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2012年5月3日12時27分
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「おしい!広島県」絶妙の自虐戦略 賛否巡って話題沸騰

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写真:有吉さんを中心にストーリーが進む「おしい!広島県」の公式PR動画=県提供拡大有吉さんを中心にストーリーが進む「おしい!広島県」の公式PR動画=県提供

 自虐的にも聞こえる広島県の新観光PR「おしい!広島県」が注目されている。専用ウェブページへのアクセスは計約167万件(4月末現在)。ユーチューブの公式動画には「行きたくなった」「『おしい』はやっぱり寂しい」など賛否両方のコメントが並ぶ。思い切ったPRの裏側を探った。

 PRの前提になったのは、県内市町が観光で売り込みたいものとして挙げた27項目の認知度調査だ。昨年8月、インターネットにより全国20~60代の男女1060人から回答を得た。

 その結果、「原爆ドーム」「厳島神社」「カキ」「お好み焼き」「尾道」の5項目以外は、認知度50%未満。だが、「新鮮でおいしい」などのプラスイメージを加えて聞き直すと、「しまなみ海道沿いの島々」「鞆(とも)の浦」「世羅の花巡り」「瀬戸内海クルーズ」「果物狩り」といった16項目で50%以上の興味・関心を集めた。

■プロの目線で

 調査を進めたのは、「ひろしまブランドコンセプト策定委員会」。ひろしま菓子博(2013年)などのイベントを前に観光戦略を一新しようと、昨年4月に県庁内に発足した。湯崎英彦知事から「プロの目線が必要」との指示を受け、旅行雑誌「じゃらん」の元編集長らも名を連ねる。

 調査結果について委員会は「知られていない観光資源(宝)が多いが、知れば関心を持ってもらえる」と結論。新たなブランド構築の基本コンセプトを「瀬戸内ひろしま、宝しま」に決めた。ちなみに、これまでの基本コンセプトは県内外からの一般応募で決まった「ええじゃん広島県」。県によると「変える必要性に迫られなかった」ため、04年度から約8年間君臨し続けた。

 他の自治体も今は観光PRに必死だ。先に注目を集めた「うどん県」の例もある。委員会では「集中的な情報発信で、関心と興味を強烈に引こう」と一致した。そのコーディネート役とアイデアを募集し、選んだのが「おしい!広島県」。観光課の担当者は「広島をうまく言い表していると思った」と笑う。

■目標530万人増

 県は毎月4日を「おしいの日」にして「おしい」エピソードの投稿から優秀作を選んだり、「おしい」のロゴをダウンロードできるようにしてPR活動の協働を呼びかけたりしている。反応は今のところ順調だ。

 外部とのタッグも進む。大手旅行サイト「楽天トラベル」には、特設ウェブサイトが登場。お好み焼きの食事券を付けるなど、「おしい!」をテーマに195の宿泊プランが並ぶ。

 県は今回のブランド戦略にかける予算を、今年度までに計約1.6億円と見込む。今年の観光客数の目標を前年比530万人増と設定。今後は、観光客数増や県産品購入に具体的にどうつなげていくかが課題となる。(中野寛)

    ◇

 〈「おしい!広島県」〉 県が3月27日から始めた観光PRのキャッチフレーズ。「おしいは、おいしいの一歩手前」と意味付け。毒舌で知られる熊野町出身のお笑い芸人、有吉弘行さんを観光大使に起用した。特設ウェブサイトでは県内の観光スポットやグルメなどを「おしい!名鑑」と名付けてアピールしている。

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