【更新】選挙の投票用紙の記入はなぜ鉛筆で行うのか
2010/07/05 19:30
以前【選挙の声援、女性は「ホーホケキョ」・男性は「カー」!?】や【候補者とスタッフぞろぞろ「桃太郎」!? 選挙用語はとっても不思議ね】、【選挙戦で「カルタ取り」が行われる理由】などで、選挙の内情・専門用語について解説した。今回も選挙絡みのお話として、素朴な疑問について調べてみることにする。その疑問とは「選挙の投票用紙の記入はなぜ鉛筆で行うのか」というものだ。
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これはハマコーこと元衆議院議員のハマコー先生こと浜田幸一氏が【ツイッター上でつぶやいた】もの。言われてみれば確かにその通り。何でだろうかと不思議になる。
……と思って調べてみると、楽天の選挙特集ページ内にある、ハマコー先生の記事の中に【ズバリ回答が】あった(汗)。
↑ 回答部分
詳細はリンク先を確認してほしいが、要は
・経費削減のため
両方の条件にマッチする鉛筆が選ばれた
ということになる。
また、神奈川県の秦野市選挙管理委員会の【解説ページ】にはもう少し詳しい説明があり、それによると、
余談ですが、投票所に備えられている鉛筆削りは、停電等に備え、すべて手動です。また、ローソクも用意しています。開票時は、赤鉛筆を使用しています。
とのこと。
さらに独自に東京都の選挙管理委員会に問い合わせたが、
・理由は上記にある通り。他に、間違って記述しても、やはり備え付けの消しゴムで消すことができるから。
・自前のボールペンやサインペンで記述しても無効では無い。しかし、万が一記載を間違った際に、間違った方を線で上からなぞって消したり黒く塗りつぶしたりし、その上で正しい名前や党名を書いても、集計の際に「複数記述」として無効にされる可能性がある(鉛筆以外の方が無効票リスクは高いということ)。
・鉛筆と消しゴムで記載していて、消しゴムをかけまちがって用紙を破いてしまった場合は、(選挙区の判断にもよるが)担当者に話をすれば、新しい用紙に交換してくれる場合もある。
※選挙区によっては備え付けの鉛筆以外の筆記用具は使用できない場合もある。必要な場合は投票時に担当の係員に問い合わせること。
とのことである。ただ、上にもあるように、ペンで書いた場合には文字写りなどでせっかくの一票が無駄になってしまうリスクもある。その上、あのツルツルの投票記入場所では鉛筆以外は使いにくい。
個人的には「集計時に改ざんされる可能性は?」「書き手の記入時に容易に書きなおしが出来るということは、その後も同じことができるうるって話じゃないの?」という疑問はある。しかし一見「改ざんは難しい」と思われるペンなどの場合、インクに反応する物質を使うことで鉛筆より容易に改ざんがされうることを考えれば(別候補・党への書き変え、ではなく有効票を無効にすることによる改ざんなら、消すだけでOKとなる)、どっちもどっちかな、というところだ。また、開票時の改ざんも、複数の立会人のもとで行われるので、不可能に近い、とのことだった。
ただし[予算ないのに選挙啓発活動? 仕分けで削減…でも法整備は間に合わず(産経)]にもあるように、選挙経費をさっさと例の「仕分け」で削減したにも関わらず、選挙事務縮小を盛り込んだ法案がやはり【「質問に質問で返すのは議論が下手くそな証」あるいは……】などの事情からだろう、国会がさっさと閉会してしまったせいで廃案となり、「選挙事務はこれまでのまま」「予算は縮小」という、お話にならない事態に陥っている。これが開票時のセキュリティにどのように影響していくのかが不安といえば不安ではある。
ともあれ結論としては、「用意されている鉛筆を使うのが一番安心」「心配な場合は極力強い筆圧で、用紙一杯に、自分の気持ちを込めて、候補者名や党名を書きこむ」というのが正解のようだ。
※2013.07.21.追加
【公職選挙法施行令第三十六条】には
第三十六条 選挙人は、誤つて投票用紙を汚損した場合においては、投票管理者に対して、その引換を請求することができる。
とある。投票所に消しゴムが無く、記述でミスをした場合は、素直に係員にその旨を伝え、新しい投票用紙を受け取るのがベストだろう。
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