「合理的な疑いが残る」組員銃撃事件で殺人未遂罪に問われた山健組組長に無罪判決

中田浩司被告=平成30年4月
中田浩司被告=平成30年4月

神戸市の指定暴力団山口組系組事務所前で令和元年、組員を銃撃し重傷を負わせたとして殺人未遂などの罪に問われた山健組組長、中田浩司被告(65)の裁判員裁判で、神戸地裁は31日、無罪を言い渡した。求刑は懲役20年。判決は、防犯カメラに写っていた犯人が被告だとする検察の主張を退け、「被告の犯行と断定するには合理的な疑いが残る」と指摘した。

丸田顕裁判長は判決理由で、防犯カメラの人物と被告は同じブランドの服を着ていたと認めたが「流通量が多く、被告とは断定できない」と述べた。カメラに写り、事件後に発見された黒いバイクからは銃撃現場付近にあったことを示す痕跡が確認されたものの、被告の関係先で複数の人物が共用しているもので、事件の際に被告が乗っていたとは言い切れないとした。判決後、取材に応じた被告の弁護人は「裁判員、裁判官の法規に沿った適切なご判断に敬意を表する」と話した。

会員限定記事

会員サービス詳細