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【期間限定全体公開】佛跳牆(ファッチューチョン)を食べてきた話【前編】

August 5th, 2023 12:00・All users
『佛跳牆(ファッチューチョン)』、ご存じでしょうか。「その香りを嗅ぐと、修行僧も塀を乗り越えて食べに来てしまう」というのが語源の、中華料理の一種です。ざっくり言うと、干しナマコなどの高価な乾物を惜しげもなくつぎ込んだ蒸し料理で、日本でこの料理が有名になったのは漫画「美味しんぼ」で紹介されたことが大きいでしょう。


何を食べても「原材料や調理法がすぐにわかってしまうので、食事を楽しめない」という老人に、山岡さんが「一週間待ってくださいよ」と言って、お出ししたのがこの佛跳牆。上記の通り高価で珍しい食材を大量にぶち込んで作るため、さすがの老人も何を材料にしているのか判別がつかず、その美味さに感動したというエピソードです。昔読んだきりなので、かなり曖昧なあらすじです。「一週間〜」とかは言ってない可能性が高い。ともあれ、非常に高級かつ稀少な中華料理として、一体どんな味がするのかと、しばしば話題になるのがこの佛跳牆です。


「美味しんぼ」が日本での佛跳牆紹介の元祖とするならば、その中興の祖は、漫画家の小林銅蟲氏と言えるでしょう。漫画「めしにしましょう」の3巻にて実際に佛跳牆を自作した回があり、もう少し詳しい内容はブログの方に記載されています。


佛跳牆についての詳しい情報、実際に自作するならどうすれば良いのかは、こちらに詳しいので、専門外の自分から話せることは特にないんですが、ともあれそんな銅蟲さんが主催する「佛跳牆を食べる会」というのが先日ありまして、それに参加してきた記録が以下になります。主催の銅蟲さんの方でも自身のツイッターやFANBOXなどで体験記を書いており、解説としてはそちらの方が遥かに詳しいわけで、わざわざ自分なんかが書く必要もないんですが、いちおうの備忘録として記録しておこうと思った次第です。
つい前置きが長くなってしまいました。それでは本筋の、佛跳牆を食べてきた話、始まります。


某月某日、佛跳牆を食べる会の会場、横浜に向かいます。横浜に来るのは実は3回目。関東在住のわりに、よほど用がないと行かないですね。1回目は横浜美術館にダビンチの「白貂を抱く貴婦人」が展示された時で、これはもう20年くらい前じゃないですかね。友達と行って、ついでに遊園地などの資料写真を撮ってきました。2回目はつい数年前で、横浜人形の家という場所で人形の展示を見てきました。とはいえ、横浜と言えば有名な「中華街」には、一度も足を踏み入れたことがありませんでした。
駅を出ると、すぐに中華街の門。うーん、雰囲気あるぅ。


しばらく歩くと、もうひとつ門が。隣が普通に市立の中学校なのでびっくりした。


一般的に有名な、いわゆる中華街の門。後で調べたら善隣門と言うそうです。


こういう車両侵入禁止の看板も、いかにも中華街という感じ。
 

会場のお店は、その入口からすぐのところにある「大珍楼」。非常に立派な中華料理店です。


入口もすごい。


そして、今回の食卓はこちら。写真では1テーブルだけですが、同じ部屋にもう2つテーブルがあり、計20名が参加しています。佛跳牆を食べる会を開きたいと銅蟲さんがお店側に打診したところ、「材料の関係から10人単位でないと作れない」と言われたそうです。つまり10人か20人か30人か…と、キリのいい数字で人数を集めて参加しないといけないとのことで、けっこう人数集めとその調整に苦労してたみたいです。
一人多くても少なくてもダメだし、当日ドタキャンするような人は当然NG。主催の銅蟲さんはさぞかし胃が痛くなる案件だったかと思います。お疲れさまでした。


いわゆる中国式の円形テーブル。まわせる台のところはガラスです。


皿もスプーンも金色に輝いています。


こちらが本日のメニュー。佛跳牆を食べる会ではありますが、正確には「二種類の佛跳牆を含めたコース料理」になります。なので、前菜からデザートまでさまざまな料理が出ます。この日は13時スタートだったのですが、16時ごろまでかかると言われました。食事だけで3時間!?
菜譜(メニュー)、中国語で書いてあるので全くわかりませんが、親切に下に日本語が書いてある。ありがたい。以下、写真に合わせて日本語のメニュー名も記載していきます。


