27日に投開票された衆院選で、共産党公認で小選挙区に立候補した213人の3分の2に当たる143人の得票が有効投票数の1割に達せず、供託金没収の対象となることが29日、総務省の発表資料からわかった。1人当たり300万円で、総額は小選挙区の立候補者だけで4億2900万円。野党共闘により候補者を絞った令和3年の前回選と比べ、3倍以上の高額となる。
共産は前回、立憲民主党、国民民主党、社民党との共闘により小選挙区での野党候補を一本化。全289選挙区の中で擁立を105人に絞り、沖縄1区の赤嶺政賢氏(76)を除き落選した。105人のうち供託金没収の対象は44人で総額は1億3200万円。「没収率」は約42%だった。
今回は立民が共産との選挙協力を否定するなどし、共産は戦略を転換して積極的に候補を擁立。全289選挙区の7割超で、前回の2倍に当たる213人を立てたが、当選者は前回に続き赤嶺氏のみで143人が没収対象、没収率は約67%で前回から25ポイント上昇した。
供託金制度は、売名目的などの立候補を防ぐ目的で導入され、小選挙区300万円、比例代表600万円、両方の重複立候補の場合は合計で600万円。小選挙区の場合、有効投票総数の10分の1に届かないと全額没収される。
今年7月の東京都知事選では過去最多の56人が立候補し53人が供託金を没収、総額は1億5900万円にのぼった。