【期間限定全体公開】佛跳牆(ファッチューチョン)を食べてきた話【後編】
August 6th, 2023 12:00・All users
さて、伝説の中華料理『佛跳牆(ファッチューチョン)』を食べてきた話、後編です。佛跳牆という料理自体についてと、それを食べに行くことに至る話については、前編の方で書きましたので、そちらをご参照いただければ幸いです。
会場ばこちらのお店、横浜中華街の大珍楼。二種類の佛跳牆が一度に出てくるコースがあるお店です。
前編ではコース料理の途中、『広東式佛跳牆』が出たところまで書きました。後編はカニ料理からのスタートです。というか、佛跳牆(の片方)が出てきてもまだコースの半分というのがすごい。
『大タラバガニの二種料理』。こちらは写真用の飾り付け。美しい、みんなこぞって写真を撮ります。まわりがカニのお団子で、真ん中はカニの身と卵白を合わせて炒めたもの。
個別のお皿に取り分けたのがこちら。
お団子の方は濃厚なカニの味。卵白と合わせて炒めた方は、食感がおもしろく、ふんわりと軽い感じで美味しい。こういうカニ料理もあるのかと驚き。
と、思ってたらカニ料理の三品目が出てきた。確かメニューでは二品とのことだったが、お店の方いわく「今日のカニが大きすぎたので、もう一品料理を作りました」とのこと。マジで? そんなことある??
カニのうまみを十分に吸った、春雨。
こんなの美味いに決まっとるやないか! (実際とても美味い)。
こちらもメニューでは「赤ハタの蒸し料理」だったはずなのだが、
「もっと良い魚が入ったのでそっちにしました」とのこと。そんなことあるん??
いわゆる清蒸というもので(蒸した魚に熱々の油をかけたやつ)、身はやわらかく、ネギは油と香ばしく、うまい。
ちなみに前日からお粥のみを食べることで、お腹と味覚のコンディションを整えてきたんですが、このへんでかなりお腹いっぱいになってきています。しかしまだまだ、次のメインディッシュが待ち構えています。
でかい蓮の葉に包まれた壺登場。で、出た〜!!! 第二の佛跳牆、『福建式佛跳牆』の登場だ〜!!!!
皆が見ている前でブワァっと剥がされる蓮の葉。
こちらが『福建式佛跳牆』。広東式のように、まずスープが出てそのあと中身、というスタイルではなく、いきなり中身ごと出てきます。さて、こちらはどんな味なのか。広東式とはどう違うのか、果たして……。
もつ煮込みだ! 広東式が「タコのおでん」の味ならば、福建式は「もつ煮込み」の味が一番近いと言えるでしょう。材料を見てみると、以下の感じ。
20種類と、広東式の12種類に比べてかなり多いのに加えて、長時間蒸して作る広東式に比べて、福建式は同じく長時間、紹興酒で煮込むのだとか。ちなみに冬に開催したのは、前回このコースを開催した方たちが、夏の暑さと合わせて「漢方酔い?」か何かで具合が悪くなったから、冬にしたとのこと。ただ、今回この福建式を食べた何名かは「紹興酒のアルコールが残っている」「低温で煮込んだから酒が飛んでいないかも」「アルコールのせいで具合が悪くなったのでは?」と話していました。自分は紹興酒を飲みながら食べていたので、もうそこまでは判断つかない状態です。ただ、広東式と同様に、甘い、しょっぱいとは全く違う感覚で、異常に濃いけれど、すいすい飲めるという点は共通していました。
あと、これは広東式と福建式に共通してるんですが、ずっと飲んでると、舌とは別のところで「味」を感じるんですよ。頭の奥、脳みそのどっか中心の知らん機関が「佛跳牆」の味を感じている。普段絶対使わない部分が、この「佛跳牆」の味の刺激にだけ反応してるんです。これは人生初の体験でした。さらに言うと佛跳牆、いわゆる「雑味」を一切感じない。これだけ複雑多量の材料を使っているのだから、普通ならばちょっとしたクセとか、苦味とか、どっかに変な味を感じるようなことがあると思うんですが、そういうのがマジで一切ない。謎の濃い味の鈍器で頭の奥を延々殴られ続けているが、それが案外気持ちいい、みたいな感じ。うーむ、後から思い返してみても、わけがわからん。
