兵庫前副知事、パレード巡る資金還流を否定 百条委・PC内容で尋問打ち切りに
- 2024/10/26
- 09:00
【神戸経済ニュース】死亡した兵庫県の元播磨県民局長が斎藤元彦前知事に対する「告発文」を作成した問題(文書問題)で、県議会の調査特別委員会(百条委)は25日、片山安孝前副知事にプロ野球の優勝パレードの資金集めに関する疑惑などについて尋問した。終了後、記者団の取材に応じた片山前副知事によると、信用金庫への補助金を増額し、パレードへの寄付金として還流させたとの「告発文」の記載を改めて否定した。この日の尋問は予定時間よりも前に、打ち切りになったことも説明した。
報道機関への取材に対して片山氏は、「委員からキックバック(還流)はあったのかと聞かれ、当然そのようなことはしていないと答えた」と話した。補正予算に計上した信用金庫への補助金の金額が1億円から4億円に増えた理由についても百条委で問われ、「財源が確保できたところまで(補助金を)出すようにと指示をしたと説明した」と述べた。「補助金」は新型コロナウイルスに関連する融資実績に応じて、事後的に県が支出する建て付けになっていた。
信用金庫にパレードへの寄付を求める際、「私の方から金額の提示は行なっていない。ただ(寄付を取りまとめる窓口になった信金と)打ち合わせの際に、他の信金にお願いを伝達する際にあたって一定の目安を示してくれという話があったので、1信金100万円、できれば200万円と話した記憶があると説明した」という。県内には11信金あるため当時「1100万〜2200万円だとありがたい」と取りまとめの信金に話したことも説明した。
加えて片山氏によると、今回の証人尋問では公益通報者保護に関する尋問もあり、元局長が使用していたパソコン(PC)の内容についても尋ねられた。同氏がPCの内容について「『クーデター』などの不正な目的が示された資料、人事の不満が示された動機がわかる資料」に加えて、「倫理的に問題がある文書」があったと言及。文書の概要に触れると委員長が尋問の打ち切りと、今回の尋問を秘密会として扱うことを宣言したという。
片山氏は、PCの内容が個人的な内容であるとしながらも、「公益性がある」と判断し、弁護士との相談のうえで答弁したという。倫理的に問題がある文書を勤務時間中に作成したことも、元局長を懲戒処分した理由の1つだったため、説明する必要があったと主張した。これには複数の記者が「プライバシーを話すべきではない」「許されないことだ」などと片山氏を詰め寄り、記者らに対する発言を撤回させたうえで片山氏が「倫理的に問題がある文書」と表現を改めた。
今回の尋問は11月17日に投開票する兵庫知事選後に動画を公開する予定だった。ただ委員長が秘密会として扱うことを宣言したため、公開されるか不透明だ。秘密会扱いの宣言を受けて当初片山氏は取材への対応を躊躇(ちゅうちょ)したが、記者らの説得を受けて取材に応じた。途中で打ち切りになったことによる、続きの証人尋問について片山氏は、現時点で「告知を受けていない」と明らかにした。尋問の時間は1時間程度だったとしている。
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