外環道工事の一部差し止め 住民「今後も不安な日々」 再開区間の請求は却下
2022年3月1日 06時00分
東京外郭環状道路(外環道)のトンネル工事の影響で、東京都調布市の住宅街で市道が陥没する事故が発生してから1年4カ月。東京地裁は28日、陥没再発の恐れを認め、一部区間に限り工事差し止めの仮処分を決定した。しかし、事業者が工事を再開した区間では差し止めが認められず、住民からは不満や不安の声が上がった。
「うれしいが半分。悲しいが半分。住民はこれからも不安な日々を送らないといけない」「(東日本高速道路など)事業者の再発防止策は工事の再開ありき。再開を認めた区間があるのは不満だ」。地裁決定後の記者会見で、住民は険しい表情を崩さなかった。
トンネル工事の影響で陥没などが発生した調布市東つつじケ丘の住宅街。地下40メートル以上の深さを掘削する国内最大のシールドマシン(掘削機)が、閑静な住宅街の生活を一変させた。
トンネル上に住む菊地春代さん(66)は「地上部に影響がないと事業者が繰り返し主張した大深度地下工事で、司法が違法性を認めたのは画期的だ」と語る。陥没後、自宅の隣家の地下で長さ約27メートル、幅3メートルの空洞が見つかった。掘削機が地下を通った前後の約1カ月間、振動と騒音に悩まされた。東日本高速に何度も訴えたが、マシンが止まったのは陥没後の2020年10月だった。
同じくルート上にある自宅前の空き地の地下に空洞ができた女性(74)は「住民の声に裁判所が振り向いてくれたのかと思うとうれしい」と歓迎。一方で、ルート上の約30軒は東日本高速と買い取りを含む一時移転交渉中で「2年程度の地盤補修後に2本目のトンネル工事が控えている。再びあの振動や騒音に悩まされるのかと思うと、ここに戻る選択肢は考えられない」と悔しさをにじませた。
工事の影響は、振動や騒音のほか、200軒以上の住宅で一部が損傷する被害があった。ガス管の破損などインフラにも影響が出た。(花井勝規、加藤益丈)
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