食事が始まる前から、同じ階のベランダで何やら作業をしています。皆で見に行くと、仔豚をまるまる焼いていました。大迫力!
「天気が悪いと焼けなかったので、晴れて良かったですね」とお店の方が言ってました。耳と尻尾は焼けすぎないようにアルミホイルが巻かれています。みな、珍しい光景にカシャカシャと写真を撮ります。


ややあって、こんがりと焼かれた仔豚。
目玉に飾り電球がぶっさされている。シュールすぎる。


そうこうしているうちに、食事会がスタート。まずは最初に出てきたのがこちら、『鮑入りもち米揚げ餃子』と、『伊勢海老のウサギ型餃子』
パリっとした餃子とモチっとした餃子の二種類。揚げ餃子はパリっとした食感が香ばしく、ウサギ型のエビ餃子は口に入れると濃厚な、いかにも海老!という味が広がります。


次は、『仔豚の丸焼き』。もっちりとした包(パオ)に、さきほど焼いたばかりの仔豚の皮と、野菜とタレが挟まれています。長崎の角煮まんが近いかもしれない。


もっちりとした記事の中に、さくっとした小豚の皮のハーモニー。
仔豚の皮をこの状態にするのが超難しいらしい(と銅蟲さんの記事に書いてあった)。


さて、ここでお店の方々が、大きな壺を2つ運んできます。フタを取った瞬間、強い香りが広がり皆が騒ぎます。そう、これが今回の大本命「佛跳牆」の壺!
どうやら壺1つで10人前っぽい。非常に濃厚な香りがしますが、何の匂いかわからない。比較対象が無いので、どうにも例えようがない香りです。中国の乾物とかいろいろ詳しい人だったら似たものに例えたりできるのか、それとも美味しんぼの老人のように「複雑すぎてわからん」状態になるのか。うーん。


この『広東式佛跳牆』、ちなみに材料はこちら。
干し鮑とか干貝はわかるけど、他は何だろう。猪という感じは辛うじてわかるが、金華ナントカは金華ハムなのか? 気になる方は調べてみてください。ともあれ12種類の材料を使っているからこその、この濃厚な香りということなんでしょうね。


伝説の佛跳牆、そのスープがこちら。
透明ですが、同時に深い色合い。あれだけ多種の材料を煮込んでいながら、透明さを維持してるのもすごいですね。さて、飲んでみた味の感想は……。


おでんだ。タコのおでん。材料にタコは入っていないそうなのだが、一番近い味を言うならばタコのおでんしかない、そういう味がする。銅蟲さん曰く「乾物をいっぱい煮込むとタコの味になるんすよ」とのこと。ただ、じゃあ普通のタコのおでんの味かというと、そうではないんですよ。まず、「味が異常に濃い」。確かにおでんに味が近いんですが、その濃厚さは桁違い。また、味が濃いにしても、たとえば「甘い」とか「しょっぱい」とか、はたまた「うまみ」だとか、そういうタイプの濃さではなくて。ただただ異常に「濃い」ことはわかるんですが、何が濃いのかわからない、例えることができない濃さ。それに加えて、「異常に濃いのにするする飲める」という、矛盾した状態。「しょっぱい」とかの濃いだと、ある時点で濃さに飽きて飲めなくなると思うんですが、全然飲めなくならないんですよ。うーん、不思議だ、わからん……。


そうこう混乱している間にも、次の料理が運ばれてきます。『仔豚肉の釜焼き』、甘めのタレがついている。
正直、佛跳牆への戸惑いで、味が覚えていない。


そしてまた佛跳牆! 先ほどの壺と同じものですが、これはスープだけじゃなく、中身付きです。真ん中は干し鮑でしょうか。様々な乾物が非常にやわらかく蒸されており、なんとも不思議な食感と味。スープ単体ほどのインパクトはないものの、こちらも濃厚ながら、するする食べることができました。


と、すみません、長くなりすぎたので、コースの途中ですが一旦記事を締めさせていただきます。コースの後半は次回の後編の記事にて。メインの佛跳牆がもう出てしまったかに見えますが、実はこのコース、佛跳牆が二種類出ます(しれっと上の方で一回書いてる)。もともと銅蟲さんの方で「佛跳牆を一度に二種類味わえるコースがある」というのに衝撃を受けて開いたのがこの食事会。広東式と福建式の二種類の佛跳牆が一度に出るというとんでもないコース料理で、上記で紹介したのは広東式の佛跳牆。このあとに福建式の佛跳牆が控えています。そのほか、カニのとんでもない料理が出たり、とんでもないデザートが出たりとかもあります。


福建式佛跳牆の材料一式はこちら。広東式と全然違うし、非常に多い! いったい何がどう違うのか? ではまた、後編にて
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