福井県も石川と同じくにぶい動き、原発への忖度か
実は、被害想定が古くて過小評価なのは石川県だけではない。お隣の福井県も同様だ。
福井県の関西電力大飯原発の目の前にある活断層「F53」(若狭湾内断層、小浜沖断層)の揺れ被害について、京都府はM7.2を想定して死者1180人、全壊1539棟の被害予測を2017年に地域防災計画に盛り込んだが(地図3)*7、福井県はまだ想定していない。福井県の被害想定(2011年)は、国がF53の断層モデル*8を発表した2014年の後になっても見直されておらず、日本海プロジェクトの地域研究会も一度も開いていない。
*8 国土交通省「日本海における大規模地震に関する調査検討会」
石川県や福井県が、地震の最新評価取り入れに消極的な原因として一つ考えられるのは、地元の原発の影響だ。
たとえば邑知潟断層帯は、地震本部がM7.6と発表した2005年当時、北陸電力志賀原発はM6.6で想定していた。北陸電力がM7.6の想定に改めたのは2022年になってからだ。
原発が想定しているより、もっと大きな地震が起きるという研究成果を、北陸電力より早く取り入れることを、石川県はためらったのかもしれない。2005年当時、邑知潟断層帯がどのくらいの地震を起こすかは、地元の住民らと北陸電力が裁判で争っている最中でもあった。
被害想定を大きくすると、地震と原発事故が重なると避難が困難であることが露呈するおそれもあった。
たとえば今年1月の地震では、能登半島では、原発事故の基本的なルートとされていた自動車専用道を含め、道路が各地で通行止めになり、原発から周囲30kmで14地区が孤立した。
地震の40日ほど前に、石川県は志賀原発が震度6強で事故を起こしたと想定して避難する訓練をしていたが、その時の道路損壊の想定はわずか1カ所だけだった。
今回調べてみるまで、最新の研究成果を防災に生かしているのか、都道府県によって差がここまで大きいとは気づいていなかった。行政をよく見張っていないと、阪神・淡路大震災や、能登半島地震の失敗が繰り返されることになるだろう。科学以外のしがらみが大きそうな原発立地自治体は特に要注意だ。








