国民民主党の玉木雄一郎代表は29日の記者会見で、衆院選で掲げた政策実現のため、政府・与党と連携する可能性を示唆した。国民民主と自民、公明両党は憲法改正や外交・安全保障、エネルギーなどの基本政策で共通点は多いが、税制などで隔たりもある。来夏には参院選を控える中で、国民民主は「政策実現」の果実を取りつつ、政府・与党とは一線を画し存在感を示す構えだ。
手取り増える政策を
玉木氏は29日の記者会見で党の政策実現に関し、「国民生活に直結する、手取りが現に増える政策を実現できるよう、政府・与党はじめ関係各方面に働きかけを強めていきたい」と述べた。国民民主は減税や社会保険料の軽減などの「手取りを増やす」政策を旗に戦っており、「掲げた政策を1つでも2つでも実現したい」と語った。
衆院選で過半数を維持できなかった自民、公明両党は安定的な政権運営のため、基本政策で親和性がある国民民主との連携を模索する。一昨年には国民民主が令和4年度予算の衆参両院での採決に賛成し、自公政権を事実上信任した。
石破茂首相は国民民主を念頭に「議席を大きく伸ばした党」の政策受け入れに柔軟な姿勢を見せており、双方は水面下で調整を続けている。
政策受け入れ迫る
双方の連携で試金石となるのは、政府が11月中に編成する物価高対策などを含む6年度補正予算案の編成と来年度税制改正を巡る協議だ。玉木氏は「過半数を割ったという状況の中で、今政権に求められるのは丁寧に多くの声に耳を傾けることだ」とも述べ、政府・与党側に党の政策を受け入れるよう迫った。
まず政策協議の対象となるのは、国民民主の看板政策といえる「103万円の壁」の撤廃だ。パートで働く人らの年収が103万円を超えると所得税が課税され、逆に手取りが減るため労働時間を抑えてしまう問題で、その上限を178万円に引き上げるよう主張した。
自民も社会保険料負担が生じる「106万円の壁」「130万円の壁」を念頭に、衆院選公約に「年収の壁を見直し、働き方に中立な社会保険制度とする」と明記した。公明党も年収の壁解消を訴えており、「103万円の壁」は与党として受け入れる余地は大きい。
ハードル高い政策も
一方、ハードルが高い国民民主の政策もある。
ガソリン税を一部軽減する「トリガー条項」凍結解除の実現は国民民主も看板政策で、今年の通常国会で自公と国民民主の3党で協議したが、決裂した。石破政権の屋台骨である森山裕幹事長や加藤勝信財務相も当時、凍結解除に慎重だった。
だが、政権内で影響力を持つ有力議員は「もうそんなことは言っていられない。財務省は反対するだろうが、凍結解除を迫るしかない」と語る。
現時点で政府・与党と野党の間で、予算案や法案などを国会提出前に審査する枠組みはない。国民民主関係者は「こうした過程に野党がどこまで関われるかわからない。政策実現のプロセスが全く見えていない」と話した。(千田恒弥、田中一世)