首相、自衛官処遇改善「万全の体制構築」 年内に方向性
政府は25日午前、首相官邸で自衛官の処遇改善策などを議論する閣僚会議の初会合を開いた。石破茂首相は会議で「自衛官が国防という枢要な任務に誇りと名誉をもって専念できるよう、万全の体制を構築する」と強調した。年内に対策に向けた方向性をまとめ、2025年度予算案に反映する。
会議では①処遇改善②勤務環境の改善③新たな生涯設計の確立――の3つを柱に据えて議論する。首相が議長に、林芳正官房長官と中谷元防衛相が副議長に就いた。
給与体系の見直しや自衛官が居住する隊舎の改善などについて話し合う。22年末に決めた防衛力整備計画に基づく無人化・省人化の推進などの議論も念頭に置く。
防衛省内では退職した自衛官の再就職を支援する組織を立ち上げる案がある。OB・OGが防衛に関わる後方業務などに就けるようにする。
政府は予算を大幅に増やし防衛力の強化を進めるものの、自衛隊は深刻な人手不足に直面する。24年3月末時点で定員の1割ほどの欠員が生じている。23年度の自衛官の採用想定人数の充足率は過去最低の51%だった。
防衛省は対応策を検討するため「人的基盤の抜本的強化に関する検討委員会」を開催し、8月に中間報告をとりまとめた。任期制自衛官が入隊時に受け取る一時金の倍増などを決めた。「自衛官にふさわしい給与の検討」や採用試験の併願化などを今後の検討項目として挙げた。