総統閣下。」

    そう言って頭を上げると、目の前には目を見開きこちらを見つめる総統閣下、いや





    兄の姿がピースの目に飛び込んできた。
    変わらない、金髪と青い目。そして自分をいつも優しく導いてくれたあの兄だ。




    いた、やっと見つけた。ずっと探していた兄弟。
    最後にあったのはいつだっだだろうか。
    あれから、神に祈り続けた。
    どうか無事で、生きていてほしいと。
    今まで何度思い描いただろう、こうやって再び会うことを。

    目の前がだんだんとゆがみ始め、頬には少し暖かいものごとめどなく流れる。




    「にい、ちゃ「っっ!!ショッピっっっ!!!!ああ、良かった!!良かった!!生きていた……今まで一体どこにいたんだ!!!!俺は、今日この日まで、どんな思いで…ぐすっ」

    ショッピが名前を呼ぶのを遮り、グルッぺんは机を乗り越え目の前にいる自分の弟へと抱きついた。勢いがつきすぎて、ショッピが受け止めることが出来ず尻もちを着いてしまったがそんなのお構い無しに、グルッぺんはショッピの背中に腕を回しきつくきつくだ抱きしめた。あまりの出来事にその場にいた幹部たちは何も出来なかった。

    「いた、痛いよ、兄ちゃん、「ぐすっ、いいだろう、ぐすっぐすっ、俺はお前が、ずっと、ずっと、ずっーーーーと!!心配だったんだからな!!!!お前が、ゆく、ゆくえ、ヒック、不明だって、聞いて、俺は俺は

    ヒッ、……ヒック、本当に本当に!!!!良がっだああ!!!!」そ、そんな泣かんといてや、俺、俺だって、兄ちゃんが、今でも元気にしとるかって、ずっと心配してたんやで、「ごめんンンン!!!!」でも、あえて、良かった…ぐすっ、ぐすっ」

    子供のように泣きじゃくるグルッぺんに周りは何がどうなっているのか分からなかった。

    しかし、この8年間グルッぺんから話を聞いていた鬱は、

    「ぐすっぐすっ!!良がっだねえええええ!グルぢゃンンン!ぐすっ、ジョッビグンンンン!!」

    と一緒にもらい泣きしている。汚いなとオスマンは思ったがさすがにここでは口には出さない。

    その後コネシマ含め幹部全員が集合したが、この2人を含め、泣きじゃくる鬱とトントン、暖かい目で見守るコネシマ以外やはり、何が起こっているのかわからなかった。
    一通り2人が泣くのが落ち着くと、みんなで座れるよう談話室へと移動をした。移動の間もグルッぺんはショッピと手を繋ぎは絶対に離れないという強い意思がみてとれた。


    一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一

    「えっと、色々聞かなきゃ行けないことがあるんだけどね、」

    いつもなら仕切り役をしてくれるトントンも先程からぐずっぐすと鼻水をすすり続けているため使い物にならない。オスマンが代わりの進行役としてこのカヲス空間の説明をつけようとしていた。

    「まず、この子はグルッぺんの弟で間違いないめうね。」
    「そうだぞ!!!!いゃあーこんなに大きくなったんやなあ!!!!兄ちゃんは、兄ちゃんは嬉しいぞ!!「ごめん、さすがにちょっと我に返って恥ずかしくなってきたわ。」照れてるのも可愛いいいい!!!!」
    「やばい、これは末期症状出てますね。」
    「お薬出しときますねー。」

    グルッぺんが頬ずりをしながらショッピへと抱きつくのを冷めた目で見ながらエーミールとシャオロンはグルッぺんにお薬という名の精神安定剤のケーキを手渡した。もぐもぐと食べ始めたことでやっとショッピは自由になった。
    大変だね、そうっすね、とオスマンとショッピは目だけで会話をする。

    「で、ショッピ君、だっけ?ショッピ君は今までなんでグルッぺんにあわなかっためう?弟なら生き別れたとしても会いに来ようと思えば来れたんやない?」
    「あー、その、お言葉ですが、ここのセキュリティが強すぎて幹部以上のくらいの人達の情報って外部に一切でまわってないんすよねー。」
    「あ、それはほんとすまんな。」

    みんな一斉にあーそりゃ無理やなと納得した。常時優秀ロボロと時たま有能大先生コンビのセキュリティは世界でも最高峰。右に出る国は今のところ見つかっていない。グルッぺんの演説などは顔だしはせず、幹部以上の顔を知っている一般兵達もこの情報を漏らすようなやつはいない。いたとしたら、観光客として即処分。

    「なるほどね、じゃあつぎ行こか!ショッピ君は今までどこにいたの?」
    「そうだゾ!!!!俺たちのセキュリティが鉄壁だったことは仕方なし。しかし、俺たちも一切お前の情報が手に入らなかったんだゾ。」
    「俺は一応兄ちゃんを探すために軍には所属しないで傭兵として世界回っとったんや。そんで、毎回参加する戦争もフルフェイスのヘルメット被って参加しとったから、俺の顔知っとるやつはおらんのちゃうかな?でも、結構そこの界隈やと俺有名らしいで。」

    ちなみに、今回の相手国いきなり崩れませんでした?とショッピが聞き、ロボロがそう!!!!めっちゃ助かったぁー!!と零すと、

    「それ、ワイです。」

    としれっと言いやがった。

    「え、まじで?」
    「はい、役に立ちましたか?」

    首をかしげると、ロボロがスっと立ち上がりショッピの手を握り神か?と真剣な声で言うものだからショッピはふきだしてしまった。

    「wwwふふっ、役に立ったようで何よりっすわww」
    「えー、いい子。グルッぺん、この子うちの入らんの??」
    「あ、そうやった。兄ちゃん、俺軍に入れてや。俺今生活苦しくて。」
    「何!!??よし、すぐにものを揃えよう!入隊と部屋の準備が必要だな!!何が欲しいか言え!!なんでも買ってやるぞ!!」
    「ありゃー兄バカ誕生やな…」
    「いや、これは元から。」
    「せやったわ。」

    鬱は楽しそうに笑いながら弟に対してデレデレとする旧友を眺める。
    彼はここにいる仲間といる時、いつも楽しそうに笑う。しかし、いつもどこかへ思いを馳せ、本当に笑うことに1歩線を引いているように感じた。

    鬱とトントン、コネシマは3人で掲げた未来が実現したことを嬉しく思ったが、まだ、自分たちの任務は終わりではない。新しい後輩をこれから導いていかなければならないのだから。そして、これから新しくスタートを切る後輩へと激励を込めて言葉を送った。





    「「「ようこそ我々だ軍へ!!!!!!!!!!ショッピ君!!!!!!!!」」」







    そのあと、この兄弟達による軍からの脱走伝説が数多く残されていった。

    「甘味食べに行くぞショッピ!!!!!!」
    「了解です!!」


    Comments

    • くじら

      わぁ……お手本のような兄バカですねぇ…

      September 11, 2022
    • 久川
      May 13, 2021
      Display Replies
    • ここ

      こんなに早く書いて下さりありがとうございます!! とても面白く明日の学校頑張れそうです!

      April 29, 2021
      Display Replies
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