旧優生保護法 補償法案が成立 不妊手術強制の被害者に1500万円

旧優生保護法をめぐり、不妊手術を強制された被害者本人らに新たな補償を行うための法案は、8日の参議院本会議で全会一致で可決・成立しました。

法案は超党派の議員連盟がまとめたもので
▽不妊手術を強制された被害者本人に1500万円
▽配偶者に500万円
▽中絶手術を受けさせられた人に一時金の名目で200万円
を支給するなど、新たな補償を行うことが盛り込まれています。

法案は8日午後の参議院本会議で採決され、全会一致で可決・成立しました。

また、本会議では7日の衆議院本会議に続いて、決議案が全会一致で議決されました。

この中では「優生思想に基づく誤った施策を推進させたことについて、悔悟と反省の念を込めて深刻にその責任を認めるとともに、心から深く謝罪する。被害の回復を図るための立法措置を速やかに講じる」などとしています。

石破首相「偏見や差別、優生思想の根絶に取り組む」

石破総理大臣は8日夜、記者団に対し「日程に余裕がない中でも、衆参両院が意思を迅速に示し行動したことの意味は非常に大きい。政府としては、制定に至った経緯や趣旨を十分に踏まえ、補償金などの支給が着実に行われるよう、相談窓口の整備などを含めた施行の準備を進める。また原告団などとの定期的な協議を行い、当事者から意見を聞きながら障害者に対する偏見や差別、優生思想の根絶に向け、一丸となって取り組む」と述べました。

旧優生保護法をめぐり、不妊手術を強制された被害者やその配偶者に新たな補償を行うための法案が成立したことを受け、当事者や弁護士が会見を開きました。

原告の男性「すべての被害者を救済してほしい」

原告として国に賠償を求め、最高裁判所で勝訴した北三郎さん(仮名)は「苦しみ続け、つらい人生でした。被害者は私1人ではない。謝ってもらっても、私たちの人生は返ってきません。声を上げることができなかった人や手術のことを今も知らない人など、すべての被害者を救済してほしい。きょうできた法律を、声を出せない人たちにしっかりと届けてください。自分のことを自分で決められる社会につながることを心から願っています」と話していました。

弁護団「全体の被害救済のための第一歩」

弁護団で共同代表を務める新里宏二弁護士は「大きな闘いの一区切りだと思う。これからが全体の被害救済のための第一歩だ。旧優生保護法ができてから76年がたつ。最高裁判所の判決がなければ補償の仕組みが作れなかったのは政治の貧困であり、日本の人権状況の問題点を考えざるを得ない。二度とこのようなことが起こらないためにも、これまでのことについて第三者にきっちりと検証してもらう必要がある」と話しました。

三原こども政策相「必要な準備をしっかり進めていく」

この法案を所管する三原こども政策担当大臣は8日午前、記者団に対し「成立した際には制定の経緯や趣旨を十分に踏まえ、すべての被害者に補償が確実に届けられるよう、具体的な施策をしっかり検討していく」と述べました。

その上で「法律の公布後3か月を経過した施行日から請求できるよう必要な準備をしっかり進めていく。相談窓口の整備などに全力を尽くしていく」と述べ、政府として補償が着実に進むよう万全を期す考えを示しました。

橘官房副長官「補償金などの支給を着実に行っていきたい」

橘官房副長官は午後の記者会見で「政府としては制定に至った経緯や趣旨も十分に踏まえ補償金などの支給を着実に行っていきたい。また、施行日から請求できるよう広報・周知を行うとともに、相談窓口の整備など必要な準備をしっかりと進めていく」と述べました。

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