「佛跳牆を食べてきた」と言うと、よく「そんなに美味いのか?」と聞かれるんですが、単純な美味い不味いで言うと、たとえばカレーなんかの方がシンプルに美味いと思います。「人生最後に食べる料理は?」とか「一生ひとつのメニューしか食べられないなら?」みたいな質問に対しては、カレーと答えると思います。ただ、単純な一料理として美味いかどうか、というのは、佛跳牆に対する評価のあくまで一要素でしかないのではないかと思います。なんかもっと他に評価軸のグラフがいっぱいあって、そっちがカンストしてる感じ。
ちなみにこの福建式の佛跳牆、少し量が多かったようで、希望者は持ち帰りを頂けました。自分はさすがに遠慮したんですが(今考えればもらっときゃ良かった)、持ち帰った銅蟲さんによると、お店の方からこそっと「少し薄めて、塩味つけて食べると美味しいですよ…」と囁かれ、その通りにしたところ、普通の大変美味しいスープになったそうです。ただ、純粋な佛跳牆で得られるこの「よくわからん」味の体験は失われてしまうんでしょうね。
さて、こうして二種類の佛跳牆を食べ終わった後も、コースはまだ続きます。この、ちまき的なやつは……
『フカヒレ入り鶏肉ご飯』。量がちょうどいい、シメのご飯的なかんじ。
そしてここから、さらにデザートが!
パパイヤを使った粋な容器が出てきた。サザエさんのオープニングで見慣れたやつ。カットするだけで大変なんじゃないか、これ。さて、中身は一体……?
開けると中に、ココナッツミルクとツバメの巣!
料理名は『海燕の巣とココナッツミルク』。パパイヤ自体が容器と料理を兼ね備えていて、柔らかい果肉をスプーンで削りながら、ツバメの巣とココナッツミルクのと合わせて食べます。このデザートでびっくりしたのが、暖かいこと! 果物といえば冷えたデザート、という概念を覆された衝撃もありましたが、この温かく甘いデザートが非常に美味しくて、満腹のお腹でもするする入ってしまう。佛跳牆を除くと、これが一番美味しく印象に残った料理でした。
は〜、満足満足、と思ったら、料理がもう一品出てきた。マジか。
寿と描かれた巨大桃まん。
巨大桃まんの中身は、小さな桃まんです。
メニューには『桃饅頭』とだけ書いてありましたが、実際にはこのように、一口大で食べられる甘味が六種類! どれも全部、甘さの種類が違うので、ここまできても飽きずに食べられました。
一番上のナッツで包んだやつがすごかった。甘さの暴力。
と、いうわけで、以上が佛跳牆を食べてきた全メニューと感想でした。13時から始まって、全て食べ終わった頃には16時を過ぎていました。3時間以上の会食。佛跳牆以外の料理も凄いものばかりで、あまりの体験の濃さに脳がめちゃくちゃになりましたが、こうして写真と一緒に振り返ると、なんとか感想を思い出すことができますね。普通に生きてたらまず遭遇しないようなイベントだったので、あらためて開催してくださった小林銅蟲さんに感謝です。
自分の体験レビューは「素人が佛跳牆を初めて食べてみた感想」としては意義があると思うんですが、書いたあとに銅蟲さんが自身のFANBOXで書いたレビューの方を(齟齬がないか確認のため)読んでみると、材料から味の感想まで、さすがプロの方は違うなぁという感じで、もう段違いだったので、もっとよく知りたい方はそちらをお読みください。あと、「めしにしましょう」3巻で佛跳牆を自作した回や、その時のブログなんかが、実際に本物を食べた後に読むと、かなり的確に佛跳牆の本質を掴んでいた内容なのだなと感じたので、そちらも合わせてお読みいただけると面白いかと思います。
料理ネタはこのFANBOXの本筋ではないので、今回は番外編みたいな扱いで、今月中はまた別のイラストなんかをアップする予定です。よろしくお願いします。では、また次回で。